「ピーキーブラインダーズ」、S2は「目標」を序盤に見せておいてそれを最後まで引っ張るという構成で、1よりも全体が構造的な話だった。最後に待つであろう何かしらの悲劇のために全体がうまく作られているという印象。そして相変わらず喜劇と悲劇のバランスが良い。新キャラも軒並みいい感じで好印象。
というわけで、以下はネタバレ感想。例によって視聴中のメモを振り返りながら書いてみたい。
1話
前記事の最後にも書いたが、出落ちに次ぐ出落ちで顎が外れそうだった。
フレディ・ソーン、お前……お前、S1で散々トラブルをまき散らし家族の不和と再結束の原因になり最終的にめでたく収まったと思わせて、あっさり死ぬのかよ!!!
そしてグレース……視聴者にあれだけショックを与えておいて、やっぱり生きてるのかよ!!! もう!!! 心配しただろ!!!
で、キャンベル警部の方が死ぬのかよ!! いいよ別に!!! と思ったらやっぱり生きてるのかよ!!! もう!!! 心配してないんだからね!!!
ああ疲れた……。
1話でこんなに疲れるドラマってある? あるね……(ゲームオブスローンズとか)。
キャンベル警部は設定盛りすぎではないだろうか。実はひみつそしきのえらいひとだった?? そういう事情で、戦争には「行ってない」ことになっていたというわけか? 杖の柄がジョン・スノウのロングクロウみたいだ。
そしてS1では全能感出しまくりのトミーが、S2では1話目から暴行されて重傷を負うことに。これが見たかったんですよわたしは。主人公が最強すぎると確かに楽しいのだけど、強いキャラほど這いつくばらせてみたくなるよね! あ~視聴者の見たいものをわかってるわ~! ここから先数話、声が弱ったトミーが大変良い。
2話
舞台がロンドンに広がる。カムデンは訪れたことがあるが、もちろん今のオシャレな街並みとはまったく違っている。ちなみに「刑事トム・ソーン」のトムとフィルが住む町もカムデンである。
噂のソロモンズさん登場。ユダヤ人。これからどう絡んでくるのか。
ロンドン野郎の話し方を聞いて「すました話し方しやがって」と思ってしまった。バーミンガムかぶれである。1-1を見たときにはあんなに妙な話し方だと感じたのに、慣れるものだなあ。
ピーキーはギャングの話だけどお薬が出てこないから健全という思い込みが崩れた。アーサー! お酒もだめだけど、お薬はもっとだめだと思うよ!!
3話
マイケル&メイというS2からの新キャラ、どちらも好きだ。
マイケルはごく普通の家庭(農家?)で育ったようだが、一般家庭で何をどうすればあんな性格ができあがるのだろうか。血のなせるわざ? だけではないような気もして。
メイはもう、顔が好き。あ、マイケルの顔も好き。
メイが新ヒロイン枠になるなら大歓迎である。ああいう挑発的な眼差しの女性がトミーの好みなんだな。
トミーたちは新事業「パン作り」に手を出すことにしたわけだが、あまりうまくいく未来が見えない。イタリア人たちをあんなに敵に回して大丈夫か。しかしサビーニの部下のかませ感も半端ない。
町の笑いものになっているキャンベル警部……逆襲は果たせるのか。果たせないんだろうなあ。視聴者のヘイトも一身に集めている気がする。
キッドくんが気の毒でならない。「ちょっとぶちこまれてくる」仕事が無事で終わるわけがないんだよなあ……。
4話
アーサーたちの流れるような破壊活動がもはやすがすがしいレベル。いやあ手慣れていますなあ。あの話を聞いてからすっと立ち上がるアーサーとジョンの姿が印象に残っている。かっこいい……。
ちょっとした武勇伝を自慢しただけのつもりだったであろうマイケルが、大変なことになってしまったと驚きつつもドン引きしてはいないところが末恐ろしい。
グレースとは美術館で会っていたキャンベル警部だが、トミーとは教会で会うというチョイス。これは警部の趣味なのか?
そしてここにきてグレースの再登場。しかし彼女にはどうやら新しい相手がいるみたい……? もうトミーにはメイという人もいるんですが……まさかのダブルヒロイン展開になってしまうのか。
5話
メイのことも気に入っていたわたし、グレースとあっさり寝てしまうトミーを見て涙目。というかグレース、「子供ができないのは私が原因」って嘘言ってない? それくらいの嘘は言える人でしょう、彼女は。
キャンベル警部がポリーに手を出すのはまさかの展開だった。グレースからポリーに乗り換えって、結構ストライクゾーン広いな!? と思ったけど、どちらも強くて美しいし、我が強くて警部相手にも引かないし、そういう女性を屈服させるのが好きな警部にはどっちもたまらないのかもしれない。趣味がわからないような、わかるような。
グレースがもし警部を撃っていなかったら、彼女もポリーと同じ目にあっていたかもしれない。
6話
このドラマでいちばん体を張ったセックスシーンを頑張ってるの、キャンベル警部でしょ???? お尻も胸も出してるサービスシーンがいっぱいあるね???
で、警部は毎シーズン最終話に女性絡みで撃たれるのが風物詩になるの???(疑心暗鬼)お前どんだけふぁっきんか○となんだよ???
トミーはトミーで、ここまできてグレースかメイか選べないよお……ってなるのはどうなんだ。彼にとってどちらも本気で大切なのはわかる。それだけの描写も十分にあったと思う。だけどビジネスについてはサクサク決断なトミーが、女性問題にはあんなに優柔不断なのは意外だった。
グレースの不妊発言はやっぱり嘘じゃん……。どうやって収拾つけるのこれ。
メイのドレスが金魚っぽい赤なのはやっぱり、トミーと二人で金魚を見て「かわいいね」って話したからだよね……。胸が痛い。せっかくドレスを用意したのに。メイもトミーに「かわいい」と言われたかっただろうに。
1話から引っ張りまくった暗殺がようやく決行になったわけだが、ここに至ってトミー・シェルビー最大のピンチに。ここからどうやって逆転するのか? それとも本当にトミーもお手上げの状態なのか? とはらはら見守ったところ、あっそっち?? という展開に。このドラマにおけるチャーチルの存在、ジョーカーすぎるだろう。
そんなわけで、おかえりトミー。
結局S2で最後に結ばれたのは、トミーとマイケルだったな……。
マイケルはトミーを一目見たときから彼に憧れていたのだろう。ポリーを慕う気持ちも多少はあるにせよ、マイケルが本当に慕い、そばにいたいと願い、認められたいと思っているのはトミーにほかならない。
彼の性質の全貌はまだ見えないものの、もともと持っていた野心と度胸にトミーへの憧れが合わさって、この先アーサーやジョンをも脅かす「シェルビー」へと成長を遂げそうな気がひしひしとする。ポリーは気の毒でならないが、わたしはいつか彼が誰かを殺す日が楽しみだ。
S2はイタリア人を敵に回しつつ、警察&IRAからも脅迫されるということで、全体的にS1よりもスケールアップした感があった。シェルビー家のビジネスもスケールアップしているし。
トミーはビジネスの合法化を目指したいようだが、この感じだと足を洗いたくてもいろんな意味で洗えそうにない。各方面に敵を作りすぎだし、ヤバい連中には事欠かない時代と場所だし、何よりもトミー自身の野心が「チャンス」をふいにすることを許さない。
このままパワーインフレが起こっていく感じになるのだろうか? それとも別方向に舵を切ることになるのか? そしてトミーの結婚相手とは?
いろいろと気になりつつ、S3も見ていくぞ!!