「グランドツアー」公開から19時間後、「グランドツアー」の台本を担当している(以前は「トップギア」の台本を書いていた)リチャード・ポーターさんがTwitter上で番組の実況を行った。撮影裏話もあったりしたのでここにまとめておくことにする。
最初から最後まで1話のネタバレ満載なので、本編を見てからお読みいただきたい。
まだ見ていないというあなた、今すぐここから見るべし。
リチャード・ポーターについて
このブログではたびたびすにふ氏ことポーターさんのツイートを引用しているため知っている人もいると思うが、まずは改めてポーターさんの紹介を。
Bad Company pic.twitter.com/WAvdwARB8t
— Jeremy Clarkson (@JeremyClarkson) 2016年9月24日
この写真の右端がポーターさん。
旧・旧「トップギア」時代(ジェレミーが最初にかかわった頃の)から番組の台本を担当し、数々の名セリフを書いてきた、知る人ぞ知る番組の立役者。
彼の名を一気に有名にしたのは、旧「トップギア」終了後に発売された『And on That Bombshell』という著作である。このタイトルは旧「トップギア」の番組最後にジェレミーがいつも口にしていたシメのセリフだ。
この本はポーターさんが旧・旧「トップギア」の台本担当に応募するところから始まり、その当時すでに「レジェンド」だったジェレミー・クラークソンとの出会いや、リチャード・ハモンド、ジェームズ・メイのオーディションについてなど、番組黎明期の話、その後の大成功の舞台裏、そして2015年に起こったことについて書かれている。番組と出演者三人に対する熱い気持ちがたくさん詰まった感動の名著なので、まだ読んでない人はぜひ手に取ってみてほしい。「トップギア」未公開写真もあるよ!
ポーターさんはジェレミーの番組降板後、仕事から離れていたそうだ。ジェレミーのしたことに対してわだかまりもあったらしい。当事者の一人としてそれを感じるのは当然だとわたしも思う。そして「グランドツアー」とクリス・エヴァンス体制になった新「トップギア」、どちらからも台本を書かないかと声をかけられていたらしい。
結局彼は「グランドツアー」チームに再度加わることにした。この経緯は『And on That Bombshell』のペーパーバック版の加筆部分に書かれていた。「グランドツアー」に誘われたときのことについて、彼はこう書いている。
まるで子供に戻った気分だった。友達みんなが外でおひさまの光を浴びて遊んでいるのを、部屋の中で座って眺めているような気分だ。
Richard Porter, And on That Bombshell: Inside the Madness and Genius of TOP GEAR より、拙訳
この本を読んですっかり彼に感情移入してしまったわたしとしては、彼が再び友達とおひさまの光を浴びて遊んでいるのを見るのはとても嬉しいわけである。
それでは彼の番組初回実況ツイート、いってみよう。訳は適当なのであまり真に受けないでね!
前フリ~オープニングシークエンス
I don't know if you've heard about this TV show called The Grand Tour. No one's really mentioned it. Well, anyway...
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「グランドツアーっていう番組について聞いたことあるかな。全然話題になってないんだけど。えにうぇい…」(誰かすにふの顔文字つくってください)
...I'm the script editor of this new TV show and I'm going to live tweet through the first episode at 7:30 GMT this evening.
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「僕はこの新番組の台本を担当してます。今夜実況ツイートをするよ」
There are only two problems with this plan. 1. I'm going to be in a screening cinema with 200 other people and 2. I've been in the pub.
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「問題は2つのみ。1. これから上映会に行く予定でそこには200人ほど人が来る。2. 僕はさっきからパブにいる」
酔っ払い実況かよ! いいぞどんとこい。
ちなみに上映会とはもちろん「グランドツアー」の上映会のことである。こんなの。
Thanks #TheGrandTour for a stunning 1st episode on the big screen, the booze & lots of laughs. I'll deffo be 'tuning-in' for more. pic.twitter.com/ILIPcbLrSW
— Tom Stewart (@SamWTotter) 2016年11月19日
わたしもスクリーンでGTを見たいです!!!
So do please tune in to read the thoughts of a man who is 1. annoying 199 other people and 2. drunk
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「1. 僕以外の199人にとって迷惑な 2. 酔っ払いの 男の呟きをどうぞお楽しみに」
Hello gang. Grand Tour live Twatteration will being shortly.
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「もうすぐ始まるよー」
放送できないわざとらしい誤字をやめろ!
@sniffpetrol Twat away.
— The Grand Tour (@thegrandtour) 2016年11月18日
お前もやめろwwwww
さてここからはぜひ本編動画を流しながらお付き合いいただきたい。
If you're American, yes, this is a British summer.
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「もし君がアメリカ人なら、そう、これがイギリスの夏だ」
最初のシーンについて。わたしもロンドンに行ったことがあるが、本当にずっと雨だった。
When I first watched this sequence some dust got into my eye. Ahem.
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「最初にこのシーンを見たとき、目にゴミが入ったよ」
泣いたって言っていいんだよ、すにふ…
リプライ欄にも大量のゴミが目に入った人が多発している。
ちなみにオープニングで流れたのは「I Can See Clearly Now」という曲。「暗い雲は晴れて、これからはおひさまの輝く日になるよ」という感じの歌詞で、これまた番組作成の経緯を知っていると泣けるのでぜひチェックしてみてほしい。
Cars in this flotilla include a Yugo Sana, a Toyota Picnic, a Sao Penza and a Suzuki Ignis. Total value, a breathtaking £1.7
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「この艦隊にはユーゴ・サーナ(ザスタバ・フロリダ)、トヨタ・ピクニック(イプサム)、サオ・ペンザ(マツダ・ファミリア)、スズキ・イグニスもいるよ。全部でなんと1.7(ミリオン)ポンド」
May, Hammond and I agreed, our favourite car in the opening sequence was the Vector. pic.twitter.com/nITOlDrubq
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「メイとハモンドと僕的には、オープニングに出てくる中でお気に入りの車はヴェクターだ」
ジェームズ写真撮ってる!
話は三人の紹介シーンに移る。
This is factually inaccurate, James was also fired by Country Life magazine.
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「これは正確じゃないね。ジェームズは『カントリーライフ』誌もクビになってるからね」
ジェームズどんだけあちこち転職してるの? ていうか何そのジェームズ向きじゃないタイトルの雑誌。
Another factual inaccuracy, Richard was also fired by Radio Cumbria.
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「これも正確じゃない。リチャードはラジオ・カンブリアもクビになってるから」
At last, factual accuracy.
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「やっと正確な話になった」
まあジェレミーは厳密に言えば契約を更新しなかっただけで、クビになったわけじゃないからね(棒)。
予告モンタージュについて。
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
鼻栓って英語でこう言うんだな…。ジェレミーがなぜ鼻栓をつけていたのか気になる。
テントの中へ
When people ask where the money goes on The Grand Tour, there's your answer; RUGS.
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「番組にかかったお金がどこへ消えているかといえば…絨毯である」
確かに何やら豪華な絨毯が敷いてあったけれども。
"and then they have to compensate by driving on the wrong side of the road" #linesthatgotcutout
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「あと道路を逆走してるのも償わないとね(カットされたセリフ)」
イギリスとアメリカの車文化の違いを数分でまとめたあのシーン、面白かったし日本人としては普通に勉強になる。
マクラーレン vs ポルシェ vs フェラーリ
Richard Hammond very rarely swears on television. Because he's a professional broadcaster who used to do live radio...
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「リチャードがテレビで汚い言葉を使うことはめったにないよ。彼はラジオで生放送をやってたプロのアナウンサーだからね…」
文の後ろに(棒)が見える!
@sniffpetrol Except when he's cycling through St. Petersburg...
— Pip (@pippinmctaggart) 2016年11月18日
ファン「ただしサンクトペテルブルクで自転車に乗っているときは除く」
22-1のこと。あの回、DVDではなぜかピー音が入ってなくて、リチャードが「ふぁっくゆー」と言っているのが丸聞こえという超絶レア回だったりする。
...so you know he's really shitting himself and that it really is spinning its fucking wheels.
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「彼(ハモンド)が実際にもらしちゃってそのせいでタイヤがスピンしたってこと、みんなわかってますね」
(゚∀゚) <何てこと言うの!
この回、poo が come out しすぎである。
James pretends that he thinks driving like a loony is ungentlemanly. But secretly, he loves it. Sometimes.
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「ジェームズは頭のおかしい運転をするのは紳士的じゃないって思ってるフリをしてるけど、実はそういうの大好きなんだよ。ときどきね」
知ってた。
We had these computer renderings made using CAD data from the manufacturers.
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「CADデータを使ったこのCGはメーカーに作ってもらったんだ」
あの車の中身が透けるCGは確かにすごかった。
What actually happens in moments like that is the directors says, 'We've got the shots, come in now guys... um, guys.... um GUYS...'
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「このシーンを撮ってたときの様子→ディレクター『撮れたよ、みんな来て~…みんな~…みんな~…』」
走り回るのが楽しくてみんな戻ってこなかったんだね。
Then half an hour later someone stands in the middle of the track and makes them come in.
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「で、30分後に誰かがトラックの真ん中に立ってみんなを戻ってこさせたわけ」
命がけの撮影ですなあ。
カンバセーション・ストリート
Yes, we had a sting made. Several, actually. One to watch out for in future shows, for reasons that will become clear.
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「タイトルバックをいくつか作ったよ。今後見せていく予定」
あの妙にオシャレなタイトルバック、本当に毎回かわるのか。「ニュースコーナー」と言えないのをネタにしていく手法、本当に笑える。
Future editions of Conversation Street will contain more than just ragging on James. Although that may feature as well.
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「今後のカンバセーション・ストリートはジェームズをいじる以外の話もしていくよ。まあそのネタもまたやるんだけどね」
ジェームズがスピード違反で捕まったときの話はここでまとめてあるのでどうぞ。
【更新】「グランドツアー」11月18日公開決定! - なぜ面白いのか
エボラドローム
Where is this track, you ask? Well, it's near Swindon.
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「このトラックがどこにあるかって? スウィンドンの近くだよ」
I think some people on the internet have worked it out. Possibly because of that sign you could just see on the substation.
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「トラックの場所についてはネット上で特定されてるんじゃないかな。変電所を探せばいいわけだから」
もちろんもう記事が出ていた。
If you have a garden centre or dog salon or organic brothel in the Swindon area, do get in touch about sponsoring Your Name Here corner.
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「スウィンドン地方でガーデンセンターとかドッグサロンとかオーガニック売春宿とかやってる人、Your Name Here コーナーのスポンサー係までご連絡ください」
オーガニック売春宿 #とは
セレブリティ・ブレインクラッシュ
"Could you get some celebrity pictures and make their heads explode," I said. And then that happened. Oops.
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「『セレブの写真を用意して、その頭を爆発させてくれる?』ってお願いしたらこうなった」
あのB級臭、たまらないんだけど。
It seemed like a good idea at the time.
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「そのときはいいアイデアだと思ったんだ」
J`・ω・) <自動車番組でヘンリー8世の頭が爆発するとはね
ヘンリー8世は最近ドラマ化されているし、時事ネタだったようだ。ブラッド・ピットの頭から煙が…というのはマリファナの噂絡みだろうか?
Have you ever been in a room full of Americans shouting U! S! A! It's sodding terrifying.
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「アメリカ人でいっぱいの部屋でみんなが U! S! A! って叫んでるところに居合わせたことある? すっごい怖いよ」
You should see the Celebrity Brain Crash game. It's quite something.
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「みんなセレブリティブレインクラッシュゲームを見るべきだよ。すごいんだからね」
出演者がみんな死んで永遠にプレイされないゲームのような気がするんだが…
「ホーリートリニティ」企画に戻る
This is what happens when Ron Dennis sets up launch control. Maybe that's why he was 'let go'.
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「ロン・デニスがローンチコントロールをセットするときに起こるのはこういうことなんだ。ひょっとしたら彼が解任された理由はそれかも」
ジェレミーのマクラーレン、発車の操作が難しそうだったからな。
ロン・デニスはマクラーレングループの元CEOで、つい先日解任されたばかり。
You may note, there's a swearing hierarchy on The Grand Tour. It's a PG14 show, you see.
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「グランドツアーには禁止用語のヒエラルキーがあるのに気づいたかな。14歳以下の子は親と一緒に見てね」
poo や shit は言えるけど fuck にはピーが入りますよということ。BBC時代は shit もだめだったから、若干緩んだ模様。
Shit, that's fine. F*** is not okay. Nor is c*** or v**** or z**h***g***l***x
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
z**h***g***l***x がわからないけどたぶん知らない方がいい。
It's quite impressive that these very sophisticated cars can withstand this level of titting about.
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「こんな洗練された車がこんな低レベルの結論に我慢していることに驚嘆の念を禁じ得ない」
(`゚Д゚) <車は関係なく、すべては靴次第である
Jerome d'Ambrosio. Lovely chap, and lovely custard.
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「ジェローム・ダンブロシオ。素敵な人だし、素敵なカスタードだ」
ベルギーのレーシングドライバーさん。「カスタード」は甘党の彼の愛称らしい。
@sniffpetrol He said the opposite of the subtitles. Said the P1 was difficult to drive and it was easy to make a mistake.
— Anne M Buchwald (@anne_m_buchwald) 2016年11月18日
嘘字幕へのマジレスが。ダンブロシオにとってもマクラーレンP1は運転が難しかったようだ。
Did I mention, this was the very first thing ever filmed for The Grand Tour. It was sort of this, and then build a programme around it.
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「GTで最初に撮影したのはこのシーンだって言ったっけ? こんな感じで撮影が始まって、それから番組を作りだしたんだ」
So what you're watching here is three unemployed men going back to work.
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「つまりみんながここで見ているのおは、三人の無職が仕事に戻るシーンだ」
After this shoot wrapped, they all had to go back to their job start officers and give proof that they'd found work.
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「この撮影が終わったあと、三人とも職安に戻って仕事を見つけた証拠を提出しないといけなかったんだよ」
2015年夏の彼らは、世界一忙しい無職だったかもしれない。
Jerome d'Antiperspirant
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「ジェローム・制汗剤」
日本語にしたら全然わからんぞ!
Note, no tent existed at that point, except in Jeremy's fevered imagination.
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
(`゚Д゚) <back to the tent!
「この時点ではテントはなかったんだよ。ジェレミーの脳内以外にはね」
このときすでにテント構想があったのか!
Well, there we are then. That was the Grand Tour. If you like, we can do another one next week.
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
「番組は以上。これがグランドツアーでした。気に入ってくれたら、来週も見てね」
Oh God, three men are making a speech now. pic.twitter.com/lGcwTXhBLg
— Sniff Petrol (@sniffpetrol) 2016年11月18日
上映会も終わり、三人がスピーチしているところ。
台本担当リチャード・ポーターさんによる番組実況はこれにて閉幕。すにふのツイートを追っていると、公式アカウントや三人とも絡んでいることがあって面白いのでおススメ。
リチャード・ポーターさん、これからも楽しい番組作り、がんばってください!