前回いよいよ物語が「現在」にたどり着き、ここから怪盗団の反撃開始というところ。
今回のパレスも長かったけど、短めの小目的をつないでいく形式だったから割とだれずにがんばれたかな。しかし最後の連戦はSPがきつかった。あんなところで連戦だとは思ってなかったから準備もしていなかったし。
そんなわけで、今日はクリスマスイブまでのネタバレ感想!
明智くんとの対決
前回わたしは明智くんのパレスもなんとかした方がいいのではと書いたのだが、明智くんはペルソナ使いなのでパレスは存在しないのだった。というか、明智くんは認知の歪みもなく、現実と対峙した上で廃人化事件を起こしていたってことだよな。それだと獅童よりもやべーやつな気もする。
真先輩の指摘もごもっとも。
それどころか、明智くんはワイルドの能力も持ってたんだな。ロビンフッドだけでなくロキも持っていた。明智くんもまた「特別なペルソナ使い」だったわけだ。ベルベットルームには入れないんだろうか?
明智くんの動機は「他者に認められたい」「父親に認められたい」というものだった。ここでもまた承認欲求である。親からの承認と親への復讐を同時に成し遂げたい気持ちは、まあわかる。しかし同時に不特定多数からの承認も求めたんだなあ。
たぶん承認欲求って、特定の誰かから、それも自分が認める誰かからの承認が得られることがいちばん大事なんだよね。顔の見えない「不特定の誰か」からどれだけ賞賛されても、自分が認める「特定の誰か」の承認が得られなければ満たされない。
自分が「この人はすごい」と認めている人から自分が承認されると、自分自身で「自分もそれなりにやるじゃないの」と認めることができる。自分で自分を認めることができれば心は満たされ、精神は安定する。
だけど「すごい」と認める人からの承認なんてそうそう得られない。だから人はなかなか満たされず、それを自覚しないまま不特定多数からの承認をひたすら求めてSNSで数字を争ってしまう。
明智くんにとって鞘くんは、初めて出会った「すごいと思える人」だったんじゃないかな。
この言葉はきっと彼の本音だ。
パレスやペルソナと関係ないところで鞘くんと出会っていても、きっと普通にいいライバル関係になり、明智くんは「鞘くんにライバルと認められた自分」に満足できていたのではないか。父親がどうであろうと「自分は自分」だと思えるようになったんじゃないのか。その場合も獅童は自分のパレスを肥大化させて国がヤバいことになっていたとは思うが。
これが噂の! ペルソナ3主人公はキタロー、4主人公は番長とファンから呼ばれているのに対して、5主人公は一部で屋根ゴミとかいうひどい蔑称で呼ばれていると聞いたことがあった(浮気した場合の展開がひどいからとかなんとか)。明智くんのセリフが元ネタだったんだな~。
本当は鞘くんに認められたい、鞘くんと互いに認め合える友達になりたいと思っているのに、それを自分で認められないから、鞘くんを下に見て心を安定させるしかないんだね。やっぱ認知の歪みが起きてない?
で、これが班目たちの見た「黒い仮面」の正体か! 仮面の色問題は無事解決である。
あんな王子様然とした美少年が、こんな顔芸枠だったなんて。声優さんの演技もすごかったなあ。ヒュトロダエウスの役の人だよね……。
だいぶパワーアップしていたようだが、執拗に鞘くんを狙うのに、鞘くんが物理無効のペルソナを持っていたせいで、かつてない平和なボス戦になってしまった。まあ物理無効のペルソナをはずせなかったから若干縛りプレイっぽくなったけど。ここまでの連戦でだいぶ消耗していたが、なんとかなってよかった。
明智くんを倒したときに24000円ドロップしたのを見て、なんとも言えない気持ちになった。これって認知上の存在ではなく、パレスに入ってきた明智くん本体のお財布からいただいたってことよね……。24000円って、社会人の自分から見ても結構な大金だよね……。ごめんね……。
戦いに敗れて「結局特別な存在になんて、なれなかった」と言う明智くんに、仲間たちが口々に「あなたには才能があった」と声をかける。双葉ちゃんも「一人で複数ペルソナ持ちとか、たぶんジョーカーと同じ才能もあったんじゃね?」と指摘した。だけど鞘くんと同じような成長をしなかったのは、「人生ソロプレイ」だったから。
そうだなあ。鞘くんは怪盗団の仲間たちだけではなく、いろいろな形で反逆心を持つ人たちとの交流を通して、アルカナをめぐる人生の旅をしてきたわけで。シャドウとも心を通わせて自分の中に宿せるし、ベルベットルームの住人とも仲良くなって新しいペルソナの開発に勤しんだし(明智くんもベルベットルームに来ていたら面白いなと思ったけど、やっぱりそれはないのか)。
今作のコープメンバーって、結局のところ「鞘くんがすごいと思った人」「鞘くんがこの人に認められたいと思った人」なんだろうな。やっぱり承認欲求の話につながってくる。かつ、何らかの形で反逆心を持つ人たちでもある。最初の出会い方はまちまちだが、コープMAXになると、彼らはみんな鞘くんの力を認め、怪盗団としての彼がしてきたことも承認してくれる。だから鞘くんは、「前歴持ちで、屋根裏に住んでるゴミ」だとしても心が満たされているわけだ。
で、この展開。ですよねーと言うしかない。明智くんが大丈夫なわけないよね。
獅童が総理になった後も敵はなんぼでもいそうだから(それこそ国外にも)、この能力を手放すのは惜しいのではないかとも思ったが、どこかのタイミングで消されるよね。
認知明智の連れてきたシャドウに全滅させられそうになったが、結局明智くんが怪盗団を逃がしてくれた。「俺のかわりに獅童を改心させてくれ」と託されて。
で、ここで正義のコープがMAXに。
そんなことってある!?
いや、そうか……。「コープMAXになると、彼らはみんな鞘くんの力を認め、怪盗団としての彼がしてきたことも承認してくれる」んだよな。そういうことなんだ、これは。
明智くんがやっと鞘くんのことを認めてくれたってことなんだ。
獅童正義の息子のアルカナが「正義」なの、うまいことつくりやがって……。
でもここで明智くんの反応は消えてしまう。まさかここで本当に退場とは思えないが、いったんお別れなのか。
まさか本当に退場じゃないよね!?
獅童正義
さて、春からずっと「いいからあのクソ政治家を殴らせろ」と言い続けてきたわたしだが、ようやくそれがかなった。なかなかマッチョな認知をお持ちのようで、本当に殴り合いになったのは面白かったが。いや強かったな~。
鞘くんのことは本当に覚えてなかったんだな。裁判までしたのに忘れてるなんてある? と思ったけど、たぶん同じようなことを各所でしまくっていて、全部を覚えていられない状態だったんだろう。たぶん消した相手も多すぎて覚えてないんじゃないかな。
わたしは船が好きなので、シドーパレスにはテンション上がった。いいな~豪華客船。豪華客船なのに生バンドがどこにもいなかったのは、シドーの認知にそういうものが入っていなかったからか。つまんねー男だな。
いい感じに改心してくれたのはよかったが、なんか事態が思うように進まない。
大衆はこの会見を見ても獅童の悪事を認めない。マスコミも会見中継を打ち切ったあと、獅童の続報をろくに流していないようだ。何らかの圧力がかかっているのは明らかなのに、そのことを疑問に持つ人もいない。
いくら大衆が愚かだといっても、さすがにおかしくないか。
やはりメメントスにさらなる上位存在がいて、獅童もその駒だったとかそういう話なんだろうか。でも大衆の認知を操れるなんて相当な上位存在な気がするが。大衆の愚かな認知で世界がヤバいみたいな話になるのかな。
そ、そんな計画が……?
たしかにパレスから人の心を操れば、外交政策もイージーモードになるのは間違いない。でも思いきり「犯罪国家」って言っちゃってる。自覚あるんか、特捜部長代理さんよ。
獅童を改心させても終わらないってことかー。カタルシスがお預けされて、ギギギとなっているプレイヤーである。せめて鞘くんの前科だけでもなんとかならないか。
そんなの信じる人いる!?
まだ何が起こっているのかよくわからないが、とにかくモルガナはメメントスの最深部に諸々の原因があると主張している。人間の認知が異世界に形をもって現れたことの原因もそこにあると。
でもその原因となった「オタカラ」を盗んでしまったら、もうパレスが生まれることもなくなり、怪盗団がペルソナ能力を使える場所もなくなってしまうらしい。モルガナがなぜそこまで言いきれるのかもよくわからないが、彼はもう最深部にあるものに予想がついているのだろうか。自分の正体も察しているのかなあ。
モルガナは大衆の認知の具現化とか、歪みの根本にあるものそのものだったりするのかなと思っていたのだけど、どうなんだろ。メメントスの「オタカラ」がモルガナだったりとか。そうだとすると、メメントス最深部を攻略してしまうとモルガナが消えてしまいそうで(というかモルガナがそれを覚悟していそうな感じで)心配だ。メインヒーラー離脱は痛い。
イゴールも不穏なことを言いだすし。
わたしは真ちゃんと過ごすハッピーなクリスマスを期待していたのに、クリスマスイブをメメントスで過ごすことになってしまった。マジふぁっく。
しゃーない、攻略していくか。しかし話がこうなると、あの卵頭の坊や(名前が思い出せない)の正体も気になってくるな。何者なんだ。
コープMAXのみなさん
ここからは最後まで見たコープエピソードの感想とか。
竜司くんはいろいろあったけど、ちゃんと自分の居場所を見つけられた。竜司くんのコープがいちばんP5のテーマをストレートに反映している気がする。「居場所を見つける」「居場所をつくる」「自分で自分を認められるようになる」みたいなテーマがしっかり詰まっていた。
陸上部には戻らないと結論づけてしまったのは本当によかったのかな? という気もするけど、どこにいたって走ることはできるしな。鞘くんともたまにトレーニングしてるし。進学や就職してからも続けやすいスポーツだしね。
たとえペルソナ能力がなくなってしまうとしても、竜司くんが自分でいられる場所を得たことは変わらない。竜司くんが自分自身を認められるようになったことも変わらない。
竜司くんも鞘くんのことをすごいやつだと思っていて、その鞘くんから信頼されることで自尊感情が育ったんだよな。
そういえばシドーパレス脱出のときのイベントには肝が冷えたぞ。紛らわしいことはやめてくれよな!! 無事でよかったよ本当に!!!
大宅さんのコープもMAXに。そしてやはり怪盗だとバレてしまった。「ララちゃんは怪盗というより怪獣」とか言われててワロタ。
しかし廃人にされてしまった佳代さんは、もう治らないのだろうか。佳代さんだけでなく、ほかの被害者たちも治す手段はないのだろうか? パレスもしくはメメントスで「奪う」の反対をやったら治せるとか、そういうペルソナ能力があってもいいのに……。でもまあ、心ってそんなに簡単に治せるものでもないしなあ。
その佳代さんが追っていたのも獅童の腹心らしい。あの船に乗っていた誰かだったりしたのかもしれない。大宅さんなら獅童への宣戦布告と改心をちゃんと記事にしてくれていそうだけど、世間のあの感じを見ると、その記事がどこかで差し止められたか、もしくは掲載されても無反応だったってことかなあ。どこかで報われてほしい。
彼女からのモーション(?)をかわすのは心が痛んだが、「未成年とか問題ありすぎだし」と冷静に受け止められる人でよかった。だが深夜に未成年を新宿のバーに何度も呼び出すのがすでにだいぶ問題だからな。
惣治郎のコープもよかったなあああ。この結末が迎えられてよかったよ。1学期のうちはなかなか惣治郎のコープが上がらないなと思っていたが、双葉が仲間にならないとコープの続きが解放されないようになってたんだろうな。
わたしから見て今作でいちばんすごいなあと思える人物が惣治郎だ。失った思い人の娘を引き取り、さらに前科持ちの少年を引き取り、どちらの面倒もみている。どちらも何の義務もなかったのに。なかなかできることじゃないよ。客商売をやりながらのリスクだって少なくなかったのに。
鞘くんに惣治郎のすごさがどれくらいわかっていたのかはわからないが、その惣治郎から認められ、心底感謝されたのは、鞘くんの自尊感情にとっても大きな影響があったのではないか。
しかし若葉さんにご挨拶した後、この話の流れから「何かあったときはお前の力になる、家族として」とか言われてしまうと、双葉ちゃんとお付き合いすべきだったかな……という気がしてくる。だめだ! 鞘くんはもう真ちゃんとお付き合いしていて、この周回では浮気はしないって決めたんだ! ごめんね双葉ちゃん……というか惣治郎さん……。
祐介くんもコープMAXに。
そうか、そうきたか。清濁あわせもつのが人の心というわけだな。ただ美しいだけのものではないからこそ面白く、表現のしがいもある。純粋な美を求めて絵を描こうとしていた祐介くんだったが、そういうところに着地したか。
たぶん西洋美術史を学べば、神を称えるための美を追求してきた絵画というジャンルが、近代以降個人の悩みや苦しみを表現し始めるという流れが見えてくるはず。
わたしがちゃんと知っているのは美術史ではなく音楽史の方だが、大体同じ流れをたどってるんじゃないかな。近代以降の西洋音楽なんて、個人の苦しみの吐露や激情にまみれていて、でも、だからこそ美しく、多くの人の共感を呼ぶ。日常的な感情の振れ幅から大きくはずれたところにまで猛烈な勢いで感情を揺さぶられる音楽だが、その非日常こそが藝術の担うべき役割ではないか。
祐介くんは自覚なく美術史をなぞるような道をたどっていて、その末に「今」に生きる自分は絵画で何を表現すべきかという答えにたどりついたわけだ。
悩んだ祐介くんがみんなに相談する流れもよかったな。
振り返ってみると祐介くんのコープこそ、徹底的に承認欲求と自尊感情の話だった。
他者からの評価を求めながら、そんな自身の感情を自分で認めることができない祐介くん。でも、それでもいいのだと杏に言われて気づくことができた。同時に、この友人たちからはすでに「認められていた」ということにも気づいたんだな。絵の才能とは関係なく、祐介くんが祐介くんであることを認めてくれて、悩みを聞いてくれる友達がすでにいたのだと。それこそが彼の「希望」なんだなあ。
その夜、三島くんもコープMAXに。三島くんの話もめちゃくちゃ承認欲求の話だったなあ。
ある意味で最もプレイヤーの視点に近く、等身大のキャラクターとしてデザインされたのが三島くんだった。だからこそ、彼の承認欲求だだもれの痛々しい言動は見ていてキツかった。
それだけに「自分の認知は自分で変えられる」という、ごく普通で当たり前の「等身大の」結論に彼がたどりつけたことにはほっとしたなあ。裏切者なんじゃないかと疑ってすまんかった。
ちなみに春ちゃんのコープも進めているのだが、進めるほどに春ちゃんと付き合うべきだったのではないかと思えてきてまずい。このフィアンセは奥村のパレスで倒した覚えがあるが、あれは奥村の認知上の存在なので、フィアンセ本人の認知は変わってないんだよな。こいつをぶん殴って「春ちゃんは俺がいただいた!!」と言えたら丸く収まる(丸く???)気がするのだが、鞘くんはもう真ちゃんと付き合ってるんだよ!!
でも、それ以外にどうやってこの話をおさめるんだろ。
あと、わたし自身がコーヒーをまったく飲めないし味もわからないし匂いもだめなレベルなので、春ちゃんが情熱を傾けているコーヒー話にいまいち入っていけないのが申し訳ない。ついでに惣治郎のコーヒーへのこだわりもまったく理解できていなくて申し訳ない。
現状はこんな感じ!
じゃあ覚悟を決めて、メメントス最深部を目指すか……!