ここのところの長距離移動で、ピーキーS3を一気見した。
S3はすごくスリリングで面白かった。
全体の感想を一言で表すならば、おそろしあ……である。
キリアン・マーフィーは相変わらず美しく、あの瞳の蒼を撮るのにBBCの撮影陣が総力をあげていることが窺える。
最初の頃はなんだこの話し方……と思っていたバーミンガム訛りも、今ではめちゃくちゃセクシーに聞こえるようになったので、慣れ&画面のかっこよさって大事だなと思っていたりする。
昔からイギリスの文学・映像作品においてバーミンガム訛りは馬鹿にされがちなポジションという印象があったのだが、ひょっとして現地でもこのドラマの影響でバーミンガム訛り=セクシーというイメージになったりしてない? 真似したくなるかっこよさがあると思うんだ。
エイダン・ギレン登場前にもうどっぷりこの世界に首まで浸かっている状態なわけだが、S3ネタバレ感想いってみよう。
1話
出落ちに定評のあるピーキー、今回はいきなりS2の2年後で、しかも結婚式回ときた。相手はグレース!!! 結局グレースと結婚するのか! メイとのあれこれはもうすっとばされてしまうの……?
いきなりの急展開に宇宙ネコ状態で話についていくのがやっとだったわけだが、トミーとグレースはかなりらぶらぶな模様。マジかよ。
グレースはな、トミーを裏切りながらそれでも魅かれているという状態がよかったんだ……。トミーも彼女をどこまで信用できるかわからないと疑いながらやっぱり魅かれているところがよかったんだよ……。こんな幸せな二人……いやほんとおめでとう……。
という、どういうテンションで迎えていいかわからない結婚式。いや、こう……お気に入りのキャラが幸せになることに慣れていないというか……(お察しください)。
そしてどさくさに紛れてアーサーまで結婚している!!! よかったな!!! おめでとう!!! 相手は何ものかな???
スピーチでぐだぐだになるアーサーかわいいな! そのあとしょげてるところがまたかわいいな! 殺しの方は……まああれだ、三人以上死者が出ないと「退屈な式だった」ってドスラク人に言われちゃうからね!
2話
ほらあああああ!! フラグだと思ったよおおおお!!! トミーもやっぱり幸せにはなれないんだ……(ほっとするファン)。
で、舞い散る火の粉、立ち昇る紫煙、はためくコート、やっぱりピーキーにはこれがないとね! オープニングシークエンスを見て、すごく安心感があった。
マイケルの仕草や話し方がかなりトミーに似てきていると思うのだけど、これは意図してそう演出してるんだよね……。マイケルはトミーに憧れを持っていて、彼に近づきたいと思っていそう。
そんなマイケルのことを、ジョンはどう思っているのかが気になる。
3話
「良い事」が起これば同じだけ「悪い事」も起こる。こちらがダメージを食らえば敵側も無傷ではいられない。相変わらずこのドラマはバランスのとり方が絶妙。
グレースの件の報復は、彼らの立場を考えれば仕方ないというか……。あの奥さんは、そんなにいい教師だったならなぜギャングなどと結婚してしまったのか。もっとアーサーやジョンの子供時代について聞かせてほしかった。あとトミーの子供時代についても盛大に語ってほしかった。
ジョンがいい表情をするようになって目が離せない一方で、神父さんのてめえちょっと黙ってろ感は異常。
この回だったかな、女性陣がデモに出かけるシーンで、初めて女性陣による横並びスローモーション歩きが流れて、かっこよかった! やはりこのドラマは横並びで歩くシーンに並々ならぬ情熱を傾けている。
4話
ポリーの告解はまずいだろうと思っていたら即フラグ回収。いや、あれは本当にまずいだろ……。聴罪司祭が同業者相手とはいえ告解内容をペラペラしゃべるのも非常にまずいけど。
S2のとき以上に暴行されるトミー。弱ってるトミーは好きだけど、弱ってるを通り越して死にそうなんだが大丈夫か。
一周まわって神父さんの悪い笑顔が好きになってきた。謝罪のシーンとかゾクゾクする。だがあの様子ではトミーが脅されているのはバレバレに見えるけど、あんなのでいいのか??
5話
ベントレーが画面に映るたびに「かっこいい……」と溜息をついてしまう。この時代からあんなにかっこよかったんだな。まあトップギアに出たベントレーミュルザンヌはアレだったけどな!
前回のトミーの謝罪とソロモンズさんの謝罪がいい対比になっている。心にもない謝罪を本心を隠しながらするトミーと、心にもない謝罪をしながら煽っていくスタイルのソロモンズさん。きみの人生楽しそうだな。
で、BBCで堂々と放映される首絞めセックス。さすが寛容な社会だなあ。よいこはまねしたらだめだよ! 全体的にふしぎのくにろしあの描写がぶっちぎりすぎていて、今から国交断絶しないか心配になる。
マイケルの過去がやっと少し判明。そうか、神父さんの犠牲者だったか。それでトミーは序盤から神父さん絶対殺すマンになってたんだな。
この神父さんみたいな悪を煮詰めたようなクソ野郎がこのドラマに出てくるのは珍しい……と思ったけど、よく考えたらキャンベル警部も割と煮詰めまくったクソ野郎だったわ(そういえば警部がまたしれっとS3に登場したら笑えると思ったが、今度こそちゃんと死んでいたようだ)。ギャング同士は割とルールにのっとって悪いことをしているから、まだマシに見える。
画家氏とポリーもうまくいく未来が見えない。画家氏がグレースルートに入ってしまわないか不安である。
6話
怒涛の最終話。濃密な1時間であった。よくこれだけのエピソードを1時間にまとめたものだと思えるほど。
神父さんがここにきてさらにクソを上塗りしてきたのでびっくりした。マイケルマジでうぇるだん。結局またマイケルエンドか……という印象。
しかしアーサーが本当にかわいそう。いや本当にかわいそうなのは無意味に死んでしまった6人なのだが。
ポリーもかわいそうでならない。だが銃を構えるポリーはかっこいいしもっと見ていたくなる。もしあそこで撃っていたら、S2の最終回と同じ展開になるところだった。
一方トミーと対峙するソロモンズさんはガチのかっこよさ。あれは痺れる。息をするように裏切りまた手のひらを返すソロモンズさん、長生きしてほしい。そしてトミーに眼鏡をすすめるという偉業をなしとげたこと、忘れない。
おそろしあの人は最後までおそろしあだった。あんなところまで呼ばれて、お約束みたいなノリで殺されてしまう会計の人? が気の毒でならない。そりゃトミーも愕然としますわ。
で、ラストシーン。
逮捕させておいて自分で助ける計画なのだとわかってはいるけれど。
トミーは全員を自分のそばにとどめておきたかったということなのかなあ……。
でもそれは……トミー……!
考えてみると、ここのところトミー自身は手を汚していなかった。グレースの報復のときには明らかに本気で自分の手で殺そうとしていたから、すべて計画的だったのではなく結果的にそうなったということなのだろうけど、それにしてもきっちり警察の追求はかわせているトミー。
S2のラストを裏返したような結末だ。
ところで、
酒場を運営しよう!→酒場が爆発
というのがS1からS2冒頭の流れだったが、では
孤児院を運営しよう!→???
いやこんな不吉な想像はやめておこう……。子供たちには、クソ野郎のいないところで平和に生きてほしいんだ!
酒場で思い出したが、おそろしあ屋敷で震えていたあの気の毒な男性は、無事にお店を持つことができたのだろうか……。
というわけで怒涛のS3一気見をかなり楽しんだ。
いよいよエイダン・ギレンの出てくるS4なのだが、もったいなくてまだ見ることができていない! どうしよう! 一気見がもったいない気もする! でも楽しみ! 早く見たい!