なぜ面白いのか

見たもの触れたものを保存しておく場所。映画、ドラマ、ゲーム、書籍の感想や考察。

納得のハッピーエンド「FF15 -The Dawn of the Future-」感想

小説『Final Fantasy XV -The Dawn of the Future-』読了!

かなり納得感のあるIFエンドだったし、ゲーム本編でよくわからなかった部分がいい感じに補完されていた。小説としての満足感は高い。また「ファイナルファンタジー」らしい展開でもあった。

が、これを最初からゲーム本編に入れておいてくれや、は何回でも言う。

たぶん最初からこのエンディングを構想していて、ゲーム本編のエンディングは「1周目」として経験されるべきものだったのよね? どう見たって小説の方のエンディングが「作者が本当に伝えたかったこと」だもの。

スクエニ的には、FF15をDLCやアニメや映画で息の長いコンテンツにしたかったものと思われる。が、息の長いコンテンツになるかどうかは当然、本編の満足度に左右される。本編に満足して「もっとやりたい!」と思うプレイヤーがいないと、その後の展開もないわけで。

これを最初からゲーム本編に入れておいた上で、エピソードグラディオラス、プロンプト、イグニスを出したのなら、まだアリだった気がする。

まあこういうことは、発売から何年もたってからこんなところで言われるまでもなく、すでにマーケティングのプロの方々からめちゃくちゃ指摘されまくっていて、今のスクエニはその反省を活かしているのだろうけども。

とはいえひとりのゲーマーとして、このストーリーをゲーム内で体験したかったなあという気持ちを抱えてしまうのは仕方ない。

愚痴はこれくらいにして、以下はIFエンドに至るネタバレ感想&考察。

ゲームの初回記事はこちらから!

nazeomoshiroi.com

記載されている会社名・製品名・システム名などは、各社の商標、または登録商標です。

Copyright (C) 2016-2017 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

 

 

 

 

本編の謎解消

小説の感想を書くにあたって、ゲーム本編エンディング時の感想を読みなおしてみたところ、このときの疑問は大方解消されていることがわかった。まずはそこを整理しておく。

 

 

1. 神々と寄生虫の力関係

クリアしてみても残った謎はいろいろあるのだけど、わたしにとって最大の謎は、なんで神々は自分で寄生虫退治ができないの? である。魔大戦で人間と戦ったりはしていたのに、どうして虫大戦はやらないんだろう。

地形を変えそうなほどのすさまじい力を持ちながら、虫には無力ってどういう神なんだ。やっぱりパワーが強すぎて、こまごました対応には向かないってことなんかな。寄生虫を滅ぼすことはできるけど、それをやると人類も滅ぶし生態系全体が壊滅する、みたいな。

イフリートも感染してたくらいだし、虫>>>>>>>>>>神々という力関係があるのかな。それもどうなんだ。神の格が低すぎる。

クリア時からずっと抱いていたこの疑問は概ね解消された。

おそらくバハムート以外の神々は、寄生虫に感染するし、寄生虫を駆除しようとするとほかのものまで壊してしまう大雑把な攻撃しかできない。

バハムートだけは、やろうと思えばいつでも寄生虫退治をすることができた。しかしやらなかった。気が向かなかったので。たぶんそういうことね?

神からアーデンさんに授けられた治癒の力は、小説内ではルーナにも授けられている。アーデンさんには「シガイを癒す唯一の方法」とか言ってたのに、量産可能な方法だった。アーデンさん自身も「シガイを癒す力を自分ひとりにしか与えなかったのは神の不手際」だと思っていたけど、不手際どころか怠慢である。

人間にそういう力を与えられるということは、バハムート自身にもその力があるということになる。この世界のルールはそうなっているので(王が王の剣に力を分け与えるとか)。

にもかかわらずバハムートはそれをする気がなかった。それどころか、治癒の力は逆に闇を広めるための装置として利用されるのが前提だった。

小説でのゲンティアナの弁を見るに、これは本当にバハムートの怠慢だったのではないか。「掃除しようと思えばいつでもできるけど、なんか放っておいたらわやくそになってるし、もう手をつけるのめんどいわ。ルンバ買ってお掃除お願いしよ」みたいなノリで、アーデンさんとルシス王を「設定」したのでは。ルンバの設定も何台もやるのは面倒だから、一台ずつですませようとした、みたいな。わたしのような怠惰な人間は、バハムートの気持ちがよくわかる

ゲンティアナは神々と人間の関係を、人間と花の関係にたとえた。しかし花を育てる人間は基本的に花が好きだったり、少なくとも花に関心がある人のはずだ。だがバハムートはそもそも人間への好感度が低い。魔大戦の件でうんざりしていた節がある。だから、人間のためになることをするときは、必ず人間の方に代償を求める。

さらにお掃除がうまくいかなかったら、花壇ごと撤去してしまえばいいと思ったとしても不思議ではない。

ただ、バハムートを討ったら朝がきて寄生虫問題も解決したということは、 結局寄生虫を撒いていたのもバハムートだったってこと……? 最初から人間を剪定するつもりでやってたってことだろうか。

 

 

2. アーデンさんの不死性の由来

(神々には)アーデンさんに虫をためこんでアーデンさんごと消してしまえば一網打尽じゃん的な意図があったのか? 「真の王」に命を捧げるよう要求してきたのと同じノリで「選ばれなかった王」も命を捧げるのが前提の作戦だったとか。

アーデンさんの不死性が、虫由来なのか神々由来なのかわからないからなんとも言えないな。でも虫自体は別に不死じゃないっぽいしなあ。シガイは倒せるのだから。

これもクリア時の疑問。

アーデンさんが不死なのは、「対をなす世界(やっと名前がついた)」に魂が囚われているからだった! 2000年前にアーデンさんがクリスタルに触れたときに、その魂がクリスタルに拒絶され、魂だけもっていかれてしまったのね。

クリスタルに意思はないらしいから、これは完全な事故っぽい。けどバハムートなら、対をなす世界側でアーデンさんを滅ぼそうと思えばできた気もする。あの体質が便利だから、世界のお掃除に利用しようという判断だったと思われる。

 

 

3. 真の王の使命はどれくらい知られていたか

FF10の召喚士の使命はスピラの民のほとんどすべてが知っていたが、イオスの民は真の王が死ななければならないことをほぼ知らなかった。このことが作中でいまいち描写されておらず、みんな知ってたの? 知らなかったの? と悩んだものである。

どうやら、知っていたのは歴代の王たちだけだったらしい。レギスは知っていた。しかしルーナは知らなかった。アーデンさんも初回インソムニア襲撃時にバハムートから教えてもらうまで知らなかった。

ノクトくんがまったく「為政者」になるための教育を受けていないように見えた(アニメ版参照)のも、レギスはノクトくんが為政者になることなく死ぬ運命なのを知っていたからか。

ルーナはノクトくんを「大切な人」と言う割に、彼が死ぬ運命に対してはまったく抵抗しないどころか後押しするんだなと思っていたが、全然知らなかったなら仕方ない。神凪は神々とコミュニケーションできるのに、神々はゲンティアナも含めて誰も教えなかったのか。教えたところでやることは同じだしな……。

もしレギスが本気でノクトくんを守るために「真の王」の運命について情報公開をして、寄生虫駆除技術研究に国家予算をぶちこんでいたら、別の道もあったのかなあ。ルシス王国がもっと早い段階で全力で運命に抗う選択をしていたら、世界が夜に包まれる10年間はなかった可能性もある。

でもルシス王がルシス王として認められているのは、信仰にもとづいた発想(正しく「王権神授」である)だもんな。王が「運命に抗う」と言った時点で、王が王である根拠を失ってしまう。やはり難しいか。

あとやっぱりアーデンさんが存在していた以上は、人の力だけでは無理だったかもしれない。

 

 

4. ノクトくんの人間的成長の根拠

ノクトくんってどうしてこんなに精神的に成長したんだろう? 10年間、誰とも会わずに不思議空間で歴代王の力をためこんでたんだよね? それによって不思議パワーは身についたのだろうけど、人間的成長をするような経験はしてなくない? 人間的な成長って、基本的には人と人とのかかわりの中で生まれるものじゃないのか。ひょっとして10年間、延々と歴代王とバハムートから説教され続けてたのかな。逆に内省のみでこうなったらなら大したものだけど。

これもクリア時の感想から。

これは完璧な解答があった。ノクトくんは10年かけて、ルシス王国建国以降2000年分の全人類の歴史を見てきた。イグニスが失明した理由も見た(なお小説版はエピソードイグニスのIFルートはふまえていない)。レギスやルーナの苦悩も見たし、アーデンさんの過去も見た。バーチャル人間経験をめちゃくちゃ積んだってことか。それなら成長したのも納得。

ただバハムートがノクトくんにこれを見せたのも、「これだけのものを背負っておいて、運命を投げ出すとかないよね?」という意図なのでクソ。ノクトくんだってこんな運命がなければ、普通に年齢相応の成長があっただろうに。

 

 

ソルとかいう重要人物

さて小説版、というかIFルートにおける最大の重要人物は、ソルという女の子だ。

イドラの隠し孫であり、ニフルハイム帝国の皇位継承者である。なんでこんな重要人物が、ゲーム本編ではスルーされてたんだ!? FF14プレイヤーにとって「ソル」という名前はガレマルド皇帝自身なのだが、FF15においては「ソルハイム」を想起させる名前だ。名付けた人は古代文明を意識していたに違いない。

それはさておき、このキャラがストーリーにかかわってくるかどうかが、IFルートに入るための重要なフラグのひとつであるのは間違いない。ソルがいなければ、ルーナはインソムニアに到着できなかった可能性が高いので。

ゲーム本編ではこの子は帝都炎上の際に亡くなってしまったのかな。もしくはアーデンさんが手を回して始末されたか。いったい何が運命を分けたんだろう。

彼女を保護したのはロキだったから、ロキが生存しているかどうかが分岐? もしかしてわたしがサブクエストでロキを爆殺してしまったせいで、ソルが保護されなかった? でもサブクエストはやった人とやってない人がいるだろうから、それが重要な分岐だったとは思えない。

やはり小説版は、アーデンさんがバハムートに抗うことを決めたことが分岐点であってほしい。ほかの要因が入るのはおかしい。

叛逆ルートのアーデンさんは、ゲーム本編(従順ルート)のアーデンさんよりも一回りうさんくさかったのかもしれない。投げやりだったり、反抗的だったりしたのかもしれない。それで、イドラはソルの存在をアーデンさんに秘匿した。

もしくは叛逆ルートのアーデンさんは、ソルの存在を知っていて見逃したとか。将来的な利用価値がある可能性を考えて生かしておいたのかもしれないし(彼女が火種になりうるのは間違いない)、アーデンさんが意図して「運命っぽく見えること」を避けていたのかもしれない(本編通りに進んでいれば、ソルは帝都炎上時かそれ以前に死ぬことが「運命」っぽいので)。

ソルがニフルハイム帝国をどう思っていたのかについては、もう少し詳しく知りたかった。自分がイドラの孫だということは聞かされていたようだが、そのことを彼女自身はどう捉えていたのか。具体的には、彼女にはニフルハイム帝国再建の意思があるのだろうか?

小説の結末後、ノクトくんは文句なくルシス王国再建の象徴になるだろう。ルーナもテネブラエ再建の象徴になるだろう。このふたりが結婚するなら、ルシスとテネブラエは同盟国になるに違いない。ただしもうこの世界に魔法はない。神々もいない。「王権神授」もなくなった。だからもしかすると、彼らはあくまで「象徴」としての存在におさまるのかもしれない。

では、ニフルハイムは?? 旧帝国領は大規模気候変動があり、雪原が湿地帯になったらしい、というところまでしか小説には書かれていない。あの感じだと、そもそも帝国に生存者はほとんどいないようにも思う。いずれは再び人口が増えるとしても、何世代も先のことではないだろうか。

仮にソルが帝国再建を目指すとして、彼女がイドラの孫だということを証明するのはもはや難しい。彼女が持っていたエルダーキャプト家の紋章が証明になるだろうか? 帝都炎上のどさくさに紛れて拾ったんだろ! とか言われない?

証明できたとして、「国を滅ぼしたクソ皇帝の孫」を帝位につけたがる民がいるだろうか。微妙かもしれない。かなりの長い間、帝国では圧政が続いていたようだし。

やっぱりソルは「アラネアの娘」「ルーナの友」として、帝国とかかわらずに生きていくのがいちばん幸せな気がする。

 

 

残念なお知らせです

「エピソード:アーデン」のエンディングに出てきたこの台詞。本編にこんなのあったっけ? と思っていたけど、これは小説につながるやつだったのか! 現れたルーナに対する台詞だったのね。これ本当に「エピソード:アーデン」だけ見てたらわかんないじゃん!

 

 

王として死んだアーデンさん

小説版のノクトくんの成長がいちばん感じられたのは、「オレは、誰かの犠牲によって成り立つ世界なんて認めない」という台詞。

ノクトくん自身が世界を救うための犠牲となれと言われた経験がふまえられているし、アーデンさんもまた神への供物だったことが理解できているし、たとえ敵対した相手だとしても「救うべき世界の一部」だと思えるのは実に王らしく、主人公らしい。ルシスとテネブラエとアコルドとニフルハイムの民が聞いたらどう思うかはおいといて。

この台詞に対してアーデンさんは、「ノクティスが『若造』であればあるほど、二千年経ってもそこへ辿り着けなかった己の不甲斐なさを思い知らされる」と感じている。見下していたノクトくんに言われたからこそ効いちゃったわけだ。

でもノクトくんの「誰も犠牲にしたくない」「救える者は可能な限り救う」という考え方は、本来アーデンさんの思想だったはず。ソムヌスと対立してでも守り通したい考え方ではなかったのか。ノクトくんだってアーデンさんの過去を知ったから、こういう発想が出てきたのだろう。

だからあの頃のアーデンさんは、やっぱり「真の王」の器を持っていたのだと思う。体が穢れていたせいで、クリスタルに拒絶されてしまったけど。

結果的にアーデンさんはこっちの世界での肉体を失ってしまうので「犠牲」にはなっているが、それがアーデンさんの(2000年囚われていた)魂を救うことになった。これでようやく眠れる、という彼の結末はゲームと同じだけど、過程が全然違う。

ノクトくんと五神がこっちの世界のバハムートを討ち、アーデンさんと歴代王が「対をなす世界」のバハムートを討つことで、闇は払われた。アーデンさんもまた歴代王に認められた「真の王」になったということだ。アーデンさんにとってこれは救いだっただろうし、このストーリーを追ってきたプレイヤーにとっても救いになった。

この結末は、ノクトくんとルーナが神々との誓約を交わした意味があったし、歴代王の武器を集める意味もあったので、ゲームの結末としては実に納得感があった。ゲームプレイ中、六神と歴代王の武器の両方とも集めて回る意味は何? とずっと思っていたものだから。アーデンさんと戦うときは召喚獣は出てこなかったものね。

 

そういうわけで、当初予定されていたであろう結末にどうにか辿り着くことができた。

ここまでストーリーを追ってきてよかったし、とても楽しかった。

が、くれぐれも今後はこんな分割商法はやめてほしい。当初予定されていたとおりの結末を、一本のソフトに全部入れておいておくれ。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

 

↓押していってもらえると喜びます!

 

nazeomoshiroi.com

nazeomoshiroi.com