
「Life Is Strange」振り返り感想も今回が最後。
楽しかったけど、本当につらかったし今も引きずっている。感想を書くのはわたしにとってセラピーで、この話を自分の中でいったん「おわり」にして、次に進むための手続きでもある。
エピソード5は今まででいちばん複雑なパートで、わたしもスクショを眺めながら「この世界線って結局どうなったんだっけ?」と確認する必要がある。でも、それこそがこの手のゲームの醍醐味だよな。
というわけで、今日はエンディングまでのネタバレ感想!
初回記事はこちらから。

エピソード5:偏光 Polarized
エピソードの原題は Polarized、物理の分野では「偏光した」という状態を指す。偏光とは自然光と違って、振動が一方向だけに偏った光のこと。偏光板(polarizer)という装置を使うと、光を特定の方向にだけ振動させられる。カメラも液晶画面も、この原理の応用で機能するもの、らしい。
この言葉が「ポラロイドカメラ」の語源になっている。マックスのインスタントカメラがポラロイド社のかどうかは不明だが、「ポラロイドカメラ」自体がもうインスタントカメラの代名詞のような言葉だ。
またこの言葉には「対立した」「二極化した」という意味もある。マックスはエピソード5でついにジェファソンと明確に対立し、自分自身とも対立する。そして最終的に、結末が二極化する。
よくできたタイトルではないか。こんなタイトル、訳せねえよ。でもやっぱ「偏光」だけじゃほとんど伝わらなくない?
ともかく、今回もまずはリザルト画面を。


エンディングの二択については前回だいぶ力説したので、今回はひとまずおいとく。やはりクロエ生存は問題の先送りでしかないので(割と最近、似たような選択をしたばかりなのに……ゲームにはつらい二択が多い)。
デイビッドが負傷しないルートなんてあったんだ? ていうかデイビッド、元軍人の割にジェファソンに簡単に殴り倒されおって。本職分野くらいではこっちの助けがなくても仕事してくれ。あのパートを何回やりなおしたと思ってんだ。
実はデイビッドは一度ジェファソンを殺してしまい、すぐに巻き戻した。ジェファソンが気の毒だったわけでもデイビッドに罪を負わせたくなかったわけでもない。余罪がすべて暴かれるべきだと思ったからだ。この世界線がなくなるのが前もってわかってれば、殺っておいてもよかったな。
嵐の中で助けられる人は全員助けられたみたいだ。わたしが列車の進路を変えたせいで嵐に巻き込まれたトラック運転手が本当に気の毒だ。
デイビッドに対するジョイスの誤解って何?? 誤解なんてあったっけ??? 全部当然の評価だと思うが???? 切れて銃を抜くような暴力性を持つ人間を子どもに近づけたくないのは普通だろ。
フランクにもレイチェルのことを正直に話した。当然だ。お前が売ってた麻薬のせいでレイチェルは死んだんだよ。一生悔いて生きろ。子どもに薬を売るようなやつが、犬には親切だとかで「いい人」評価されるような価値観は嫌いだ。

ウォーレンにはハグをして別れた。少なくともこの時点のマックスにとって、ウォーレンは「いい友達」以上の存在ではないように思ったので。でも彼がいざというときに頼れる存在だったのは間違いないし、この町が救われたのは彼のおかげでもある。きっとハグくらいはするだろう。その世界線も上書きされてしまったが。
ジェファソンの正体

物語のラスボスがネイサンでは弱いよなーと思っていたから、だいぶ邪悪なラスボスが登場してくれて喜んだ。もしジェファソンがラスボスじゃなかったら、プレスコットのパパと対決するくらいしかないと思ってた。
わたしはね、邪悪な存在が「悪」として描かれるのは大好きなんだよ。ヴィラン愛好家だからね。邪悪としか思えない存在が「根はいい人なんですよ」みたいな描かれ方をすると切れ散らかすだけで。やっぱり自分の邪悪さを自覚していてこそのヴィランだよ(ルカ・ブライトに嗜好を決定づけられた人)。

ジェファソンは邪悪ではあるが、趣味は割とありふれたやつだな(フィクション上では)。社会的に評価されたバチバチのプロが、そのスキルのすべてを注いで全力で犯罪行為に走っているところがヴィランとしての個性だ。

被写体に選ばれるのはまれな存在と言う割に、結構な数のファイルがある。余罪がものすごいことになりそう。やはり全部解明されてほしい。
このファイルの数だけ犯罪の物的証拠が残っているということでもあるから、そこだけは不幸中の幸いというか何というべきか。「こんなにライティングも構図もちゃんとしてる写真を撮れるのはプロ中のプロだけ」みたいな「作品」になってしまってるのが、逆に犯人の特定につながってて面白い。
長年やってこの量になったのかもしれないと思ったが、この暗室と薬が手に入ったのはネイサンと出会ってからという話だったから、せいぜいここ数年ということに。よく今まで表沙汰にならなかったな……。
レイチェルをODで直接殺したのはネイサン。そのネイサンを見て危機感を抱き、ジェファソンがネイサンを殺した。そうなるともう薬も手に入らないし、暗室への出入りもしづらくなるような気がするけど、どうするつもりだったんだろう。当面必要な分の薬は入手していたのかな。でもフランクとのやりとりに、そんなにまとめ買いしたような記録はなさそうだったしな。
ネイサンはレイチェルを殺した後も平然と学校に通ってたわけか? いや言うほど平然としてなかったか。情緒不安定ではあったかもしれない。早い段階で対処できていれば、クロエは死なずにすんだかもしれなかったのにな(まあクロエはネイサンに殺されなくても、遅かれ早かれなのだが)。
ジェファソンはマックスを殺そうとしていたが、たぶんジェファソンにとって殺そうとしたのは初めてのことだったのでは(余罪ファイルに以前の犯行が載っているかもしれないが)。だとしたら、ジェファソンの中の「若さの喪失」を見てみたい欲求スイッチを入れたのはネイサンだったのかもしれない。ネイサンがジェファソンにレイチェルの死を見せたことで、そういう欲求を自覚するようになった、みたいな。
さて、ここからはマックスの授業中の自撮り写真からの過去世界。

授業で犯行予告をするもんじゃないよ、先生。

この横顔の強さよ。エピソード1の頃のマックスと全然違う。
ここからはしばらくマックス無双だった。彼女は日記を書くのと同じくらい、メールを書くのも速かった。デイビッド宛てにレイチェル事件の真相を伝えるメールを爆速で書き、すぐさまケイトを励まして生きる希望を与える。さらにビクトリアを正論でボコり、ジェファソンに課題の写真を叩きつける。
マックスと同じペースで執筆できたら、もっと頻繁にブログを更新できるのにと、プレイ中何度思ったことか。マックスの日記ってただの出来事の羅列だけじゃなくて、結構深いレベルの内省が書かれていたり、因果関係を整理しようとしていたり、かなり濃密なんだよね。写真家よりも随筆家を目指すべきなんじゃないのか。

こんなふうに、写真で世界線改変にともなって起こったこと、起こらなくなったことを見せてくれるの、好きだったな。
サンフランシスコ行き世界線
デイビッドにメールを送り、ジェファソンに写真を渡して戻ってきた世界線の「今」では、マックスがサンフランシスコ行きの飛行機に乗っていた。
えっ、コンテストの審査ってそんなすぐ終わるものだったの!? もとの世界線だとボルテックスクラブでビクトリアの優勝が発表された翌日だよね? いやもしかしてマックスが意識不明の間に数日経過してたとか????
学校選抜で入賞した作品がギャラリーに送られて、そこでコンテストとしての審査が行われて、展示される作品が選ばれるものだと思っていたけど違ったのか。まあジェファソンはこの分野の権威で、コンテストの主催者のひとりとかだったなら、その人が強く推した作品が審査をスムーズに通るのはわからなくもないが。
まあいいか。ここを深く考えだすとサンフランシスコパート自体が存在できなくなってしまう。きっとマックスは意識不明のまま一カ月くらい監禁されてたんだ。最悪だな!!!!!
(251129追記)
嵐が来る日は新聞を見たことで金曜日に決定しているので、たぶんこの世界線でも嵐が来るのは金曜日。やはり審査も展示準備も速すぎる!
(追記ここまで)
もしジェファソンが主催者のひとりだったりしたら、その人が逮捕された状態でよくイベントを決行したよな……。変な意味でマスコミに注目されたりしそうだけど大丈夫だったんだろうか。

Zeitgeist はツァイトガイストと読む。時代精神くらいの意味かな。
でも Zeit は英語の time だし、Geist は英語の mind であり、spirit であり、ghost でもある。守護霊や精霊の意味でも使われる。そう考えると、この物語を最初から最後まで見守る上位存在の名前としてもふさわしく感じられる。マックスは物語の最初からずっと、このコンテストを気がかりに思っていたわけで。

このときのマックスは、ネイサンとジェファソンの逮捕からショーン・プレスコットの不正にまで捜査が及んだことを「天罰」と言っている。
が、この台詞を深読みしたくなるわたしもいる。前回も書いたけど、アルカディア・ベイという町自体がこの町の現状を嘆いて「汚物は消毒だー!」をしたかったのが、あの竜巻現象だったんじゃないかと思う部分があるので。
ただもし本当にそうなら、竜巻を取り消す条件がクロエの命なのはおかしくて、プレスコット家の誰かの命を捧げるべきなんだけど。
で、このギャラリーでクロエから竜巻来襲の連絡を受けて(この世界線でクロエがネイサンに撃たれていないのは、マックスからメールをもらったデイビッドがネイサンのところに急行したということだろうか)、ギャラリーの自分の写真からさらに過去に飛ぶ。過去世界から過去世界への移動である。もうだいぶ因果律がめちゃくちゃになっているし、マックスもプレイヤーも話の流れに混乱する頃だ。
ここでコンテストに提出した自撮り写真を破れば、もとの時間軸に戻れるというわけだ。
嵐の到来
もとの時間軸に戻り、デイビッドに救出され(その前に何度もデイビッドを救出しようとして失敗したわけだが)、しかしこの世界線ではクロエがジェファソンに撃たれているので、マックスは再度過去に戻る必要がある。
というわけで、マックスはボルテックスクラブの日の写真を持つウォーレンに会うために Two Whales Diner へ。作中で明言はされてなかったけど、たぶんプリントアウトされた写真からでなければ過去に飛ぶことはできないのだろうな。スマホ時代にレトロなインスタントカメラにこだわるマックスの特性が、そんなふうに能力に現れているのだろう。

DINER の看板のライトが壊れて DIE になってるのを見てぞっとした。それがアルカディア・ベイの意思だというのか。
ウォーレンから写真を受けとり、前日の夜へと戻る。そこでマックスは、クロエに一度過去改変したときのことを話す選択をした。

ここは展開の分岐はないようだったけど、クロエにとってはすごく大きな意味があったはず。ここでマックスに聞かされたことが、彼女の最後の選択につながってたんじゃないかな。
ここでマックスはクロエに対して、ボルテックス・クラブには行かずクロエの部屋で待機するように言う。その上でデイビッドに全部話せば解決する、と。
その作戦はうまくいき、デイビッドは警察とともに暗室に入り、ジェファソンを逮捕できたようだ。
しかし。
真のラスボス、竜巻の登場である。何をどうしても、最後に竜巻が来てしまう。この竜巻を前にして、マックスは倒れる。
悪夢世界
ここからは時間移動ではなく、マックスの精神世界に入ったものと思われる。

さすがにマックスも、この竜巻の原因が自分にあることを察している。サミュエルからもウォーレンからも示唆されていたし。
この世界でマックスが見るのは、彼女の抱えた自己矛盾だ。
助けようとした人を逆に傷つけてしまったことへの自責の念。憧れの人から純粋さを認められたことだけはほんのちょっとだけ嬉しく思ってしまったことへの自責の念。

ビクトリアとの同一化も起こる。これは自信がないがゆえに他人を見下す弱さは自分にもあるという自己矛盾だろうか。ウォーレンと親しくしたい気持ちと、異性という「異質なもの」への恐怖という自己矛盾もある。

この一連のくだりは、ストレートにクロエに対する劣等感の表現だ。つらい。
マックスははっきり言葉にすることはなかったけど、やっぱり最初からクロエに対して劣等感があったよね。クロエはスタイルもよくて、無鉄砲だけどパワーがあって、マックスにはできないこと、言えないことも、できるし言える。学業面でも、マックスがシアトルに引っ越す前の時点を比較すれば、クロエの方が優秀だっただろう。マックス目線でクロエを見ると、どうしたって「憧れの女の子」に感じられる。
すごく嫌な言い方になるんだけど、たぶん、「だから」マックスはクロエに連絡をとれなかったんじゃないかな……。
クロエに対して劣等感と親愛という自己矛盾を抱えていたマックスは、ウィリアムが亡くなりクロエが「不幸」になったことで、「もうクロエに対して劣等感を抱かずにすむ」と感じた部分があったのではないか。しかしそんなことを感じる自分を、マックスは認めることができない。マックスの本質はきっと、ビクトリアに語った台詞の方だから。

そんな自己矛盾で雁字搦めになって、しかもそんな複雑な感情を言語化して自覚できるほど成熟しているわけでもなくて、マックスは長年クロエからの連絡を無視し続けていたのではないか。

でもマックスにとってクロエが大切なことは間違いない。彼女自身の心の扉を開けるパスワードは、クロエの誕生日だ(ぐぐって知った)。

マックスに「選ばれなかった」数々の世界線が、マックスの意識が離れた後にどうなったのか正確なところはわからないけど、マックス自身はほかの世界線もそっちはそっちで存続している可能性を考えていたわけだ。
たとえばわたしはマックスがクロエの命を終わらせることを選べなかったが、その世界線のクロエはマックスを責める。「もう帰って」と言われたマックスは、その後あの世界でどうなったのだろうか。クロエを再訪することなんてできなかったかもしれない。もう一度会えば、また同じことを頼まれるとわかっているので。そしてそのまま死に別れたのかもしれない。
そんなふうに、彼女は多くのマックスを「置き去り」にしてきた。「責任」をとらずに逃げ続けたのだと自覚していた。そのことと、ようやくここで向き合った。
だからこそ、これを踏まえた上でのクロエ生存エンドってめちゃくちゃ重いわけ。マックスはアルカディア・ベイのすべての人の命と向き合う覚悟を決めた上で、クロエと生きることを決めたわけだ。

いったい「どの」時間改変が問題だったのか。ここまで悪夢の中でほかのすべての可能性を検討した末、最後にマックスはクロエとの思い出を振り返る。「原因」は「これ」でしかない。世界はクロエを殺そうとしている。どう見たってその結論になる。
たぶん、竜巻の原因は「時間改変」ではないのだ。「クロエが生きていること」が原因なのだ。世界はどうしてこんなに残酷なのか。
最後の選択
クロエとの思い出が「現在」までたどり着いたとき、マックスは「現在」に戻ってくる。そこでマックスは、クロエからあの青い蝶の写真を返される。クロエの方から、あのときに戻ってすべてを元通りにしろと言われるわけだ。

クロエがここで言っているのは、エピソード4で死に瀕していた彼女が言っていたこととまったく同じだ。クロエは、このシチュエーションになったらこういう発想をするパターンを持っている。
そしてクロエは、マックスが時間を戻したらどうなるかということもちゃんとわかっている。自分が死ぬということだけじゃない。ここ数日の、マックスとともに過ごした思い出がすべてなかったことになるのもわかっている。
時間改変ものの定番展開といえばそうなんだけど、これがいちばんつらいよね。クロエにとって、感情のシェアがどれほど大事なことだったかわかっていたからなおさら。


その上でこんなふうに言ってくれるんだよ。マックスは全部覚えてるってわかってるから。一緒に過ごした時間がなかったことになったとしても、マックスの中には残るとわかってるから。
クロエの心境は、エピソード4の改変クロエとほとんど同じだっただろう。でも受けとめるマックスの方は違う。あのときも含めて、たくさんの方法を試した。多くの世界線を見てきた。でも全部だめだった。だめなのだと納得してしまった。
だから、あのときとは違う選択をした。
(ということに、わたしのプレイデータ上はなっている。このへんはプレイヤーごとに整合性のつけ方が違うはず)

この構図は、マックスがコンテストに出品したあの写真と同じだ。
このとき、彼女の前にはあらゆる世界線が広がっている。あの写真のように。あらゆる世界線のマックスと、あらゆる世界線のクロエがいる。「二極化」する稲光がその向こうに見える。
彼女はひとつを選ばなくてはならない。
わたしはたぶん、何回やりなおしてもクロエを犠牲にする方を選ぶ。
でも、それでも、この場面では泣いてしまった。

「このクロエ」は、マックスとの思い出を何一つ作らないまま死んでしまうのだ。
「元親友」と再会しないまま、義父への憎しみを募らせたまま、母親と心を通わせることもないまま、父親への感情も整理しきれないまま、レイチェル事件の真相も知らないまま、ただの退学した不良少女として、クソみたいな生徒に撃たれて。しかも死ぬ場所はトイレの床だ。彼女が最期に聞いたのは「てめえ なめた口利きやがって ぶっ殺してやる!」「てめえみてえなクズ 死んだって誰も気にしねえだろ!」とかいうクソみたいな台詞だ。
あんまりじゃないか。
マックスとクロエの思い出が消えるわけじゃないといっても、この世界のクロエだって消えるわけじゃないんだぞ。ていうかこっちが残るんだぞ。
こんな結末、消化できるわけがないわ。
何がセラピーだ、そんなものは fxxxxxx bxxxxxxx だ(ここまでのすべての記事をぶん投げる絵文字)(クロエの英語はだいぶアレだったな)。
最後にクロエの棺桶に青い蝶が止まる。マックスはそれを見つめ、そしてわずかに笑顔を見せる。
そう、たぶん最初からそういう話だったのだ。そう納得するしかない。
これは「サナギ」が「蝶」になる物語。内気な少女が、適切な自己肯定意識を得て笑えるようになるまでの物語。
一連の出来事を経て、マックスは人との付き合い方を学んだ。優しくするってどういうことかを学んだ。本当に相手のためになることとは何かについて真剣に考えた。恐怖や困難を乗り越えて行動することを学んだ。ファインダーを通してしか見ていなかった世界と、直接触れるようになった。
クロエとの経験が彼女を変えた。だから、マックスが「今のマックス」であることこそが、クロエとの思い出を忘れずに生きるということだ。落ち込んで泣くばかりで「前のマックス」に戻ってしまったら、それは本当にクロエとの思い出を否定することになる。それならもう、笑って前向きに生きていくしかない。それはそれで過酷な道だけど、今のマックスは「責任」を持ってその道と向き合えているはず。
立ち直れていないのはわたしである。ここまで書きながらどれだけ泣いたと思ってんだ。
はぁ……。
これね、デイビッドとジョイスにこの後明るい未来が見えないんだよな……。
デイビッドはクロエを守れなかったことでさらに情緒不安定になるでしょ。それで生徒を余計にしめつけるような言動をして、生徒からも教員からも事務員からも総スカンになるのでは。
ジョイスも「デイビッドと再婚していなければクロエがこうなることもなかったのでは」「デイビッドがクロエを追い詰めなければこうならなかったのでは」みたいに考えるようになって(世界の意思さえなければ、実際そうだろうし)、夫婦仲がまずくなる可能性もある。もしくは自責の念からデイビッドに極度に依存するようになるか。
離婚 or 共依存の未来しか見えない。せっかくクロエが生かしたふたりなのに。
ただマックスがプライス家にいる場面があったから、もしかしたらマックスが間に入ってなんとかするのかもしれない。

マックスがダイナーにいて、ジョイスが接客している場面もあった。この感じなら明るい未来もあり得なくはなさそうではある。
この結末で良かった点といえば、ネイサンが連続殺人犯になるので、当分刑務所から出られないだろうということだ。「ぶっ殺してやる!」という台詞とともに発砲したのだから、過失扱いではなく殺意が認められるのではないか(急に刑法の話になる)。マックスの証言次第である。マックスなら法廷でも強く戦ってくれるはずだ。
ネイサンの逮捕とジェファソンの逮捕の間に数日のタイムラグがありそうなので、ジェファソンが暗室の証拠隠滅をはかっている可能性があるのがなんとも。でもマックスは全部知っているわけだから、デイビッドに話せばジェファソンの尾行くらいしてくれるかな。クロエを失ったデイビッドが仕事をできる精神状態かどうかは不明だが。
事件の方をメインに注目しようとすると、マックスが時間を巻き戻したりしなければ最速で事件解決ということになってしまい、あまりにも悲しい。だからやっぱり、これは少女の成長物語なのだと受け止めるのがいいのだろう。
マックスとクロエの服装
最後に、ふたりの服装分析を。

まず、前回飛ばしたマックスの服装はこれ。
初めてこのシャツの柄に注目したのが暗室で拘束されているときだったこともあって、真っ先に「羊たちの沈黙」じゃん……と思ってしまった。
【参考画像↓】
知的な殺人犯と、それに立ち向かう若い女性の物語。この場面で連想させるには割と適切な作品ではないだろうか。
あとはやはり「サナギ」が成長して翼を広げていることの示唆かな。蝶よりは蛾に見えるのだが。ここでは蝶ではいけなかった理由が何かあるのだろう。彼女が「蝶」として完成するのは物語のラストだから、とか。あるいは蝶だとクロエとの一体化が進みすぎてしまうから? エンディングの二択は、マックスがクロエを適切に対象化していなければ意味がないので。
このゲームの感想を書くときは服装に注目してスクショを見直そうと思ったきっかけになったのがこのシャツだった。

クロエのシャツは何だろこれ??? と思ってあらゆるスクショを見比べまくったが、これはたぶんウロボロス。自分の尾を飲みこもうとする蛇だ。
この円環は、同じことを永遠に繰り返す、循環性の象徴だ。何度試行しても死に続けるクロエにぴったりだ。クロエ生存エンドのその後の示唆(生存エンド後も何度も死に続ける)にもなっている。しかし同時に「死と再生」の象徴とも言われる。だからわたしはむしろ、このウロボロスはクロエをめぐるストーリーの最後に添えられた希望だと捉えている。
この循環を抜けたクロエの魂は、きっと何かの形で再生するのだろう。いつかマックスと出会う日も来るかもしれない。製作側からのせめてもの希望の示唆じゃないのか、これは。
というわけで、セラピーのつもりで書き始めたこの記事だが、あまりセラピーにならなかった。ひどいオチである。
しかも現在プレイ中の前日譚 Before the Storm から特大の鬱を感じ取っている。これって連続プレイは推奨されないんじゃないのか。人道的な意味で。
でも始めてしまった以上は続きが気になってしまう。こうして愚かな人間は破滅の道を自ら進むのだ。
数日後にわたしがげっそりした顔で Before the Storm の感想を垂れ流し始めたら、そっと見守ってください。
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