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Life Is Strange: Before the Storm エピソード1を振り返って読み解く

Life Is Strange: Before the Storm をクリアした!!

最初から最後まで「なんでこんなことするんですか????」なゲームであった。つらい。ひたすらつらい。未来に何が起こるかを知った状態でプレイする前日譚は、文字通りの意味で救いがない。

もしかしたらBtSからプレイする人もいるかもしれない。というか、わたしもリマスター版を買ったものの、どちらのアイコンがどちらなのかわからず、最初に立ち上げたのはBtSの方だった。タイトルに Before の文字が見えたので終了して、本編からやり直した。

たぶんBtS単品で見た場合は、BtSから始めた方が緊張感やわくわく感を持ってプレイできると思う。しかし前日譚をやった後に本編をやると、本編の緊張感が若干薄れるような気がする。本編におけるいくつかのミスリードがあまり機能しなくなるので。一方「なんでこんなことするんですか????」度は上がるような気がする。

なのでどっちから始めてもいいんじゃないかな。どっちにしろ待っているのは地獄だよ!!

というわけで、以下は Before the Storm と Life Is Strange 本編のネタバレ感想。今日はエピソード1がメイン。

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こんなことをするゲームだとは思わなかった

 

Life Is Strange 本編について追加で考えたこと

LISクリア後、作業用BGMとしてLISのプレイスルー動画を流していた。ほかのプレイヤーの反応や選択に興味があったので。

それで気づいた。エピソード4で事故後のクロエを見た後、それまでクロエにあまり好感を抱いていなかったプレイヤーもクロエに優しくなる。何をどうしても救われないクロエの運命に同情的になるだけではない。クロエ自身もほんの少しだけ優しくなっているから、プレイヤーが彼女に好感を抱きやすくなっているのだ。

わかりやすいのは、ケイトのお見舞いに行くと言ったマックスに対して「ケイトの電話に出たからってブチ切れて悪かった」と謝ったこと。

こんなことも言ってくれた

マックスと感情のシェアが進んだことでマックスに対して素直になれるようになったとか、クロエの方も成長しているとか思っていたのだが、たぶんそれだけではない。

たぶんこのくだりが少なからず影響している。マックスのこの台詞は、本来の世界線にはなかったはずのものだ。だからエピソード4以降の世界線も、本来の世界線からはほんの少しずれているはずだ。まあこの世界線のクロエも、マックスがケイトからの電話に出たらブチ切れるところは同じだったようだが。

マックスのこの言葉は、きっと5年間クロエの支えになっただろうなあと改めて思った。

 

 

テンペスト

エイダン・ギレンファンとして、この作品の感想はまずここから始めなければならないだろう。

この作品のモチーフのひとつに、シェイクスピアの『テンペスト(嵐)』がある。

エイダン・ギレンが若い頃に『テンペスト』の舞台に出演し、エアリアル役を務めたのは有名な話だ。映像で残っていないのが惜しい(画像だけ見た)。もともと中性的なキャラクターで、近年は女性が演じることも多いようだ。

そんな個人的に思い入れのある役をクロエが演じることになるというから、もう興奮した。

テンペスト』のエアリアルは、『真夏の夜の夢』のパックと並んで、シェイクスピア作品におけるトリックスターだ。クロエが演じるのにぴったりである。

ワロタ

エアリアルは空気の精であり、ストームブリンガーである。LIS本編でまさにストームブリンガーの役割を担ったクロエが演じるのも当然というもの。

クロエがエアリアルを演じたことで、LIS感想でわたしが書いた、

たぶん、竜巻の原因は「時間改変」ではないのだ。「クロエが生きていること」が原因なのだ。

Life Is Strange エピソード5を振り返って七転八倒する - なぜ面白いのか

という印象がより強くなった。やはりクロエこそが嵐をもたらす者である。

だからクロエを犠牲にする世界線で、マックスが本来知るはずのない情報提供をしてジェファソン逮捕を早めるくらいなら、嵐は来ない。

テンペスト』のエアリアルは、魔法使いプロスペロー(ブラックウェル版『テンペスト』ではプロスペローが女性なので「プロスペラ」になっていた)のしもべである。そういう意味でも、LISにおける「魔法使い」=マックスの助手的立場だったクロエの未来の予言になっている。

LISにおける「ボルテックス(渦)クラブ」や「世界の終わり」も全部、あの嵐の予言になっていた。この学校、嵐に縁がありすぎでは。

 

 

カラス

BtSのもうひとつのモチーフはカラスである。ストーリー上でも何度も意味ありげに登場し、ロード画面にも登場するから、今作で最重要のモチーフと言ってもいいはずだ。

カラスは端的に、今作のクロエを象徴すると考えられる。エアリアルの衣装がどう見たってカラスだし(一般的なエアリアル衣装とはちょっとイメージが違う)、エピソード1で着られるシャツの中にもカラス柄があった。

なんか日本風だよね

カラスといえばトリックスターの化身の定番だ。「魔法使いのしもべ」としても定番だ。

LISには小鳥がたくさん登場したが、BtSには小鳥は出ない。わたしの解釈ではLISの小鳥は亡くなったレイチェルの象徴である。というよりはレイチェルの死の象徴か。だからBtSには出てこない。

知識をつけることが勉強なのではなく
知識と知識を結びつけ体系づけることこそが学校の役割である云々

こんな情報もある。このシリーズにはしばしばネイティブアメリカンの文化や考え方が登場するが、カラスもそのひとつだったようだ。

 

 

では今作のレイチェルを象徴するものは何かと考えると、やはり炎だろう。山火事を起こすのはレイチェルなので。

セラとの邂逅の暗喩かな

彼女の炎は不安と怒りに由来する。その炎は周囲を巻き込む。家族を焼き、友人を焼き、最後には自分自身も燃やしてしまう。

クロエが風属性で、レイチェルが炎属性というパーティ構成は、実に火力が高そうだ。シナジーがすごい。いい意味でも悪い意味でも。

クロエにとってレイチェルはたしかに大切な友人だし、クロエを救ってくれた部分があるのは間違いないが、終盤でエリオットが指摘したように、クロエを破滅に導いたのもまたレイチェルである。

クロエもそのことはうっすらと自覚していて、夢の中の父親がそれを警告してくれている。

デイビッドが自宅に出入りするようになりクロエのストレスが高まった頃に、レイチェルではなくマックス、もしくはレイチェルほど不安定で破滅的ではない友人と出会えていたら、クロエの人生はだいぶ変わった気がする。まあ人生がかわったところで数年後には亡くなるわけだが(寝込む絵文字)。

マックスに時間遡行能力があったように、この世界にはまれに超能力者がいるということであれば(シリーズの後の作品だとまた別の能力者がいるらしい)、レイチェルには炎を操る能力があった説もまあまあ考えられる。少なくとも製作側は、プレイヤーがそういう想像をすることは想定していた気がする。

火事が短時間で大きくなりすぎでは? ということと(わたしには森林火災の知識がないので適当に言っている)、レイチェルが刺されて意識不明の間に火災がおさまったらしいことから。

ただもし本当にそういう能力があったとしても、レイチェル自身に自覚はなさそう。もし自覚があったら、彼女はもっと積極的に能力を使って火遊びしそうなので。

 

 

エピソード1 目覚め Awake

今作のエピソードタイトルは『テンペスト』からの引用かなと思ってシェイクスピアライブラリーで検索してみたところ、ちゃんとヒットした。Act 1, Scene 2のエアリアルの台詞。エピソード1クリア時のトロフィーが「目を覚ませ、愛しい人よ」だったので、ここの台詞(Awake, dear heart, awake.)で合っていると思う。

なおエピソード2、3のタイトルはもっとわかりやすく『テンペスト』から引用している。こういうの掘っていくの楽しいね。

BtSも選択肢によって展開に多少の違いが出るようなので、また最初にリザルト画面を貼ってみる。

 

 

プライス家

プレイ中ずっと、デイビッドとジョイスへの嫌悪感がヤバかった。LISの時点で評価は地面にめりこんでいたが、まだ下がる余地があったとはね。

クロエはこれほどわかりやすくSOSを出していたのに、どうしてジョイスは結婚を決めたんだろう。どうして自分とデイビッドの都合を優先しちゃったんだろう。家計が苦しいからふたりで協力したいという部分はわかる。けどこの時点でデイビッドは無職でしょ? しかもメンタルに問題を抱えていることが明らかな元軍人の男性って、家計にはむしろ負担になる可能性もあるし、10代の女の子に近づけるのは危険すぎないか。

頼むから家でやらないでくれ

家から家族写真がなくなり、父と娘が世話をしていた植物は枯れ、母親は婚約指輪を売ってしまう。そんな状況に、クロエは毎秒傷ついていたのがわかる。

結末は変わらないとわかっていても、クロエにSOSを発信させるのをやめられなかった。

徹底的な反発

しかしクロエが自分の身に性的な危険がある可能性を考慮していないのは、これまで彼女のまわりにいた男性は紳士的だったのだろうなと思わせる。

いっそブラックウェルの寮に入っていれば、送り迎えでデイビッドと顔を合わせる必要もないし、まったく安心できない家の中にいるよりはだいぶマシだった気がする。とはいえ、寮は寮でお金がかかるだろうからなあ。あとあの寮の治安もだいぶ終わってるからなあ。

 

 

警備員スキップ

スキップとクロエは良好な関係に見えた。彼が仕事をやめなければ、この学校の生徒何人かの未来が変わった気がする。しかしスキップはバンドマンとして成功し、警備員の仕事をやめ、かわりにデイビッドが採用される。

このコメントが彼の背中を押して仕事をやめることにつながるなら皮肉だなあと思いながら、クロエに彼の音楽を「気に入った」と言わせた。

 

 

ネイサン

BtSのネイサンは「弱さ」が強調されていた。今作では犯人のミスリード役を担わなくていいからか。BtSからプレイした人は、LIS本編をやったときにネイサンを疑うことになるだろうか?

BtSではネイサンと父親との関係も少し掘り下げがあった。父親が諸悪の根源的なとこあるなこれ。少なくとも専門医の所見があったにもかかわらず、ネイサンに適切な治療を受けさせなかったのは父親の責任だろ。

適切な医療機関につなげられないと、周囲に不幸をまき散らすことになるケースの典型みたいになっている。この作品がこの手の疾患への偏見を助長することにならないといいなと思って見ていたが、どちらかというと医療機関につなぐ必要性を訴える構図になっていて、いい落としどころかなと思った。

 

 

ビクトリア

んっふw

ビクトリアが宿題のことでクロエに質問してきたので、適当に答えておいたらこれ。

これは咄嗟の機転でこんな返事ができるクロエの聡明さと、もともとあったはずの科学への興味が強調されたエピソードだ。クロエの部屋に周期表のポスターもあったのを思い出した。

 

 

テーブルトークRPG

この顔である

どういうわけか、今作にはテーブルトークRPGのセッション場面が長々と用意されている。興味がなければ断れるのだろうけど。

しかしこのゲームのシナリオも、メインストーリーの展開を示唆するものである。クロエは好戦的なバーバリアンだし、ドゥーガロンはデイモン・メリックを象徴しているし、ほかにも「捕虜の解放」とか、炎攻撃とか、炎耐性のある敵(=レイチェルの天敵)とか、いろいろと。

 

 

レイチェルとの出会い

レイチェルと出会ったのはあの倉庫でのライブだったが、レイチェルはあそこで何してたんだろ。彼女は正規の方法で入ったのだろうか。

嘘当てゲームでの彼女の「両利き」発言は真だったことになる。たぶん彼女の性的嗜好の示唆でもあるのだろう。

レイチェルは魅力的でエネルギッシュで、まわりを巻き込む力を持っている。この子を守りたいと思わせるものがある。しかし、だからこそ危険だ。彼女の演技力は周囲をだますし、自分をもだます。だましている自覚もないままに。

結局この作品を通して、レイチェルがクロエのことを本当はどう思っていたのかはわからなかった。大切な友達だったのは間違いないだろう。

でも、結局彼女はフランクのことをクロエに話していなかった。フランクとふたりで町を出ようとしていたことも話していなかった。またフランクに対してもクロエのことをほとんど話していなかったと思われる。

LISをやりながらそこが腑に落ちなかったのだけど、BtSで少しだけ納得できた。

彼女は嘘をつかれることに慣れすぎていた。周囲が嘘をつくことにも聡かった。EVERYBODY LIES というのはLIS時点でクロエの部屋にあった落書きだが、これはレイチェルにこそ合う言葉だ。

だからクロエが自分に本心のすべてを打ち明けているわけではないこともわかっていただろうし、レイチェルもまたクロエにすべてを話そうとはしなかった。大事な友達ではあるけど、すべてを話すほどの友達ではない、みたいな。

LISにおけるレイチェルは実質マクガフィンみたいな存在だったが、こうして生きて動いているのを見ると、そこにあった人格とストーリーが感じられ、「これが失われたのだ」という悲劇性が重くなる。BtSからプレイした人は、LISを始めてめちゃくちゃ衝撃を受けただろうな。

 

 

日記システムは健在

LISでとても気に入っていた日記が、今作でも健在だった。クロエも爆速日記執筆人だったとはね。

しかしなんだいこの改行は。禁則処理連発で血管が切れそうだ。

禁則処理だけでなく、メールのログがさかのぼれないとか、音声バグ頻発とか(口パクが続いているのに音声が流れない、字幕と音声のタイミングがずれすぎ、字幕が表示されたまま消えないなど)、LISに比べて見るからに劣化しているのはだいぶ残念。どうしてこうなった。

 

ひとまず今回はここまでにして、エピソード2以降の感想はまた後日に。

 

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