なぜ面白いのか

見たもの触れたものを保存しておく場所。映画、ドラマ、ゲーム、書籍の感想や考察。

改めて世界を回る「エクスペディション33」プレイ日記8

やっぱり外見のモチーフは絵筆なのかな

前回ACT 3に入り、判明した諸々の情報を整理してやっとこれがどういう話なのかおおまかに理解した。

そこから一気にラストダンジョン(?)に向かうこともできそうだったが、恐ろしく多くの未開の地がある。ひょっとしてこのゲーム、メインクエストで行くダンジョンの倍くらいサブダンジョンがあるのでは。さらにサブクエストもいろいろ発生した。

恐ろしいレベルの敵がうろついているダンジョンは、やるとしてもクリア後ということにして、今回はクリア前に見ておいた方がいいのかなと思ったサブクエスト群にとりかかる回である。

では以下、ACT 3以降のネタバレ感想!

初回記事はこちらから。

nazeomoshiroi.com

 

こいつの登場はびっくり&怖すぎて悲鳴あげた

 

改めて世界を回る

諸々を理解してから回るこの世界は、美しくもあり痛ましくもあり、無邪気さと執拗さと容赦のない残忍さがあいまった混沌として感じられた。

この世界は、ひとりの設計思想のもとにまとまっていない。少年が思うままに構築した世界に、あとから大人たちが手を加えた結果が現状だ。しかも手を加えた大人たちは、この世界を、つまり作品を良くしようとは思っていない。この世界を自分たちの喧嘩会場くらいにしか思ってないんじゃないか。それでこの美しかったはずの世界は大災害の後みたいな状態になってしまった。

岩波の崖で会ったときの

この「幼い少年」が、この世界を描いた本来のヴェルソ(の残留思念的なもの?)なのだろう。この少年はどこで会っても嘆いている。

この世界を構築した記憶もあるはずの現ヴェルソは、いったいどんな気持ちでここで生きてきたのか。納得できていたとは思えないんだけど。

ジェストラルもグランディスも、ヴェルソの創ったオリキャラだったわけでしょ。一緒に遊んで育った仲でもあるんだよね? そんな彼らが世界崩壊で数を減らしたとか、彼らの大事にしていた詩作文化が変質したとか、そういうことを見聞きしたら悲しいんじゃないかな……。

まあ現ヴェルソを描いたのはアリーンだし、たぶんアリーンはヴェルソの描いた世界がこんなふうになることを望んだわけではなかったのだろう。こうなるのを止めるだけの力もなかっただけで。世界を崩壊させたのは主にルノワールなのかな。あとはひょっとしたらクレア。

これは空飛ぶカジノにいたジェストラルの言葉。このエリアはピンク色に光るイルカや馬がそこかしこにいて、本当に幻想的だった。こんな世界が失われたのだと思うと、本当に悲しいな。

そして、これもまたパラダイスロストの物語だったのだと気づいた。今判明していることだけを見れば、ヴェルソ本人にはロストの責任はほぼないんだけど。創造主の死後も「作品」が残り続けるからこそ起こった悲劇でもある。

ヴェルソはもともと音楽が好きだったのに、両親がペインター/ペイントレスだったから絵も描くことになり、なまじそっちにも才能があったから親も期待したし、本人も本当にやりたいことを言い出せなかったのかもしれない。

でもルノワールはヴェルソの本質をわかっていて、だからこそヴェルソのアクソンは仮面の守護者だったんだな。

わかっていたなら、本当に望む進路に進ませられたらよかったのに。でも彼らの時代にはまだ、家業以外の道に進むのはそこそこレアケースだったかもね。特に両親ともにその道の第一人者だったなら。謎の作家とかいう脅威も存在していたようだし。でも人の家に火をつけるようなヤバい作家に目をつけられた家業なら、息子が望まないなら別の道もあるって言えばよかったのに……(堂々巡り)。

その上ヴェルソ(絵)には戦いの才能もあって(絵の中の世界だから「私の画力は53万です」みたいな感じで画力が戦闘力になるんだろうか)、第0遠征隊にも加わることになっちゃって。背負わせすぎだろう。ヴェルソが何したっていうんだよ。

 

白いネヴロンたち

各地でサブクエストを依頼してくる白いネヴロンの正体がわかった。正確には何もわかっていないが、こういうことらしいということがわかってきた。

えーと、まずネヴロンを創ったのはクレア。その目的は前回確認したように、アリーンとルノワールの衝突の解決を早めること。この世界の人が普通に死ぬとそのクロマがアリーンに回収される(たぶん)ので、そうならないようにネヴロンが創られた。

ネヴロンに殺された死体は黒い状態で残り、そのクロマは死体に残留する(たぶん)。我々がお宝ゲット! といただいているクロマもそういうものだと思われる。フィールド上の拾えるクロマは、ほぼ全部死体から回収している気がする。

で、白いネヴロンを創ったのもクレア。

「創った」というよりは「蘇らせた」が正しいようだ。ネヴロンも倒されると黒い状態で残るから、クレアがそれを蘇らせている感じなのか。で、その中の未完成の不完全なやつが白い状態(クロマ=彩度がない状態)だということのようだ。

白いネヴロンは不完全であるためか、目的を見失い、人を襲わない。自分を完全なネヴロンにすることにしか興味がないみたいだった。だが、プレイヤーの助けによって願いがかなっても、彼らが「完全なネヴロン」になることはない。彼らはやっぱり白いままだし、人を襲うこともない。

このブランシュくんは、そういう不完全なネヴロンを消すために描かれた存在らしい。不完全なネヴロンは「主の失敗の証」となるので、消さなければならないらしい。なんだろうこれは。消しゴムとか修正液とか、そういう類いのものの擬人化か。人じゃないけど。

しかしブランシュくんは、「同じ筆で描かれた同類」たる不完全なネヴロンを消すことができなかった。かといって、助けることもできなかった。それで、今まで彼らを助けてきたヴェルソたちに感謝しているらしい。

なんか白いネヴロンも気の毒すぎないか。人を襲う存在であれとも言えないけど、不完全なまま生を受けて、しかし何をすればよいかわからないまま、主への忠誠や憧憬だけ持たされて。

シャリエくんがいちばん悲惨だった。戦うために生まれてきたのに戦うことが嫌で、テストとしてヴェルソたちと戦ってみたけど、結局戦いを好きになれないという自覚だけが強まって、自分を消してもらうことを望むなんて。

クレアのキャラクターについてはまだほとんどわからないけど、彼女は自分の創造したものに愛着を持たないタイプなのか。もうちょっとアフターケアをしようという気にはならないものなのか。

それとも、平時なら愛着を持つとしても、今は非常時だからそれどころではないということなのか。少なくともクレアはネヴロンを芸術作品として創った意識はなさそうだしな。彼女のオリジナルキャラでもないし。

クレアという名前からして(Clair もしくは Claire ってタイトルに入ってる単語だし)、絶対重要なキャラだと思うのだけど、ここまでを見る限りは情報が少なすぎる。今からがっつりストーリーに絡んでくる? もう最終盤だと思うけど?

この白いネヴロンの言うことは、この作品の本質を突いている気がする。この世界に生きるすべての人が、つまりルネやシエル、ギュスターヴ、それに今パーティにいるヴェルソも「人によって創られた心」を持つ。上位存在であるペインター/ペイントレスによる創作物、フィクションだ。

彼らをすべてフィクションだと捉えれば、キャンバスを消してみんなが現実の問題に専念することですべて解決だと思える。

もちろん彼らはすべて「フィクション」だ。さらなる上位存在であるところのプレイヤーにとっては。クリア後にデータを消せば全部なかったことにもできる。

でも、それで「解決」ってことにしていいのか? っていう話だよね。この作品、絵画をモチーフにしてはいるけど、むしろフィクションと現実の関係を問う構造になっているのでは。

 

モノコのストーリー

さて、クリア前にサブクエストも終わらせていくことにした。ACT 3に入った当初は、地図上の赤いアイコンのところに行くと「危ない!」表記だったのだが、ここまで散々寄り道して(主に取りこぼしたジャーナル探しで)いるうちにだいぶレベルが上がった。おかげでもう「危ない!」表記が出なくなった。

安心して聖なる川に突撃したが、ボスは結構強かった。しかもお前と戦うんかい! ノコを蘇らせるイベントでどうして戦闘が発生するのか、突撃前は全然わからなかったのだけど、そういうことかよ。

モノコのこの告白で、ジェストラルの生態が少しわかった。この世界における輪廻転生の考え方は、人だけではなくジェストラルにも徹底している。

というか、ヴェルソが輪廻転生を信じていたからこそこの世界の人たちは皆、来世の希望を口にするのか。それとも、この世界では「クロマ」がめぐって命になることを本能的に知っているからそういう死生観が自然と発生したのか。

モノコが「ヴェルソ」と呼ぶのはこの世界を描いた方のヴェルソで、「オマエ」と呼ぶのは描かれたヴェルソだと気づいたときは叫んだね。

でも描かれたヴェルソにとって「新しい始まり」って何だろう?

 

ルネのストーリー

ルネの両親の手がかりを探して、シレーヌのドレスへ。ここのマップも割と狭かった。

こいつがズシーンと降ってきたときは、びっくりしてコントローラーを取り落とすところだった。演出も外見も怖すぎるだろ。

こいつは「クロマティック・グリッサンド」という名前だったけど、どういうつもりでそんな名前にしたんだろう。グリッサンドは器楽での演奏法のひとつだけど、こいつは音楽に関する性質を持ってたか?? ここに入る扉を開けるために、ルネがギター(たぶん)を弾いたくらいか?

イタリア語の glissando は英語の glide だから、単に「滑る」という意味でつけられた名前かもしれない。手足がなくて滑って移動するやつだから。

名前はともかく、このグリッサンドを倒した先で、第46遠征隊のジャーナルを見つけた。ルネの両親が参加した遠征隊である。

ルネの母親は、このグリッサンドにやられたのかな。シレーヌではなくて。

やっとたどりついた母親の痕跡だけど、ルネにとってはこれも呪いの一種だったのかもしれない。

だから、だったのかなあ。ルネにシレーヌの魅了が効かなかったのは。目の前にどれだけ魅力的な幻が見えていたとしても、頭の中に両親の声が聞こえているなら、目の前にいるのが幻だとわかるのかも。

そんな彼女にヴェルソがかけた言葉がこれ。

非常に良いことを言っているとは思うのだけど、これさあ、ヴェルソは自分に向かって言ってるよね? ルノワール(絵)に立ち向かうことを決めた自分に言い聞かせてることだよね? そしてたぶん、亡くなってしまった現実のヴェルソに対して言いたい言葉でもあったんじゃないかな。

現実のヴェルソはもう何かを選択することはできなくなってしまったけど、彼はおそらくは両親への遠慮もあって、音楽をしたいという本音をなかなか口にできなかったのだろう。そんな現実のヴェルソの記憶があるからこそ、今のヴェルソはこういうふうに考えるようになったのでは。

その後のイベントの、歌を書いているというルネが本当にきれいでさ……。

空いた時間を少しだけ自分のために使うことにしたルネを見て、ヴェルソもわたしも少し安心した。

いいストーリーだったな。喪失と、再生の物語だ。

でもヴェルソがシエルと関係を持っているのがルネにバレバレだったことがわかって、なぜかわたしが冷や汗をかいた。

 

リーチャーへ

最後に、マエルからリクエストされたアリシアとの面会をすべく、リーチャーへ。ここにはアリシアのアクソンと、アリシア本人がいた。アクソンを創ったのは、やはりルノワールのようだ。

アリシアのアクソンは「空を掴みし女」らしい。

ここも「屋敷」に通じていて、中でジャーナルを拾うことができた。

これはたしか、玄関に家族の絵を飾ったら奥の扉が開いて、そこで拾えたやつ。たぶん書いたのはルノワールで、アリシアへの言葉だと思われる。これがルノワールから見たアリシアの本質で、だからこそアリシアのアクソンは「空を掴みし女」なのだろう。

この言葉を、アリシア本人に伝えてあげていればよかったのに。マエルは、アリシアとして両親に愛されていた実感がなかったみたいだ。クレアは「完璧」で、ヴェルソは「いつも父さんを笑わせてた」そうだけど、末っ子の自分は「いいことなんてなかった」らしい。

でもヴェルソに言わせれば、父親の本当のお気に入りはアリシアらしい。

それならそう言えばいいと思うんだけどな……。作家じゃなくて画家だから、言葉を尽くすよりは絵に描いて伝えようとしたのだろうか。でも、だからって創ったのがクソデカタワーではなあ。子どもに希望を与えるというよりは、天にも届く期待感を押しつけているように見えてしまう。しかもこのタワー、ガタガタで荒れ放題だし。

アリシアのアクソンも、傷ついて欠落して虚ろな感じだし。

マエルに「わたしたちには羽ばたく権利がある。新しい始まりをあなたにあげる」と言われたアリシアは、こんなふうに答えた。それで、マエルはアリシアを消し去った。アリーンやルノワール(絵)と同じように。

このアリシアは、アリーンに描かれた存在のはずだ。だからここから消えてしまったら、クロマに還ることになるのかな。クロマとして、アリーンのもとに還るのか?

このときのヴェルソの反応が、一言も話さないのだけど、だからこそ印象に残った。

こういう場面で心情を言葉でぺらぺら語らせるのではなくて、キャラクターの表情と演技だけで伝えようとするのがこのゲームの特徴かもしれない。意図を正確に読むのは難しくなるのだけど、想像の余地は広がる。「作家」とは違うのだよ「作家」とは、ということだったりして。

 

ちなみに、「屋敷」で拾ったもうひとつのジャーナルも興味深かった。

こっちのジャーナルはアリーンに対して書いているようだ。ルノワールの捉えたアリーンの本質が、ここに書かれているセイレーン=シレーヌだったわけだ。だからアリーンのアクソンはシレーヌなんだな。

シレーヌとは、完全なるものへの憧れの象徴か。アリーンこそ、その完全なるものに惑わされていたのか、あるいは彼女はその頂きを自分のものにしたのか。

とにかく、だからこそアクソンとしてのシレーヌは魅了攻撃をしまくって、ルネには効かなかった。両親の「完璧な幻影」があるとすれば、それは幻にすぎないとわかっていたから?

ネヴロンの3Dモデル!?

 

マエルのストーリー

キャンプに戻ると、ヴェルソはマエルを責めた。ヴェルソはアリシアが消えるのを思いとどまらせたかったようだ。ヴェルソ(絵)にとって、アリシア(絵)は最後の家族だったから。

ただ、マエルの言い分はわかる。ヴェルソはアリシアからの手紙をマエルに渡すことなく、ルノワール(真)がこの世界の全員を消すのを許したのだから、マエルを責められる立場ではないはずだ。それでもヴェルソの言い分を聞いて「お別れの時間をもうけるべきだった」と言えるマエルはえらい。

その後、ヴェルソはクレアに頼まれてマエルをこっそり見守っていたことを打ち明ける。つまりそれは、ヴェルソがギュスターヴを見殺しにしたことを意味するわけで。

おい……。斬新な演出だな!!!

返事がどっちだとしても、プレイヤーには真相が伝わるわけだ。しかしプレイヤーには真相を伝えた上で、ヴェルソがどう答えるかはプレイヤーに委ねられるわけだ。なんてゲームだよ! ACT 3はマエル視点じゃなかったんかい!

ここはマエルに真相を伝えることにした。なんかたぶん、マエルは真相を察していたように思えたから。今更ごまかすような場面じゃないでしょと思って。

ヴェルソの予想は正しいだろうし、そうなるとかなり状況を理解した上で意図的にギュスターヴを見殺しにしたことになるわけで、悪質だなオイ……。いや彼の意図はわかるんだけど。どっちにしてもアリーンを現実世界に帰した時点で、全員消えるのは同じなわけだし。でもギュスターヴはルノワール(絵)に殺されたせいで蘇生できてないしな~。

マエルがどう反応するか心配だったけど、「ありがと。ホントのこと言ってくれて」と応えて、「真実で築かれた絆」を結ぶことができた。

やっぱりマエルは察してたんじゃないかな。アリシアを消したのは、その件の意趣返し的な意味もちょっとだけあったのかも。

このイベントでアンロックされるスキルが「抹消」なのが怖すぎる。ひょっとしてマエル、その気になればヴェルソも抹消できるんじゃないの。

 

というわけで、現在進めたのはここまで。

じゃあそろそろ覚悟を決めて、ルミエールに向かうか。

今気になっているのは、ジャーナルの最後の方にうっすら書かれている「シモン」って誰なのよ、ということだ。ここまでまだ名前が出てなくない?

「ジュリー」は捜索救助隊としてヴェルソとともに旅立ち、ヴェルソの不死性を目撃して彼に疑いを持った人だということがわかった。

以前のプレイ日記で、ジュリーについてこんなふうに言及していた。

ヴェルソは、ギュスターヴを失ったことからジュリーという人のことを連想しているらしい。恋人か何かだろうか。エスキエが知っているということは、その人も遠征隊だったのかな。

やっぱり恋人だったんだろうな。

その人に疑われて、殺されかけて、逆に殺してしまうなんて。

で、じゃあ、シモンって誰??? ジャーナル情報だけ攻略サイトを解禁して調べてみたのだけど、たぶん現時点のレベルでは返り討ちにあいそうなところにあるっぽいんだよな。

なので、とにかくいったんクリアしてしまおう。

いざルミエール。

 

押していってもらえると喜びます!

 

nazeomoshiroi.com

nazeomoshiroi.com