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国取り・遷都・歓楽街「サガフロンティア2」プレイ日記1

このマップでテンション上がる

先日(といっても半年以上前)ブログの読者さんに「サガフロンティア2」のリマスター版をおすすめされた。歴史群像劇だと聞いて、きっとわたしの好きなやつだと思い、ほしいものリストにつっこんでおいた。で、セールになったのを見て購入し、積んでいたのをついにやる日が来た。

が、わたしはサガシリーズほぼ未履修。サガシリーズに対しては、なんか難しそうなイメージだった。技はひらめかないと使えないとか、LPが0になるとキャラロストするとか(後になって、サガフロ2ではそんなことはないと理解した)だけ知っていた。

なんとかなるといいなあと思ってスタートしたものの、早々にルールがわからなすぎた上に戦闘が多すぎて脱落しかけ、脱落するくらいならと攻略サイトを解禁した。なるほどこれはノーヒントでは厳しい。先人の知恵に感謝しつつ、攻略サイトをチラ見しながら進めることにした。

購入前にいくつかネタバレなし感想を読んでみたのだが、ほとんどの方がPS版からのファンだった。リマスター版の追加要素は概ね歓迎されているようである。そしてその中の数人が「PS版のファン的には良いリマスターだが、初見プレイヤーの感想がどうなるか気になる」と書いている。

なるほど、この手のリマスター作品だとむしろ初見プレイヤーの感想は希少になるのかもしれない。それならせっかくなので「我こそが初見プレイヤーなり」の気持ちで感想を書いてみることにした。

本当はクリアまでいけるか自信がなくて、感想を書くならクリア後にと思っていたが、中盤らしきところまできてたぶんクリアまでいけるだろうと判断した&初見プレイヤーのプレイ途中の反応って読むの楽しいよねとわたしが(ほかのブログを読みに行くときに)思っているので、まあ書いておくか! というノリである。このあと挫折したら本当にすまない

この世界の土地勘が全然ない上に、人間関係もちゃんと理解できているとは言えない状態なのでいろいろ間違いもありそうだけど、それも初見の味わいということでひとつ。

では以下、1261年ラウプホルツ制圧作戦までのネタバレ感想!

 

 

この一言だけで胸が高鳴る

 

ファンタジー世界の差別構造

プレイして最初に感じたのは、FF16の逆か! ということである。

FF16では、主人公は魔法を使える被差別民だった。先日クリアした Staffer Case でも同様である。魔法が使えない人が多数派の世界では、魔法が使える人は脅威である。彼らに社会的制約を設けて抑えこまなければ一般人の平穏が保てないという発想はまあ、理解できる。

一方サガフロ2の世界は、魔法を使える人が多数派である。こういう世界の場合「普通の人にはできることができない人」が下に見られて差別されるのも、あるだろうなあと思わされる。「術不能者」というストレートなネーミングが残酷である。今のスクエニなら「術不能者」に特殊な固有名詞を与えそうだなとか思った。

今でこそ魔法を軸とした差別構造を描くのはある種の定番になっているが(このブログで触れた中だと風花雪月の紋章も一種の差別構造だったし)、サガフロ発売当初はまだゲームジャンル内では定番設定とまではいってなかった気がする。

サガフロ2では主人公が被差別民で、王位継承者だったのに国を継げず追放される。父親は差別主義者として描かれるが、持続可能な国の運営をしなければならない立場であれば、民から支持される世継ぎの確保は王の義務である。世情とこの世界の価値観を考えれば父親の言動もわからんでもない。

ギュスターヴにとっての救いは、母親がすべての人に対して優しかった点、そしてギュスターヴ自身が母親からの愛を実感して育つことができた点だ。少年期には荒れた彼が、成長して人々を導く立場になっていったのは、彼自身の強さだけではなく、母親が彼の自尊心と他者を思いやる心をできる限り適切に育んでくれたからだろう。

FF16でも主人公(クライヴ)が被差別民だったが、彼の場合は母親が極端な差別主義者だった。そして逆に父親と弟が彼の自尊心を育んでくれた。両作品における家族構成、父性描写と母性描写、それからその後の展開を比較するととても面白そうだが、両方ネタバレする必要があるのでここではやらない。

ともかく、ルールもわからないし戦闘が多すぎだし本当に面白くなる? と不安だったわたしにとって序盤を進める原動力になったのは、FF16の逆なんだなという設定への興味であった。

 

 

言語分布

もうひとつ序盤を進める原動力になったのは、最初に貼った地図である。あの地図はめちゃくちゃ面白いし、ものすごく興味をひかれた。

Merchmin をメルシュマンと読むのはフランス語。Grand Teille グラン・タイユもフランス語。Weissland ヴァイスラントはドイツ語。Lordless Land は明らかに英語。Weissland の -land は「ラント」で Lordless Land の Land は「ランド」になっているのがめちゃくちゃ嬉しい。これだけでこのゲームを支持してしまう。

Torioni はイタリア語だろうか。Jade & Wide は「ヤーデ」がドイツ語読みなのに Wide は「ワイド」と英語読みしている。つまり異なる言語圏による同盟があったということだろうか。

言語文化圏が地図上で固まっていないのも不思議である。メルシュマンとグラン・タイユというフランス語圏の間にロードレスランドが挟まっているのは、過去に独立戦争でもあったのだろうか。地図を眺めているだけであれこれ想像できる。ヴァイスラントとヤーデも離れているし。

ギュスターヴという名前も Gustave のフランス語読み。Merchmin の Thermes に生まれた Gustave である。この言語的統一感があまりにも嬉しすぎる。最近ここまでちゃんとしたゲームをやってなかったよ。

一方ウィリアム・ナイツは思いきり英語名だ。それなら出身はロードレスランドだったりするのだろうか。

さらに、ゲーム起動画面から楽曲一覧が参照できる。まだストーリー上で聞いてない曲まで聞けるようになっているのはネタバレな気もするが、見てみたところなんと曲名が全部ドイツ語。えっ、じゃあこの楽曲って誰視点なんだろ? ギュスターヴ視点ならフランス語だろうし、ウィル視点なら英語じゃないのか。もしかしてこの先、ヴァイスラントとかヤーデとかのドイツ語圏が重要になってくるのか。それとも単に作曲者の趣味なのか。それでも全然OKだが。

楽曲一覧を眺めていて「えっもしかして……?」とひらめいて全曲タイトルをチェックして、見つけた!!!!!!

Mißgestalt ←これ!!! 旧正書法だ!!!!!!

うおおおおおおおおすげえええええええええええ!!! そうよね!!! 1990年代に作られたゲームだから! ドイツ語のつづりが今と違うの!!!!!! 今のつづりなら Missgestalt になるやつ!

テンション爆上がりしてしまった。まさか2025年に日本で発売されたゲームに、旧正書法のドイツ語が収録されてると思わないじゃん。曲タイトルのためだけにエスツェット(ß)(ベータじゃないよ)のフォントも用意されてるし。

たぶんサガフロ2が発売されたのは、ドイツで新正書法へと法改正があった後。でもこのゲームを作った世代がドイツ語を習ったときは旧正書法だったろうし、辞書も旧正書法のものしか持ってなかっただろうからなあ。歴史を感じる。

(現代ドイツ語でもエスツェットは使うが、このつづりのときは ss に置き換えるようになった。発音は同じ)

 

 

ギュスターヴ編

今のところ年表の上から順番に進めているが、それだと感想を書きづらいので、ギュスターヴの話とウィルの話に分けて書くか。

王子として生まれ、術不能者だとわかり、国を追われたというオープニングから想像されるストーリーは、いつか国に戻ってきて王になるという筋書きだ。なので、最初はギュスターヴが王になるまでの物語なのかなと思っていた。

そしたら結構サクサク話が進んで、あっさり王になってしまった。これは、そういう話ではないんだな??

いちばんびっくりしたのがこれ。父親がナレ死だと!? この手の英雄譚に必須の「父殺し」をやらないということか。

このへんから、このゲームはギュスターヴを必ずしも「英雄」として描こうとしていないことがわかってきた。彼は一般人が「術」を通して普通に行っている「自己実現」をなんとかなしとげようとしているひとりの男であり、いわゆる「英雄的」な人物とは違う(「英雄的」なのはむしろウィルの方だ)。

だから父親とは対決せず、弟との対決を望んでいたわけでもなかった。弟の処刑に立ち会わないのも、ギュスターヴが必ずしもそれを望んでいなかったからだろう。これが一般的な「英雄譚」なら、弟の処刑には必ず立ち会うはず。

自己実現」のために、多くの人を犠牲にすることに、ギュスターヴは抵抗も感じている。それでもやるんだけど。

彼はここまできても自己評価が低く、自ら「出来損ない」と口にする。その自己評価の低さに、母親から与えられた自尊心がかけあわさり、さらに周囲にも恵まれたことでこの展開になった感じだ。

周囲の人たちが協力してくれて仲間が増えていく展開は熱い。ソフィーの「まわりの人を大切にしなさい」という教えが、この展開につながっている。

この濃い役人は何なんだよ。こんなにびびり散らかしながら、命懸けで歓楽街の建設を提案しやがって(ここだけは知っていたので、首都を歓楽街にしてやったぜ)。本当に大丈夫かな。

「ファイアブランドの悲劇」とかいう明らかに悪いことが起こりそうなタイトルのイベントを選んだら、思ったより最悪な悲劇が起こった。わずか数秒のうちの激動。どうしてこうなった。本当にアニマ教徒の仕業なのか。モンスターになってしまった弟と、いつか戦う日が来るのだろうか。

「ケルヴィンとマリーの婚礼」は一見微笑ましいやりとりと、オート侯カンタールのヤバさが同時に描かれていた。さらに領地をめぐる策略も。

ただ、結局このくだりで重要だったのはこれだったのでは。思いきり意味深な解説メッセージだ。「ヤーデ」はドイツ語圏だし、もしかして本当にこの先この土地が舞台の中心になっていくのか。

ギュスターヴ編をスタートしたら急に知らん人が主人公になっていて、何かの間違いではないかと焦ったヨハンの回。こういう、回復できないままいつ終わるかわからない戦闘を繰り返すくだりは結構ストレスである。結果的にWPもJPも余裕があったが、どうしたってじり貧な戦いが続くのは精神によくない。節約して温存しようとすると戦闘が長引くし。

ヨハンはかなりえぐい環境で育ったアサシンのようだが、にもかかわらずチャラ男設定なのだろうか。アニマを感じ取れないギュスターヴには、サソリの術によるアニマコントロール(?)が効かない設定が楽しい。主人公体質~!

ギュスターヴが制圧したラウプホルツはドイツ語圏。Laubholz(広葉樹)というくらいだから、ヴァイスラント(白の国)の中では自然が豊かなところなのだろう。ギュスターヴたちのフランス語圏とは文化が異なるから、もともと仲がよくなかったのかもしれない。それをむりやり制圧・併合したのなら「後世に遺恨を残す」のも当然だ。遺恨を残した結果、どうなっちゃうんだろう~!

 

 

ウィリアム編

クヴェルを探すディガーであるところのウィル。クヴェルというのが何なのかまだいまいちわかっていないのだが、魔法の力が強い古代の遺物という理解でいいのかな。

「クヴェル」という名称はおそらくドイツ語の Quell(泉のこと。転じて比喩的に「源泉」の意味でも使われる。たぶん「力の源」的な意味でこの名前になった?)だと思われる。つまり古代文明はドイツ語を使ってたってこと? それともクヴェルを発掘して利用し始めたのがドイツ語圏の人たちで、その人たちが便宜上「クヴェル」と呼ぶようになった?(でも「ディガー」は英語なんだよな)

ウィル編はだいぶわかりやすい冒険譚という感じ。ダンジョン探索と戦闘が中心になるので必然的に長引き、プレイ時間の大半をウィルで過ごしている気がする。シンボルエンカウント、全然避けられない。戦闘の量は現状の3分の1でいいと思う。

ウィル編の前のギュスターヴ編から回復手段がめちゃくちゃ限られていることに焦り、ハンの遺跡をクリアする頃にようやく、LPは酒場で休憩すれば回復することに気づいた。またWPとJPの違いに気づいたのは砂漠を越える頃であった。ルールの理解に時間がかかりすぎである。攻略サイトをもっとすみずみまで熟読すべきだったかもしれない。

まあまあ余裕があるように作ってあるとはいえ、回復ポイントがこれだけ限られているとリソース管理ゲー要素が強い。

ウィルはディガー稼業のかたわら、両親の仇を探していたようだ。

これはどういうことだろう。キャサリンがヘンリーを刺した?? しかもウィルもそれを見ていたって。両親の仇はとったものの、この真相については結局まだわかってない。

アレクセイを倒したあとも、彼の持っていた「エッグ」(クヴェルの一種?)を追うストーリーが続く。アレクセイの死後、別の誰かが「エッグ」を拾ったらしい。そんな、雲海に捨てた竜の眼じゃないんだから。

メガリスの一件もわからないことが多すぎる。ウィルの手の中に現れたクヴェルは何だったのか。「思念を実体化するメガリス」ってどういうことなのか。タイクーン・ウィリアムを夢見た彼はなぜモンスターになってしまったのか。

メガリスは巨大なクヴェルのようなものらしい。メガリスやクヴェルは「アニマを食う」性質があり(実際、装備品のクヴェルは使用者のアニマで機能するようだし)、人がアニマを食いつくされるとモンスターになってしまうということかな。フィリップがドラゴンになったのも同じ現象かもしれない。

結局「タイクーン・ウィリアム」と呼ばれるようになったのは、ウィリアム・ナイツの方だった。やっぱりウィルの方が「英雄的」なキャラなんだよな。

ナルセスの兄貴には大変お世話になったので、引退したときはショックだった。そうか、このゲームは長いスパンで物語を描くから、普通に引退キャラが発生するんだな。ナルセスの兄貴のアニマは、後輩キャラが引き継ぐから……! ゲーム開始時には駆け出しだったウィルが、パーティに後輩を入れて冒険に出かけるようになったときは時間の流れを感じた。

ソフィーのアニマがギュスターヴの弟妹の前に現れたことで、死者のアニマが生者のそばにいて力を貸してくれるというのがこの世界ではアリなのだとわかった。だからこの能力継承システムは世界観的にもアリなのだろう。よくできている。でもナルセスの兄貴はまだ死んでないと思うんだが。

ギュスターヴとウィルの道がついに交わった海賊退治は熱かったな! でもギュスターヴに直接対面したのはタイラーの兄貴っていう。斧をかついだモヒカンが鋼の王に謁見する! 本当に大丈夫か。

この海賊は誰だったんだろう。ウィルの父親とも知り合いだったようだし、何か因縁があったのか。アレクセイの一味にいた人???

で、もしかしてウィルってここでエッグとともに海に沈んで帰らぬ人になったの???

ウィル編はここまでクリアしたところなのだけど、この先に選べるシナリオの中にウィルがいないんだよね。ウィル編の色がついているシナリオも、ウィルではなく別人の顔アイコンがついていた。

いや待って、このあとどうなるの!? 歴史の表はギュスターヴ視点、歴史の裏で起こることはウィル視点で追っていくゲームだと思っていたのだけど、この先どうやって話を進めるんだろ? 別人の顔アイコンがついていたし、もしかして主人公交代!?

まだ全然謎が残ってるんだけど!? ちゃんと解決する???

……というところで、続きはまた今度。

ここまで書いてみて気づいたが、今までに書いた中で最もわたしの言語趣味に偏った、最も一般的でない感想記事になってしまった。いつもと違って「PS版のファンの方が新規プレイヤーの感想を探したときに読んでくれるといいな」と、対象読者というものを想定して書いたのにこれだよ。

でも本当に、こんなに言語設定だけでわくわくさせてくれるゲームってなかなかないから……。物好きなゲーマーもいるということで、ひとつ。

 

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