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血の水鏡は未来の暗示「ハウスオブザドラゴン」3-2感想

どうなってんだよS3は、月曜日は確定でお葬式出勤じゃねーか、毎週毎週よお!

前回の爆予算海戦も魅せてくれたけど、今回は純粋な芝居の上手さで魅せてくれた。シェイクスピアだなあ、と思ったりした。

今回のエピソードタイトルは Queen's Landing である。このタイトルも、それからキングスランディングにドラゴンが飛び交うシーンも、全部「ゲームオブスローンズ」でデナーリスがキングスランディングでした行為を連想させる。

今回の一連の出来事も全部、最終的には「ゲームオブスローンズ」のS8へとつながるものだ。アリセントが守ろうとしたものも、レイニラが奪おうとしたものも、すべてが灰になる。この先に起こる未来を知っているからこそ、余計に無常さを感じてしまう。

では以下、ネタバレ感想!

 

 

 

ラリスの陰謀

いちばん書きたいことから書いていい? いいよ!

今回はラリスの陰謀の一端が見えてテンション上がりまくりだ。原作にはラリス&エイゴンの珍道中のくだりは全然なかったから、この旅がどこに向かおうとしているのか全然わからなくて(最終地点だけはわかるが)わくわくする。

ふたりの珍道中は、作中唯一のコメディシーンにもなっている。「何であれ驚きは……」→「いえ、驚きました」は笑うでしょ。襲撃者が外国語を喋っていたから、トライアーキーだとわかったんだな。ラリスとエイゴンの初めての共同作業で敵兵を倒したのも素晴らしい。

ラリスはダスケンデールへ向かおうとしていて、エイゴンはその先のルークスレストに向かいたがっている。ルークスレストは、前の戦いでエイゴンが墜ちた場所だ。エイゴンは単にクリストンと合流したいだけではなくて、サンファイアと再会しようとしてる?(2-8ではサンファイアは死んだと思っているようだったが)

ラリスは危険だからと反対のようだったが、最後のあの表情からしてエイゴンの意図を察したのかもしれない。

それからデイモンへの「ギフト」! あれには鳥肌が立った。

S2で王の手をクビになったオットーは、タイレル家の心変わりを阻止するべくハイガーデンに向かったはずだった。しかし2-8ではなぜか、謎の牢に監禁されていた。いったい何があったんだと思っていたのだが、まさかレッドキープの牢にいたとはね! 地下牢の中のさらに秘密の牢みたいな場所だったのかな。アリセントも全然知らなかったわけか。

オットーを捕えていたのはラリスだった。政敵の動きを封じるためであり、アリセントを孤立させるためであり、エイゴンやエイモンドに余計な意見を聞かせないためであり、レイニラが乗り込んできたときのための切り札にするためでもあった。見事。

どこかの時点でこうなる可能性があると、ラリスは見ていたに違いない。2-8の時点で、つまりアリセントがレイニラと面会する前の時点で、ラリスはエイモンドとレイニラを戦わせて共倒れにする絵を描いていた。両軍が疲弊したところでエイゴンが帰還して総取りすればいいのだと。

となると、一旦はキングスランディングをレイニラ側に明け渡すことになるのも想定内だったはず。アリセントの画策でこんなにスムーズに無血開城することになるとは想定していなかったかもしれないが。

レイニラがキングスランディングに着いた時点でエイモンドが生存していなければ、あのギフトは単にレイニラの「信頼」を得るために活きる。

エイモンドが生存していた場合(実際はこっち)、何かしらの首が必要になる。その場合もほかの犠牲を出すことなく、政敵の首だけを差し出して、ラリスはレイニラの「信頼」を得ることになる。

最終的にエイゴンルートがうまくいきそうな場合であっても、レイニラの「信頼」を得ておくメリットは大きい。エイゴンルートがうまくいかなかった場合も、レイニラに取り入ることができる。

もしエイモンドがレイニラ側を撃退して最終勝利を収めていた場合はどうするつもりだったんだろう。2-8の時点で戦力差がかなりあったから、その可能性は低いと見積もっていたのかな。

ちなみにラリスに伝言を頼まれていた牢番(?)は、デイモンに対して「a gift for you」と言っている。この you というのが、厳密に「デイモンへのギフト」だったのか、それとも「レイニラ側の誰かが来たら」だったのかはちょっと気になる。まあこの場合は、レイニラ側の誰かの意味でいいのかな。

そういえば、ラリスってジェイスたちの叔父にあたるのよね……。もちろん公式にはそんなことは言えないのだけど、その血筋ももしかしたら武器になったりするのかも。

 

 

レイナとシープスティーラー

前回感想で「レイナはおうちに帰れる??? どの面下げて帰ればいいの???」と書いたのだが、まさか本当におうちに帰らないとはね!

レイナ視点では、ベイラがレイナに気づいたことはわかっていないのだから、もう帰る家はないのだと思ってしまっても仕方ないか。レイナがだんだんぼろぼろになっていって、原作シープスティーラーのライダーのイメージに近づいていく。髪もぼっさぼさだし。

原作だとシープスティーラーのライダーは全然違う人なのだが、まさかこのあとレイナがあのストーリーラインをやることになるのか? それとも全然違うプロットが用意されてるのか。

今回、ベイラはコアリーズ公の捜索に向かったようだが、レイナの捜索はしなくていいのか。範囲が広すぎてすぐには難しいかなあ。

しかしコアリーズ公が生きていたのはいいとして、あのラニスター家の人はどうなっちゃったの? 明確に死の場面が描かれていないからあそこで終わりだとは思っていないのだけど、再登場してくれる?

 

 

デイモンとハレンホール

今回デイモンとスタークさんちのみなさんがラニスターの首を囲んで打ち上げをしていた場所のロケ地は、アイルランドのトリーモア森林公園ではないかな。「ゲームオブスローンズ」でもよく北部~リーチくらいまでのロケ地として使われていた場所。ウィンターフェルツアーで訪れた思い出。

(↓当時のレポ)

nazeomoshiroi.com

ツアーガイドのエリックはバイキング役者組合みたいなところに所属していて、「ゲームオブスローンズ」では battle of bastards を初めいろいろな回で野人役やドスラク人役のエキストラを務めたらしい。前回の海戦でもトライアーキー役とかで出ていたかもしれない。

前回はアルフが城を求め、今回はアリスがハレンホールを求めた。みんな宝石や馬より城がほしい(まあ「すでにドラゴンがあるんだから馬とかいらね」というアルフの主張はまったくごもっとも)。

デイモンはアリスの望みを一笑に付したが、それで彼女に見放された。魔女に見放されるというのがどういうことか、デイモンにはまだわかっていないようだ。S2全部をかけてあんなに怖がらせられたのに

さらにデイモンはアルフとヒューにもあの態度である。お前たちの「考え」などいらない、とはずいぶんな言いようだ。デイモンにとって、ドラゴンシードたちなどほかの雑兵と変わらない。考えを述べることも、自分の考えで動くことも求めていない。「身分差」をわきまえろという態度である。

城をほしがっていたアルフにしてみれば、この態度は絶望的だ。どれだけ命を懸けたところで、ターガリエンは自分たちを対等に扱わない。同じ血を引いているのに。そして彼が望むものは得られない。

ヒューの方こそ絶望したかもしれない。彼がここに来た動機には、エイゴン王の横暴ぶりにうんざりしたことも含まれていたはず。「結局こっちのターガリエンも同じじゃねーか!」と思ったんじゃないかな。

ドラゴンシードは軍事上絶対に必要な戦力なのに、扱いが雑兵と同じなのはさすがにちょっと……とわたしでも思う。このままだと彼らもアリスもデイモンガチギレクラブに入会しかねない。

 

 

エイモンドとアリス

エイモンドの運命は、アリスがデイモンガチギレクラブに入会しているかどうか次第である。

単身ハレンホールに乗り込んだエイモンドは、デイモンですらしなかった蛮行に出た。あの広くて不気味な城で細々と生きていたストロングファミリーが、ついに全滅である。しかもなんとヴァリリアンナイフで刺されたようだ。あのナイフ、このあとどこからどういうルートでリトルフィンガーの手に渡るんだろうな。

エイモンドがストロング家の者に刺されるのは、なかなか皮肉がきいている。子どもの頃にジェイスたちを「ストロング」だとからかってきた側だから。

でね、そう、アリスのキャラクターデザインって、アリセントに似てるのよ……。髪色は違うけど。というか名前まで似てるじゃん。意識が朦朧としたエイモンドには、アリスが「母上」に見えたんだろうな。きつい。

やっぱりアリスはデイモンガチギレクラブに入会してるでしょ。でないとエイモンドのストーリーラインはここでおしまいになってしまうもの。

 

 

斬首は主の務め

最後にやっぱりこの話題を。

レイニラによるオットーの斬首のシーンはあまりにも意味深で、役者さんたちの緊張感もすさまじかった。

我々は「ゲームオブスローンズ」1-1ですでに彼らの価値観を知っている。主たるものは自ら罪人の首を斬らなければならないと。自ら罪状を読み上げ、罪人の最期の言葉を聞き、落とした首から目をそらしてはならないと(これは北部での慣習であって、ターガリエンは必ずしも毎回そうではなかったのだろうけど、王として国を獲るときは自ら「反逆者」を処刑するのはいつの時代も共通のはず)。

それができなければロードではない。もちろん王でもない。

ロードによる斬首は、名誉ある刑である。名誉ある刑においては、罪人を苦しませてはならない(対置されるのが、絞首刑など罪人を苦しませる刑)。

現実の方の中世から近代までのヨーロッパには、首切り職人というプロの執行人がいた。この職人も、一発できれいに首を落とせなければその職人も首を落とされるというめちゃくちゃ厳しいお仕事であった。それくらい、斬首はやる側もやられる側もルールにのっとって厳粛に行うものとされていた。

その前提をふまえて、レイニラの処刑ときたらどうだ。

罪状の読み上げも無し。罪人が最期の言葉を言おうとしているのにやっちゃった。やる瞬間には目を瞑るし、一発で首を落とせなかった(これがいちばん最悪である)。死体も直視できない。しかも泣いちゃった。名誉刑においてやってはいけないこと全部盛り。アウト中のアウト。最初の一歩目から王失格であることは誰の目にも明らかだ。スターク家の爪の垢をガブ飲みしてくれ。

もちろんレイニラの心境もわかる。ここに至るまでに出した犠牲はあまりにも大きかった。ジェイスを失ってからわずか数日だ。コアリーズ公もこの時点ではまだ行方不明扱いだろう。子どもの頃から知っているオットーを手にかけるのもきつすぎる。あのシーンで象徴的に描かれたように、彼女の足跡は血塗れだ。

だが統治したいなら統治者としての振舞いができなければならない。そこについてはデイモンが正しい。この世界における「統治者」の型にはまるような振舞いをしなければ、王失格と見なされる。

そもそもレイニラ「女王」はキングスランディングの民に認められていない。法律的にも彼女は世継ぎではなかったはず。感情的にも制度的にも彼女は「女王」と認められていなかった。ただ先代の王が亡き妻への罪悪感から、民の感情も法律も無視してレイニラを指名しただけで。

やっぱりこのあとは民がレイニラを受け入れない展開になるんだろうな。この処刑シーンはその展開の暗示に見える。

オットーの血だまりが水鏡となり、鉄の玉座とレイニラがそこに映る。「次はお前だ」という、まさに未来の暗示だ。わたしは血塗れの足跡よりもこのシーンに感動してしまった。すごい構図だった。

レイニラがやっと玉座に到達しても、誰も拍手をしない。歓声もあがらない。デイモンすらも。普通なら\ワー!パチパチパチ!/となるところなのに。

そのあとのアリセントとの対面シーンは、一言も台詞がないのに強烈な印象を残した。

アリセントは命懸けで約束を守った。では、レイニラは?

アリセントの目には、「今まで行方不明だったオットー」が急に現れて目の前で死んでいるのはどう映っただろうか? 「レイニラ側が今までずっとオットーを捕えていた」可能性とか、考えたりしなかっただろうか? それともすぐにラリスくんからのギフトだよ! とネタばらしされるだろうか?

2-1のときも思ったのだけど、エマ・ダーシーの表情の多彩さには舌を巻く。玉座で涙を流す彼女の姿は、本当に10代の少女のようにすら見えたし、次の瞬間には女王の威厳を取り戻しているようにも見えた。次回はどんな表情を見せてくれるだろうか。

久しぶりにちゃんと登場した鉄の玉座だが、レイニラがそれに触れるのを見て「危ないからあまり触らない方がいい」と言ってしまった視聴者はわたしだけではあるまい。リトルフィンガーはちょっと座ろうとしただけで手を切ってしまったと言っていたし、ヴィセーリスなんて玉座で手を切ったのがきっかけで全身を蝕まれて死に至った。

1-1の感想で書いたように、「あんな突起のあるデザインは家具(家具か?)として危険すぎるし座り心地も悪そうなので、ちゃっちゃとターガリエンの予算でもっとゆるふわな玉座を作っとけばよかったんや」である。

ドラマがここで終了すれば「勝った! The Black 勝利!!」で完結なのだが、現在2話目なのだからそんなわけがない。レイニラはどれくらいの期間、あの玉座を堪能できるだろうか。お手並み拝見である。

 

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