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Life Is Strange エピソード1を振り返って読み解く

「オクトパストラベラー0」発売まで何か短時間でクリアできそうなゲームをしたいなーと思い、以前セール時に買っていた「Life Is Strange」をやることにした。

愚かな選択だった

こんなゲームをのんびり進めることなどできない。睡眠時間を削ってプレイし、即座にクリアしてしまった。たしかに短時間でクリアできたが、まだ「オクトパストラベラー0」まで2週間もあるやないか!

その上クリア後に引きずるタイプのゲームだったので、エンディングについて延々と考えてしまう。またしてもセラピーが必要なゲームやないか!!

わたしには書くことがセラピーになるので、書くしかない。

ネタバレで感想を書こうと思うが、その前に書いておくことがある。

わたしはPS5でリマスター版を購入したが、これには結構バグがあるようで、途中でソフトが落ちること1回、進行不能バグが1回、正しくロードされない状態のまま止まってしまうことが2回あった。普通ならこまめなセーブを心がけるところだが、今作には手動セーブが存在しない。これには本当に困った。そんな形で時間の巻き戻りを表現するんじゃない

これから買うような人がこれを見ているとは思えないが、そういう人はリマスターではないバージョンを買うといいのかもしれない。また終盤の展開的に、スマホ版では操作が厳しいかもしれない。コントローラーが使える環境で遊んだ方がいい。

 

エピソード4「暗室」納屋で進行不能になった人へ

納屋で「古いモーター」をロープに結び付けて床に落とした後、南京錠もハッチもターゲットできなくなり、クロエも無反応になり、進行不能になってしまった。

どうしようもないので調べてみたところ、PS版だとよくあるらしい。わたしは最後のチェックポイントからやり直すのを繰り返したところ、幸いにも3回目で正常処理が行われ、先に進むことができた。

これでもうまくいかない場合、南京錠に一度触れた後、ロープを南京錠に取り付けずに段差を登る。段差の上でモーターにロープを結び、下にいるクロエに頼んでロープを南京錠に取り付けてもらうと、バグらずに進行できるらしい。

詳しくはこちら。

https://www.reddit.com/r/lifeisstrange/comments/13bzgbm/comment/kuo84qb/?tl=ja&utm_source=share&utm_medium=web3x&utm_name=web3xcss&utm_term=1&utm_content=share_button

 

さすがに修正してほしいけど、発売から何年も放置されているということは修正する気はなさそう。

ほかの場面でロードがうまくいかない場合は、最後のチェックポイントからやりなおすことで2回目は進行できた。

この先はエピソード5のネタバレなので、プレイ中の方はここで引き返してほしい

 

 

 

エピソード5「偏光」悪夢のスニーキング迷路が無理だった人へ

どこが進める道なのか、どこが行き止まりなのかもまったくわからないまま強制やりなおしされまくり、しかも連続やりなおしの状況になるとスタート地点に戻され、マジでもう投げようかと思った。が、ここまできてあきらめるくらいならと思い直してマップ情報はないのかと検索し、そんなものはなかったのでこの動画を見ながら攻略した。トロフィーが必要で写真を残さず撮りたい人のための攻略にもなっている。撮影者のコメントも先のストーリーのネタバレもない淡々としたプレイ動画で、本当にありがたかった。

youtu.be
もう何度このブログでこれを書いたかもわからないが、スニーキングミッションが好きな人はそういうゲームを購入する。頼むからゲームの途中でジャンルを変えるな

アドベンチャーゲームをやってて、最終盤で高難易度スニーキングミッションが始まって難易度で挫折するとは思わんだろ。

しかもこの高難易度っぷりが、ゲームとしての面白さにもシナリオの面白さにもつながってないのはダメだろ。マックスの後悔、自責の念、迷い、恐怖を表現したいなら迷路とアナウンスだけでよかっただろ。

(スニーキングが面白いのは、基本的には隠密状態から不意打ちを決める爽快感とセットだと思っている)(わたしはそもそもスニーキングを面白いと感じられない人なので参考にしないでください)

 

そんな感じで、ゲームとしてのあり方にはだいぶ疑問を感じる部分はあったが、ストーリーはとても楽しめた。そしてセラピーが必要になった。

というわけで、以下は本題のネタバレ感想。エピソード1から書いていくが、全編ネタバレしながらの振り返りなので、クリア後にお読みください。

 

 

 

 

エンディング選択について

よく見ると鹿のペンダントをつけている

はじめに自分の立場を書いておくと、わたしはクロエを犠牲にするエンドを選んだ。クロエを大事に思わなかったわけではない。この物語は(「も」と言うべきか)、いわゆる「ジュヴナイルもの」がすべてそうであるように、少女が大人になるための通過儀礼を描いたものだ。まさに「サナギ」が「蝶」になるまでの物語。

現実とうまく折り合いをつけられずぎこちない生活を送っていた少女が、現実を正しく受け止め、受容し、折り合いをつけ、自らの選択に真の意味で責任を負えるようになっていく物語。だからこそ、最後はクロエという「命綱」(あるいは「補助輪」、あるいは「セキュリティブランケット」)を手放す必要があった。

もしこの物語が映画であれば、100%クロエ喪失エンドで終わるだろう。しかしこれはゲームである。クロエ生存エンドの可能性も存在しているからこそ、「それを選ばない」ことに意味がある。マックスにとっての意味も、プレイヤーにとっての意味も。「選ばない」からこそ、マックスの成長を描ききれたわけだ。

自分の選択が気に入らない結果をもたらした場合、マックスはたびたび時間を巻き戻してきた。言い換えれば、自分の選択に向き合い、責任を負う気がないということだ。このことには本人ももちろん気づいていて、それが5章で悪夢として自分の前に現れる。

しかし最後には自分の選択に責任を負い、自分のやらかしすべてを自分でなんとかする「大人」へと成長する。これはそうやって完成する物語だ。

もちろんクロエ生存エンドを選ぶプレイヤーも少なからずいるはずで(現時点ではクロエ生存を選んだ人は55%)(でもこれは、一度クロエ喪失エンドを選んだあと「2回目」をやって終えたプレイヤーも含んでいると思われる)、そっちを選んだ人にとってはそっちが「正解」だ。そっちを選んだ人には、クロエ喪失エンドが存在していることが、やはり何かしらの意味を持つだろう。

 

 

エピソード1:サナギ

先にリザルト画面を貼る。

まあまあ多数派プレイである。植物は単純に気づかなかった。

最初は周囲の大人への信頼感があったので、ネイサンのことを校長に素直に話している。この一件で「ここの大人はどうしようもねえ」と気づき、以降はもうちょっと慎重なプレイになっていく。

わたしは基本的には監視カメラ導入には賛成の立場だ。たとえばトイレの個室の中とか、ホテルの室内にまでカメラがあったらそれはもう犯罪だが、それ以外の「公共の場」では誰に見られても問題ない行動しかしないので、監視されていたとしても困ることはない。

しかしそれは、監視カメラのデータを扱う側の人間が信用できる場合に限るなと、このゲームをしながら考えを多少修正した。監視カメラのデータに触れられるのが、清廉潔白な人だけとは限らない。帰宅時間や帰宅ルートなどのデータを悪用しようとする人もいるかもしれないし、悪意はなくてもデイビッドのように情緒不安定な人に見られるかもしれない。セキュリティがガバガバだと、そのデータが流出するかもしれない。結局警備関係のお仕事は、信用できる人しか雇っちゃダメだという当たり前の結論になるわけだけど。

しかしもしこの学校に半年前から監視カメラがあれば、レイチェルは行方不明になることもなかったのではないか。少なくともジェファソンは学内ではもうちょっと慎重に動いたのではないか。

ちなみにデイビッドを初め、このゲームに登場する人たちは「根はいい人」みたいな描写が多い。だがわたしの価値観では、デイビッドは少なくとも教育機関にかかわっていい人とは思えない。根はいい人かもしれないが、幹が腐りすぎだろ

まともな信頼関係を築けない大人が思春期の義理の娘とうまくやれるはずがないし、教育機関に就職するのも危険すぎる。たとえ子どもを守りたい気持ちが本物だろうがダメすぎる。思春期(思春期はもう過ぎていそうだが)の子どもたちにとって、大人への強烈な不信感を抱かせることがどれほどの悪影響をもたらすか。マックスたちも「何があっても大人には頼れない」と思ったからこそ、自分たちですべて解決しようとして最悪の結末になったわけで。

デイビッドに必要なのは警備員としての成功体験ではなく、適切な支援と治療である。治療を続けるためには収入が必要だし、彼が社会と断絶するのもよくないので何かしらの仕事は必要なのだろうけど、それが教育機関だというのはとてもまずい。

 

 

鹿と蝶と青い鳥

ストーリー全編を通して、鹿と蝶は深い印象を残していく。鹿はマックスの守護動物で、蝶はクロエの魂だろうか。

ギリシャ語の Psykhe は蝶の意味であり、魂の意味でもある。西洋の作品でしばしば蝶が魂の比喩的に扱われるのは、このためである。もちろん作中でも示唆されていたように、蝶はバタフライエフェクトの暗喩でもある。

またエピソード1タイトルが「サナギ」であることから、蝶は「大人になる」ことの象徴でもあると考えられる。

エピソード1からこういうヒントが出ている

マックスは鹿柄の服を好んで着ている。エピソード1からこれだ。

しかも鹿が英語で doe であることを考えると、このシャツは JANE DOE、すなわち「匿名の誰かさん」と書かれていることになる。この時点ではまだ何者でもないマックスの立場と心境を表しているのかな。というか、マックスがまさに自分の心境とぴったりだと思って買ったのかもしれない。

マックスが鹿柄を好むようになったきっかけは、クロエ宅にあった鹿のスノードームだと思われる。本人は自覚してないかもしれないが。鹿柄を身につけることで、幸せだった5年前の自分たちとのつながりを感じ、クロエに連絡していないことへの罪悪感を埋め合わせていたのではないか。そこまでは絶対自覚していないだろうけど。

鹿はエピソード1からマックスを導いてくれていた。このときは、嵐の中でマックスがどう進めばよいかを示してくれている。

この半透明の鹿も、時間の巻き戻しとセットでマックスに目覚めた能力だったのかも。この町の動物たちは、マックスが歴史改変を進めることで死んでいく。それに反してこの鹿は、マックスが改変された時間軸(クロエ生存時間)の中で生きていけるよう導いてくれている。やはりマックスにとって鹿がクロエとの思い出と結びついているからかな。

一方のクロエは、これ以上ないくらいの MEMENTO MORIである。よくあるパンクファッションでもあるのだろうけど、彼女の服装は基本的に死を思わせるものが多い。

この青い鳥は何なんだろう? とずっと考えながらプレイしていた。

「青い鳥」といえば、基本的には幸運の象徴だ。だから鳥を助ければ何かいいことがあるものかと期待した。が、特に何もない。生死の分岐があるだけだ。鳥がクロエ宅にいることで、彼女の家族に幸運が舞い込むこともない。

しかし、スクショを見ていて気付いた。

青い鳥=レイチェル・アンバーか!!

青い鳥は、マックスが介入しなければ、壁にぶつかって死んでしまう。自分の奔放な行動が自分の命を脅かすことを認識できないままに。

レイチェルにもマックスのような友人がいれば、死なずにすんだのかもしれない。あの青い鳥のように、危機を回避できたかもしれない。しかしレイチェルの友人はクロエであり、フランクだった。レイチェルを救うどころか、このふたりこそが危険因子である。巻き戻し能力もない。

 

 

プレイ中に考えていたこと

エピソード1の間は、ひたすらアメリカの学校が怖すぎて震えあがっていた。なんだよこの治安、ウェスタロスか? 日本人からすると、生徒が学校に銃を持ち込むのにドン引きである。

マックスやウォーレンはまあまあ常識があって問題も起こさない子として描写されていると思うが、それでもあのUSBに入った映画は違法ダウンロードしたものだろうし、友人たちが違法な葉っぱを吸っているのを普通に流している。「普通」の水準が日本とだいぶ違うな……。

ネイサンもデイビッドも日本基準だと特大の危険人物なので、このふたりのどちらかがレイチェル失踪にかかわってたりするのか? と想像していた。

クロエはクロエで、最初はあまり好感の持てる人物ではない。エピソード1の時点で、クロエにとって大切なのはマックスよりもレイチェルだ。ここからだんだんふたりがバディになっていくのだなと予感させてくれるので、この時点での印象は保留にしていた。

ジェファソンについては、彼がなぜマックスを評価しているのかいまいちわからなかった。マックスの作品自体、あまり具体的に描写されないし。ジェファソンがマックスの才能を認めているといっても、評価が具体的でないので、根拠があって言っているのか、それとも単に「お気に入りの生徒」なだけかがわからなくて。

撮っていたのがこの一枚だけだった

当初は、この作品がそんなに評価されるものなのかもいまいちわからなかった。これって「セルフィー」か? という気もしたし。

ただこの作品展まで来たときには、この写真の意味がわかった。

マックスの前に並ぶ写真すべてがセルフィーである。すべてがマックスの下してきた選択であり、可能性である彼女は自らの選択の結果と向き合っている。画面を横切るライトは、過去の選択を輝かせているようでもあり、分断を示しているようでもある。

この写真こそがこの作品のテーマそのものであり、マックスが最終的に目指さなければならなかったものだ。そして自らの選択の結果と向き合える強さこそが「日常ヒーロー」なのだというのが、マックスと作品からのメッセージだ。

この写真を撮った時点のマックスはまだこの写真のメッセージそのものではなかったが(フード=外界を遮断するためのアイテムを身につけていることで示唆されている)、エンディング後にはこの写真を体現する人物になれたということではないかな。

 

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