
先日「Life Is Strange: Before the Dream」のボーナスエピソード「さよなら」をクリアした。全編にわたって「どうしてこんなことするんですか???」と思い続けたエピソードであった。5年前のマックスがクロエと過ごした最後の日を描くと聞いただけでもう泣きそうなのに、よりによってその日にそれだったのかよという部分が確定してしまった。
このシリーズ、精神的に余裕のあるときにやらないとだめね……。こんなものを連続してやったら気持ちが落ち込みすぎてしまう。セラピーのつもりで感想記事を書いたら余計にダメージをくらったりするし。
とはいえ書かないことには気持ちが次にいけないので、先日の続きを書いていくよ。
以下「Life Is Strange」本編と「Before the Dream」全編にわたるネタバレ感想。今回はエピソード2を中心に。
初回記事はこちらから。

エピソード2 素晴らしき新世界 Brave New World
今回のタイトルもシェイクスピアの『テンペスト』からの引用。Act 5, Scene 1のミランダの台詞だ。シェイクスピアライブラリーへのリンクはこちら。
今回の選択はこう。


割と少数派選択だな!
まず校長の前ではレイチェルに話を合わせた。ボーナスエピソードのマックスの台詞でも気になったのだが、「他人の罪をかぶって自分がやってないことで罰を受ける」のはアメリカでは美徳とされるのだろうか。やったことの責任は自分がとるべきだし、やってないことまで責任をとるべきではないというか、とらない方がいいというのがわたしの価値観だ。
デイビッド関係の選択肢は、彼への嫌悪感がLIS本編以上にすさまじいことになっていたので、全面戦争である。

ていうかクロエの悪夢はほぼPTSDといっていいと思うので、医療機関に相談すべきだったよね……。クロエ自身にもジョイスにもデイビッドにもそのへんについて正確な知識がなかったので、解決できないままに終わった。クロエは自分の症状をレイチェルにしか話さなかったけど、大人側に知識があれば子どもの様子を見て専門家の助けが必要だと察することができたかもしれないのに。
寮にデイモンが現れたときが、このゲームの選択肢でいちばん迷ったかもしれない。でも黙って隠れていられなかったので、彼に金を渡すことにした。クロエの窃盗が明るみに出たらこの時点で退学になるのではないかと思ったが、ドリューの金自体がまっとうなものではなかったので、窃盗の件は通報されずにすんだってことか。
しかしこの学校のセキュリティはどうなってんだよ。寮の前にいたスキップは無線で呼ばれてどこかに行ってしまったが、寮に入る以前の問題として、敷地内に学校関係者でない人(しかもどう見てもカタギではない)が堂々と入り込んでる時点でおかしいだろ。スキップはこの件でクビになっていてもおかしくない。
レイチェルとはキスする仲になった。LISのマックスとクロエの場合、マックスからの感情は「友情」だと感じられた。が、クロエからレイチェルに向ける感情はもっと重くて湿度が高いように思われた。LISでの描写も含めた印象である。だからエピソード1でも「友情以上」の選択をしている。
エリオットとは、エピソード1の時点では一緒に演劇を見ようと言っていた。LISにおけるウォーレンポジションのキャラかな? でもLISに登場しなかったってことは?? などと思いつつ。エピソード2でエリオットと会ったときはもうレイチェルに「友達以上」と言っていたし、クロエはレイチェルのことで頭がいっぱいのようだったので、もう「やっぱり行かない」と正直に伝える方が誠実だと思った。
サマンサはネイサンに関心があるようだったが、あの野郎がどれほど危険かについてはよくわかっていたので、かかわらないように言った。もしかして、エンディングでサマンサがネイサンを避けていたのはその選択の影響か? ネイサンも学内にジェファソン以外の理解者がいれば何かが変わったかもしれないとも思ったけど、あれは素人の同級生にはどうしようもできないのではないか。
この選択肢を見ていると、もしかしてビクトリアが舞台に立つ展開もあったの? いやどういう選択をしたとしても結局クロエとレイチェルが舞台に立つんだよね? 途中が多少変化するだけで。
ふたりの家出の行き先については、たしかLISではロスに行くという話だったけど、ニューヨークと言ったら何か変わるかな? と思って選んでみた。レイチェル的にはニューヨークでも構わなかったみたいだ。
ジェームズに対してクロエが話を切りだすべきかどうかはちょっと迷ったが、その選択はレイチェルがするべきだと思ったのでクロエは黙っていた。
プレイ中も自覚していたが、今作は特に「わたし」の選択が多い。基本的にゲームの選択肢は「わたし」ではなく「キャラクター」が言いそうなこと、しそうなことを選ぶ姿勢なのだけど、今作は「わたし」の価値観で選んだ部分が多かった。LIS以上に。
「わたし」が許せないこととか(主にデイビッド周辺の選択)、「わたし」が子どもにさせたくないこととか(お金関係)はわたしが選んでいる。
エリオット
エピソード1では無臭だったエリオットが、エピソード2からきなくさくなってくる。
サミュエルのエリオット評が鋭い。


本当にまれにだけど、そういう人って実在するよね。誰にでも友好的なのだけど、他人に自分のどの面を見せるかを(ほとんど無意識のうちに)コントロールできる人。他人の思考のトレース精度も高いから、相手との関係性をほとんど一方的に握ることができる。

エリオットポエム集を読みながら、あーこれは今作で退場になりますわと納得した。
今作のジェファソンポジションまであり得るかと思ったが、そこまでの人ではなかった。
『テンペスト』公演
『テンペスト』という題材については前回記事で語ったので、今回はざっくりとこの場面の感想だけ。

よくこんなにBtSのストーリーに合った古典劇を見つけたよなーと思ったが、たぶんそれは逆で、BtSのストーリー自体が『テンペスト(嵐)』を下敷きにしている。何しろタイトルが Before the Storm なのだから。最初から意識していたに違いない。
『テンペスト』のエアリアルはプロスペローのしもべだが、プロスペローは自身の復讐と和解を果たした後でエアリアルを自由にする。しかしレイチェルはこのストーリーを改変し、エアリアルを自由にするのではなく「ともにこの島を出よう」と誘う。

ほかにも「『自由』という言葉も忘れるほどの最上の幸せを約束しよう」とも言っている。
うーん絶妙。ロマンティックなようでもあり、クソ束縛野郎の台詞にも聞こえる。言われたクロエが嬉しいのならいいかな……。
でも結局こう言ったレイチェルは、クロエをひとりにしてしまう。クロエではなくフランクと一緒に旅立つつもりだったんだよね。さらにレイチェルはクロエを遺して死んでしまったので(それはレイチェルの本意ではなかったにしても)やはり現実にクロエをひとりにしてしまった。

ネイサンがキャリバン役やっててワロタ。
一応確認したけど、原作でのキャリバンの親であるシコクラスは魔女じゃねーか! ネイサンに悪影響を与えているのは父親のショーン・プレスコットだから、レイチェルが「悪魔を父に持つ者」に改編したんだな。プロスペローが女性になってるくらいだからそれくらいの改変は些事であろう。
問題はショーン・プレスコットがこの舞台を見に来ているということだが、いろいろと大丈夫だったのだろうか。まああの人、『テンペスト』の原作を覚えていたり設定を確認したりしそうにないから「シェイクスピアの原作に忠実にやっただけですが何か?」みたいな顔してれば大丈夫だろ。

で、それをセラが見ていた、と。彼女も卒業生だし、ここまで来るくらいはなんでもなかっただろうな(部外者の売人が寮まで来るくらいだし)。
アンバー家
彼女たちがこの日町を出ることにはならないと知っていたから、この後何があるんだろうとびくびくしながら訪れたアンバー家。

プライス家が計画していて、結局行けなかったフランス旅行。つらい。
クロエにとっては「もしウィリアムが死ななかったら」の世界を見ている気分ではなかっただろうか。レイチェルから「父親の浮気」について聞かされている間もずっと、「もしウィリアムが今も生きていて浮気していたら」という想像が頭の片隅にあったはず。

ここで山火事のことを想起させるようになっているし、クロエがこの家に「火種を持ち込んだ」ことの暗喩にもなっている。

やっぱりレイチェルは炎系能力者だったのでは……。

なんかその後の流れでうやむやになったけど、ジェームズの本質ってこれだよね。
そして衝撃の真実が発覚する。わたしは結構驚いた。衝撃というよりは納得の真実なのだけど。
BtSは、LISに比べてストーリーの引きはずいぶん弱い。LISでは「行方不明の女子生徒をめぐる事件」と「数日後に来る嵐」というふたつの引きがあって、基本的には事件への興味がストーリーを牽引していた。
それに比べてBtSは「父親の浮気現場目撃」という、本人にとっては世界の終わり級の衝撃ではあるけど、規模としてはだいぶ小さい事件しか起こっていない。プレイヤーはほぼ、クロエとレイチェルというキャラクターへの興味だけでここまで進めることになる(この意味で、BtSから始めるのはあまりおすすめできないかもしれない。プレイヤー側のストーリーを進める動機が薄くなりかねないので)。
ところが「父親の浮気」を追求しようとしたら、実は浮気ではなかったことが判明してしまう。なかなかのプロットツイストだ。
セラ
先に書いてしまうと、わたしとしては、レイチェルはセラのことを知るべきではなかったと思う。このことを知らなければ、少なくともレイチェルが死ぬことはなかったのではないか(クロエは何をどうしても死んでしまうが)。
BtS後のレイチェルが薬物に傾倒し、フランクという売人と付き合い、ボルテックスクラブに行ってしまうのは、セラのことを知ったのが影響していたとしか思えない。フランクに近づいたのも、セラについてもっと知ろうとしたからではないのか。
レイチェルが結果としてODで死んでしまうのはあまりにも皮肉である。これについては両親が気の毒すぎる。「いっそあれは浮気だったことにして何も話さなければよかった」とまで思ったのではないか。というかもうあの夕食の時点で、レイチェルの死を回避するならその方法しかなかった。
レイチェルはジェファソンに目をつけられなかったとしても、いずれODで亡くなっていたか、もしくはセラと同じように薬物中毒になっていた可能性がある気もする。レイチェルの気性はすごくセラに近いように見えるので。
もしクロエにマックスのような能力があれば、きっとあの双眼鏡を見る時点に戻ってレイチェルを止めるだろう。もしくは列車での旅自体を止めるか。そうすればきっとその後の悲劇も起こらない。
でもクロエにはそんな力はない。クロエは少し賢くて弁が立つだけの、普通の女の子だ。先にLISをやっているからこそ、「やりなおせない」クロエにもどかしさを感じた。クロエはあまりにも無力だ。自分の問題も、レイチェルの問題も、結局解決できない。
その結果がLIS本編なのだとわかっていても、それがつらい。プレイヤーも無力感を抱いてふとんに入るしかできない。
ほんと、なんでこんなことするんですかね?????
次できっちり終われるかな? 押していってもらえると喜びます!
