
「ぽこあポケモン」のエンディングを見たわたしが次に手を出したゲームは「カエル探偵の事件簿」だ。色遣いが! 近い!!! スクショを一覧表示したときの雰囲気がかなり似ていて面白い。
全3話を3~4時間でクリアできるくらいのボリュームなんだけど、妙な満足感があった。ストーリーが衝撃的とか、ゲームとしての創意工夫がすごいとかそういう類いのゲームではない。タイトルに「探偵」とあるが、すごい事件が起こるわけでもない。
基本的には会話を楽しむゲームなのだと思う。日本語訳も素晴らしい。
あのすっとぼけたキャラクター、セリフ回し、シュールだったりだいぶタガがはずれてたりするやつもいるけど、そういうのもひっくるめてみんなが優しくて、世界はこうあってほしいと思ってしまう。
最後にはあの世界に生きるみんなが愛おしくなる。
音楽も抜群に良い。わたしは今、サントラを流しながらこれを書いている。
音楽だけ聴いてると、完全にハードボイルドな本格探偵もの。
夜中にひとり、お酒を飲みながらプレイしたいゲームだ。どんなにべろべろに酔っぱらったとしてもクリアできるし。
もしこれからプレイするという方は、必ず1話から順番に3話までやってほしい。そしてすみずみまでしっかり探索してほしい。ストーリーはあってないようなものに見えて、ちゃんと順番にやってこその話なので。
以下は、ストーリーのネタバレありのキャラ語り。
クリア後にお読みください!

カエル探偵

まずはもちろんカエルくんから。
ラリーやメアリーには名前があるのに、なぜカエルはカエルなのか。そこからつっこみたくてたまらなくなるが、このゲームにはつっこみ役は不在である。プレイヤーがひたすらつっこんでいくしかない。
どんなシュールな状況にも順応可能な、実際のところかなりハイスペックな探偵だと思われる。もっと難事件も担当させてあげて! と思ったりもするが、この世界では犯罪はファンタジーなので、今のままでよい。
カエルくんが傑出していると感じるのは、彼が「2番目にスゴ腕」の探偵であることをごく当たり前に受け入れていること。向上心がないということでもない。彼は「ナゾ解き」を楽しんでいるし、仕事を前向きにとらえているし、ブログのファンも大切にしている。管理官が自分をそれなりに尊重してくれていることもわかっている。なかなかできることじゃない。
「ノート」に書かれる人物評も本当に優しい。プレイヤーの心が浄化される。


でもただ優しいだけのキャラではなく、失礼なことをされたら「傷ついた」「ショックです」と表明することもできる。一方で異なる意見に対しては「そうなんですねー」と、相手を否定することもなく自分の意見を守ることもできている。強い。
そしてカエルくんは「いちばんスゴ腕」な探偵であるロブスター警部(「警部」ということは、彼らは警察組織の一部なのか?? 全然わからないけどまあいいや)のことを尊敬し、信頼している。

コンプレックスといえば頭の形のせいで帽子がかぶれないことくらいだけど、それも受け入れていて、こんなふうにかぶってみんなとの一体感やノリを楽しんだりもしている(わたしは2章のこのパレードの帽子の時点で結構涙腺にきていた)。
カエルくんのキャラクターがこんな感じだからこそ、3章の展開が活きる。
www.youtube.com(この「西部風」な導入曲アレンジ、いいよね)
信頼した相手に裏切られ、はめられても、赦すことができる。「ごめんね」「いいよ」が成立する世界(ちょっと「ごめんね」ではすまない事件だった気もするけど、まあこの世界ではこれでいいんだ)。
カエルくんは誰に対しても優しい愛があって、だからこそ最後にはみんなから祝福される。きっとカエルくんにとっては、「いちばんスゴ腕」と認められるよりもこの結末がハッピーエンドなのだ。

誕生日プレゼントに対してこのリアクション。この一言の訳し方でカエルくんのキャラクターが全部伝わってくる。なんて素直で愛らしいんだろ。
カエルくんが「帽子をかぶれない」ことをたびたび口にしていたのを、みんなが覚えていてくれたのが、きっと嬉しかったんだよね。
2章では「電話する友だちが、いないな」と言っていたし、3章では「面会に来てくれるひとなんていないと思ってました」と言っていたし、もしかしたら孤独を抱えていたのかもしれない。本当はそんなことなくて、きっとまわりの人はカエルくんのことが大好きだったと思うけど。

最後のこの涙で、わたしももらい泣きしてしまった。我ながらびっくりするほど動揺してしまった。
そうかー。カエルくんの帽子かぶれない描写はジョークの一種だと思っていたけど、もしかしてちょっとだけ本気でコンプレックスだったのかもしれない。本気でコンプレックスに感じていることを、深刻になりすぎないように冗談めかして言ったりすることって、誰にでもあるもんね。
カエルくん、これからもたくさんの人に愛されてほしい。そしてシャーマンくんと幸せになってほしい。


ミステリーモンキー

まさかのプロットツイストを担うやつ。
わたし、1章のダンスコンテストで彼を優勝に選んでたんだよ……!
操作キャラ交代は本当に驚いたけど、彼の優秀さがよく伝わってきた。最初の事件もミステリーモンキーひとりで解決できたのでは? という気もした。たぶん彼は探偵のファンだったので、あの「事件」を口実に事務所に電話したのではないか。
こんな優秀な研究者を失うのは科学界の損失なのではないかと思ったが、エンディングで彼の研究内容を知って「まあええか……」になった。

彼の変身シーンにはめちゃくちゃ笑わせてもらった。なんで完璧な衣装があるんだよ。

カエル探偵はケーキを拾ったりサボテンの花を集めたり(あのパートがいちばん難しかったよ!)してたのに対して、ミステリーモンキーは「粉」を使って手形・足跡をたどっており、よほど探偵らしいことをしている。有能。カエル探偵もあれやりたかった。
たぶん最後のサプライズも、ミステリーモンキーがみんなに声をかけて実現したんでしょ(管理官ではなさそう)。有能。
これからはきっとカエル探偵の隣室メンバーとして、協力して事件解決していけるだろう。よかったな。
見えないまほウ使い(ローラ)

この世界のひとたちなら、正直に話せば赦してくれるのではないかと思ったので、わたしは「犯人はローラさんだ!」を選んだ。そしたらみんなちゃんと赦してくれた。このエピソードが、3章につながってるんだな。真摯な謝罪と、赦しはセットだ。
どさくさにまぎれてバーニーがメアリーを車で轢いたことを告白しだして笑った。

「悪いヤツ」のせいにしてくれと頼まれたときのカエルくんの反応も推せる。カエルくんの、自己と他者の線引きのしかたは見習うべきところが多い。
ひっこし初日から盛大にやらかしちゃった彼女ではあったが、あの住人たちであれば普通に受け入れてくれるし仲良くなれるだろうなと思っている。
ロブスター警部&メイソン・モール

最初は、よくいる名前が売れてるだけの無能キャラかと思っていた。それが、作品世界中ぶっちぎりの凶悪犯罪をしでかしたので大変驚いた。カエルくんにすっかり愛着がわいていたところだったのもあり、ショックが大きかったものである。
それでも最後はこんなふうに動機を語ってくれた。動機はカエル探偵に対する劣等感と嫉妬だったわけだけど、それをこんなふうに丁寧に言語化できるロブスター警部は思ったよりしっかりしていた。
もしかして管理官は、カエルくんは「2番目」扱いでも精一杯頑張れるひとで、ロブスター警部は「いちばん」扱いしないと動いてくれないひとだとわかっていたのかもしれない。それでもロブスター警部はひねくれてしまったわけだが。管理官以上にロブスター警部の方がカエル探偵を高く評価していたという皮肉。

それにしてもこのストレートな謝罪よ。正直プレイヤーはここまで「カエルくんに何してくれたんや!」と怒っていたのだが、これを見たらちょっと気持ちが鎮まった。
彼は自分のしたことの意味を客観的に理解していて、その責任をすべて負う覚悟がある。いや、その言葉よりもこの顔にほだされたのかもしれない。視覚情報は、時として言葉を凌駕する。

メイソン・モールもちゃんと言語化できている。
この人があらいざらい計画を記した手紙を送っていたのが、事件解決の決め手になった。「やっぱり、計画を全部くわしく紙に書くのはマズかった…」と言っていたが、まったくそのとおりである。
1章と2章でチラチラとこちらを覗いては消えていたのはこいつだったんだな。いつ話しかけられるんだろう? と思いながら、結局話しかけられないまま1章も2章も終わってしまった。何か見落としたのかなと気にはなっていたのだ。こんな形で回収してもらって、「三部作」であることの意味がちゃんとあったことがわかって、プレイイヤーはハッピーである。

ふたりが「降格」とかではなく単に別の職業に就くことになったのもよかったな。職業に上下がなくみんながフラットな関係なのが心地よい。
ロブスター配達員も配達員ライフを満喫していて安心した。この業界では劣等感や嫉妬を抱くようなことがないといいな。
シャーマン

ぽっと出の無法者野郎にカエルくんの心が奪われて、プレイヤーとしては「えっ!!」という感じだった。こいつが犯人で、カエルくんが傷つくことになってしまったらどうしようとも思った。シャベルなんか持っててあやしかったし!

カエル探偵のこの記録がかわいすぎる。今までのノートを見てきているからこそ、ここで本当に探偵の心が奪われていることがわかる。
「犯人じゃないといいな」の一言が心にしみる。探偵がこんなことを言うのって、本当はダメなはず。探偵は当事者たちすべてから距離をとり、客観的な判断をしなくてはならない。こんな私情をはさんではいけない。
でもこういうカエルくんだからこそ、好きになっちゃうんだよな。この世界はこれでいいし、こうであってほしい。

デート中のカエルくんが幸せそうで、プレイヤーも幸せだよ……。
お花を持ってるのは、シャーマンくんにもらったのか、それともシャーマンくんに渡すところなのか。
もう「電話する友だち」がいないなんて言わせないぞ。
スタッフロール()

悪ルームエンディング中、Special Thanks の後に Special Sorry が流れたのを見て噴いた。なんやこれ。
まあたしかにここで本当に終わっていたら、カエル探偵ファンのみなさんには謝るべきかもしれん。シャーマンくんの名前もあってさらに笑ってしまう。

そのあとのコレでさらに笑った。自由すぎる。
しかも、調べてみたところこれは普通に実在するドラマで、キャストもそのまんまだった。もともとのドラマファンだったらさらに笑えただろうな。
いわゆる「大作」と呼ばれるゲーム中心に遊んでいるわたしにとっては、いろんな意味で新鮮で面白いゲームだった。
この手のゲームももっといろいろ手を出してみたいなー!
押していってもらえると喜びます!
