Huluに「ゲームオブスローンズ」S6が来た! 早速大喜びで一気見して、しばし放心状態を味わった。最後の二話の盛り上がりがすごかった。これまで広げてきた風呂敷を、いよいよ畳み始めた感のあるシーズンだった。
ともかく、これでしばらくはネタバレに怯えずいろいろ検索できることが嬉しい。感想読んでまわるぞー!
以下、S6ネタバレ感想とか考察とか。
サーセイはトメンの死を予見していたか
ラムジーから語るべきか、サーセイから語るべきか迷ったが、S6ラストのインパクトがあまりに大きかったためサーセイから始めることにした。
クァイバーンと不穏な雰囲気は出していたが、ハイスパロウさんを陥れるとしても今までの彼女と同じで情報戦、策謀によるものだろうと思っていたのに、まさか陥れる(物理)展開だったとは。あの緑色の大爆発は、そこに至る見せ方も相まって大興奮だった。ジークサーセイ!
審判に行くのに何て凛々しい格好してんだwwwと思っていたら、それって喪服だったのか! と一旦納得した。
その直後、トメンの自殺シーンを見て肝が冷えた。彼についてはぜひまた別に機会を設けて語りたいのだが、あのスタスタ……からの何のタメもなくあっさり飛び降りるシーンは、彼の壊れっぷりを表していて逆に印象的だった。そしてあんなに子供たちに執着していたサーセイが、ある意味自分の手で最後の子供を殺すことになるなんて皮肉だし、悲劇だと思った。この後彼女がトメンの死にどんな反応をするのかと怖くもあった。
しかし、である。
その後あのサーセイの服の本当の意味を知って、わたしは再び大興奮であった。ジークサーセイ! あの服は戴冠式用のものだった。彼女は王としての服を、あらかじめ用意していたのだ。あの服のデザイン、わたしは真っ先にタイウィンを連想した。ロバートの服にも似ている(体型が全然違うのであまりイメージは重ならないが)。
ということは、サーセイはトメンが死ぬことを最初からある程度見越していたことになる。この問題については解釈が分かれるかもしれない。
サーセイがトメンの死を望んでいたのなら、トメンが部屋から出るのを止めなければ良かったからだ。ただ、もしあのときトメンが大聖堂に行っていたら、現役国王が爆死という大事件なわけで(実際起こったことだけでも十分大事件だが)、さすがに「不幸な事故でしたね(棒)」ではおさまらないと思うのだ。
またサーセイの協力者(主にクァイバーン)にしても、「愛する息子を守りたいの!」という彼女の主張なら納得したとしても、「息子ごと吹っ飛ばそうと思うの」ではドン引きの可能性があるし、その後の即位にあたってそのことが支障になりかねない。
しかし、もしサーセイが本気でトメンの死を防ぎたかったなら、マウンテンではなく彼女自身がトメンの部屋に行くべきだった。邪魔な連中は城にいないのだから。そして大聖堂大爆破の場面は直接見せないよう窓のない部屋にでも移動して、二人でゆっくり(トメンの洗脳を解くような)親子の会話をし、マージェリー死亡ニュースが耳に入ってからしばらくは彼を一人にさせない。これくらい、あのときのサーセイには可能だった。
だが実際にはトメンのもとにマウンテンを送り(=これから起こることを母親は承知しているということ)、見晴らしのいい高層の部屋に一人きりにし、マージェリー死亡ニュースも見知らぬ配下から聞いて、その後もしばらく放置した。トメンの精神状態をよくわかっていてこれだから、やはりサーセイには彼の死を防ぐ気がなかったと思われる。
サーセイの本質
サーセイにとってトメンは、マージェリーに絡めとられ、さらに(よりによって自分を辱めた)宗教にすっかり洗脳されてしまった時点でもう失われてしまったものだったのではないだろうか。予言は当たると確信していた彼女は、もうこの時点で息子のことをあきらめてしまった。
そしてそれを認めると同時に、彼女はようやく自分の本質について自分で認めることができたのだと思われる。
わたしは以前サーセイについてこんなふうに書いていた。
彼女が何を目指しているのかについては、なかなか難しい。
子供を最高権力者にしたい? それとも自分が権力を握りたい?
彼女については、子供への愛すら現実逃避で、実際のところは自分の思うように生き、好きな人と恋をして、嫌いな人を殺したいというのが本音(しかしそうできないこともわかっている)ではないかなと今のところは思っている。
6-10での彼女の「告白」は、まさに彼女のこんな姿を現していた。というか、わたしが想像していたよりもずっと酷かった。
すべては快楽のためだった。ロバートを殺したのも、ジェイミーと寝たのも、子供たちを守るのも、みんな快楽のため。全部自分のためだった。
ジョフリーはサーセイの縮小版だった。今思えば彼はなるべくしてああなったわけだが、主として性的に変態さんだった。サーセイはジョフリーとは器が違う。彼女は今までずっと、自分を抑えてきたのだ(あれでも)。「男に生まれたかった」と語っていた彼女は、女として七王国に君臨することをようやく自分自身に許したのだ。
彼女の「無知」は、本当の自分を知らなかったこと。長い長い自分探しの末に、彼女はようやく自分自身と和解できたのだ。ジークサーセイ!!
さて、この物語において「無知の知」は概ね生存フラグだった。しかしサーセイの覚醒は果たして生存フラグになりえるだろうか。この後に残っているであろう展開を考えるに、逆の想像しかできない。
とはいえ、これからデナーリスがやってくるというのに、迎え撃つべきキングスランディングがハイスパロウさんに弱体化されまくった挙句、国王が魂の抜けたトメンでは盛り上がりに欠ける。女王対女王の対決構造に持ち込む形になり、期待が高まった。
(しかし現在ラニスター以外は全部敵状態で、果たしてここからどうするつもりなのか)
残る名家
女王同士の対決になったな! というところでふと思い至ったのだが、現在残っている名家に男性があまりいないような気がする。
バラシオン→ジェンドリーが生きてはいるが、実質滅亡
ラニスター→サーセイ、ジェイミー、ティリオン
タイレル→オレナおばあちゃん
スターク→サンサ、アリア、ジョン、ブラン
ターガリエン→デナーリス、ジョン(ここもようやく確定か)
ボルトン→滅亡
アリン→滅b…ロビン
モーモント→リアナ、ジョラー
フレイ→妻や娘たちは生きている?
グレイジョイ→ヤーラ、シオン、ユーロン
マーテル→滅亡? エラリアが実権を握る
タリー→エドミュア
という感じで、当主ポジションに女性が目立つ。物語開始時点ではほぼ男性中心社会だったのが、ずいぶん様変わりした。というかつくづく、全体的にどの家もまんべんなく、物語開始時点と比べて弱体化した(現在残っているスターク勢は経験値を積み上げて、個人レベルではステータスアップしているが)。ここに至るまでの何もかもがだいたいリトルフィンガーのせいなので、本当にうまいことやっているという感じだ。S6は彼の出番が少なかったのは残念だが、彼の計画が成就していくのを見るのはわくわくする。そしてきっと最後に崩されるんだよね! わかってる。