「ペルソナ5 ザ・ロイヤル」始めるよー!
だいぶ前のセール時に買い、しかしそこから怒涛のゲームスケジュールで(何もかも「バルダーズゲート3」のボリュームがすごすぎたせいである)後回しになっていたのだが、ようやくとりかかることができる。
わたしのペルソナ歴といえばP3と4はやったことがあるのだが、いずれも年末にさしかかる頃に別のゲームが発売されるなどして中断され、クリアに至っていない。5こそクリアしたいというのが当面の目標である。
そんな低い志でスタートしたのだが、まずは最初のダンジョンを終わらせて話が一段落した。今日はゴールデンウィークまでのネタバレ感想!
鞘くん
どんな感じで感想を書こうかと思ったが、この手のゲームはキャラ語り形式がやりやすい。まずは主人公の鞘くんから。
いきなり豚箱にぶちこまれたと思ったら、次々と不幸オブ不幸、理不尽オブ理不尽な過去が判明し、あまりにも気の毒な境遇にある主人公である。ペルソナ史上というか、ジュブナイルゲーム史上稀に見る気の毒な主人公では。
いくらなんでも女性を庇っただけで鞘くんだけが有罪になることなんてありえなくない? と思ったのだが、どうも鞘くんが「怪我させた」相手側が結構な権威ある人っぽい感じである。この話はまだ終わってなかったりするのかも。
過去作に比べると、少年が大人になることを描いた通過儀礼的な物語というよりも、反権威主義、反体制主義的な性格の強い物語のようだ。
彼は「怪盗団」を結成することになったけれども、「奪う」と「取り戻す」を同時に成立させる物語になっている。特に「自分たちの居場所」を取り戻すというのが、今作の主軸になっているみたいだ。社会的包摂がテーマなんだな。
ゲーム開始からあらゆる場所で厄介者扱いされ、陰口を叩かれまくるのがつらかっただけに、友達のありがたみがすごい。惣治郎ともだんだん事務的な会話以外のことも話すようになったし、これから鞘くんの居場所が増えていくといいね。
一点、鞘くんに毎回「おいふざけんな」と言ってしまうのは、授業中にスマホを見る行為である。マジでふざけんな。自分以外の人の払った金で通わせてもらってる学校の授業なんだから真剣に向き合え。金をドブに捨てたいならせめて自分で稼いだ金にしろ。まあわたしは学校の集団授業というものは退屈きわまりなくて、ずっとノートにらくがきしてたか、教科書のずっと先のページを読んでた人だったわけだが。
しかしこれ、たびたび入る「現在」シーンのおかげで、ゲームのメインクエスト(現在5月)が「回想」であることを念入りに思い出させてくれるのだけど、いったい「現在」はいつなんだろう。どの時点で「現在」に追いついて、物語の「スタート地点」に立てるのかな。
新島さんは内通者の存在について示唆していた。仲間に裏切者がいるってこと? 新島さんがどういうポジションのキャラなのかもまだ読めないし。
地下鉄事故を筆頭に、この世界では「急に人が変わる」事件が多発しているらしい。鞘くんたち以外にもパレスに行ける人がいるようだ。で、その人はパレスの中で主を殺してるってことかな。いずれはその人と出会うことになるのだろうけど、今回の「敵」はどんな人かな~。
佐倉惣治郎
一言発した瞬間に「オズバルド先生!!?」と叫んでしまったくらい、CV中田譲治である。絶対に只者ではない感がすごい。実はラスボスだったとしても驚かない。
いい人だよね、この人……。鞘くん視点ではあまり「いい大人」には見えないかもしれないけど、必要性も義務もないのにこんな面倒事を引き受けてくれる人なんてそうそういないでしょ。
客商売なのだから、鞘くんを引きとることのリスクは大きい。変な噂が立ったら、個人経営のカフェなんてひとたまりもない。それでも引き受けてくれて、食事の面倒までみてくれている惣治郎はなんていいやつだろうと思っている。
店名の「ルブラン」はモーリス・ルブランからきていると思われる。つまり惣治郎もアルセーヌ・ルパンに憧れるような人なのだろうか。店の中にはルパンの本はなかったけど。
秀尽学園教員たち
いや囚人学園て。ダンガンロンパV3の才囚学園と並びたつネーミングである。
あとなんでペルソナシリーズに登場する教員はどいつもこいつもクソ野郎ばかりなんだよ。もうちょっとまともなのはおらんのか。いや「頼れる大人」を登場させた時点で「ジュブナイル作品」である必然性が崩壊してしまうので、大人はどいつもこいつもクソ野郎でなくてはならないのだ。しゃーない。
だが転入生の顔あわせとかいう平日にやってもよさそうな案件で日曜日に出勤させられるのは、同情を禁じ得ない。めちゃくちゃ不機嫌な態度をとられても仕方ないかもしれない。
このハンプティダンプティ校長の言う「都合」というのが、鞘くんと因縁のあるあの男絡みなのだろうか。
しかしそうなるとハンプティダンプティ校長から「先生」と呼ばれている男がどういう意図で鞘くんを秀尽学園に入学させようとしたのか、なぜ鞘くんたちのことを調べさせようとしているのかが謎である。ペルソナ使いについて何か知っている人なんだろうか。そのうちちゃんと敵対するのかな。
鴨志田卓
ペルソナ史上どころかジュブナイル史上も通り越してRPG史上最悪のクソ野郎じゃね? アウトでない言動がない。
いや「殺した人数」とか「起こした不幸の規模」とかでいえば、ルカ・ブライトを超えるわけではないけど、嫌悪感でいえばぶっちぎりな気がする。「こんな人いそう」「ていうか実際にたくさんいる」「今まさに被害にあっている子供もいるはず」というあまりにもリアルな嫌悪感である。
前作と違って、P5ではパレス攻略で下手すると主を廃人化させてしまいかねない。ストーリー的には、「それでもやろう」と思わせるだけの説得力ある悪役を登場させなければならなかった。キャラクターの倫理観をめためたにしないためにも、プレイヤーのためらいを減らすためにも。
それにしたって何やねんこいつは!!!
まわりの教師も校長も生徒たちも、「何も知らなかった」から「薄々気づいてた」「わかっていたけど言えなかった」までいろいろグラデーションはあるものの、みんな「黙っていた方が得」だから黙っていたという状況もリアルすぎる。
学校の最寄り駅近くで女子生徒ひとりを堂々と車に乗せるような教員が、ほかの女子生徒からの人気を得られるか? という点については甚だ疑問だが、そのへんは集団心理とかエコーチェンバー的なこともあるしな、と一応自分を納得させている。
この考え方もリアルすぎる。こういう発想になるんだよね、こういう人……。
ダンジョンのオブジェクトや一部の敵のデザインもアウトすぎて、しょっぱなからめちゃくちゃ飛ばすやん、とドン引きしている。これこの先大丈夫か。R18作品にならん?
鴨志田の土下座謝罪には、多少なりともカタルシスがあった。そんなもんじゃ足りんでしょ感もあったけど。なんで服着てんだよ、せめてあの裸ローブで来いよ。
鞘くんたちが「怪盗団」という居場所を得たかわりに、鴨志田は居場所を奪われた。ゲーム的には「欲望」を奪うことになったが、鴨志田が奪われたのは居場所であり、誇りである。
欲望と居場所と誇りをリンクさせた描写はとても面白いし上手い。
社会的包摂は、人に自尊心を与えるものでもある。適切な社会的包摂は適切な自尊心を与える。適切な自尊心からは適切な欲望が生まれる。適切な欲望は人に生きる希望を与えるものである。
そういうわけで鴨志田は、欲望を奪われた結果、社会的包摂も自尊心も失ったんだな。
でもこのメダルは「この世界」のものではない気がするのだけど、こんなの売っちゃって足がつかないかな?
あとは「色欲」がそこそこ強調されていたのが気になった。ひょっとして今作の敵は七つの大罪モチーフだったりするのかな。そうなるとパレスも全部で七つとかいうネタバレをセルフで踏んだことになるが。でも「七つの大罪+1」な敵が出てくるゲームもやったし、パレスの数はまだわからないか。
坂本竜司
「龍馬」じゃないんかい! 「三島由輝」もひっかかる名前だが(なんというか「仮面」の話に登場させるべき名前ではある)。
最初はいかにも不良くん的な印象だったが、倫理観がちゃんとしてる子だった。
すまんな、プレイヤーは「いいからさっさとダンジョン攻略しようぜ」を連発してて。
今作は、最初にパレスに入ってから本格的に攻略にとりかかるまで、結構なステップを踏む。わたしとしてはペルソナシリーズの作法は一応わかっているので、さっさとダンジョンを攻略したかったのだが、今作のダンジョンは前作までとは質が違うということをストーリーから説明する必要があったんだな。
今作のダンジョンはランダム生成ではないし、主の性質の反映のしかたが徹底しているし、ダンジョン内で下手なことをすると主が廃人化してしまう。プレイヤーにそれを理解させるために、竜司くんはちゃんと機能してくれた。いい子な上に、状況を言語化してプレイヤーに伝える能力が非常に高い。実はかなり優秀な生徒なのではないか。
この先陸上部がどうなるのかまだわからないけど、竜司くんが学校で、それにその先で、また居場所を得られるようになるといいな。
高巻杏
今作の毛量すごい枠。
「親友が部活動でスタメンになるために、教員からのセクハラを我慢する」という心理がやっぱり残酷なまでにリアルでな……。「友達を盾にして黙らせる」という発想もリアルでな……。
学校において「友達を失う」というのは、すなわち「居場所を失う」ことにほかならない。だからこそ、友達を盾にとられると反抗できない子がいるのはわかる。
なのにその友達は飛び降りてしまうわけ。杏に何の相談もなく。どちらももう本当に気の毒で……。よく杏は鴨志田を殺さなかったよな。「死ぬより辛い罰」を与えることを選んだ彼女は、あらゆる意味で正しい。
志帆の意識も戻ったということで、杏もこの件に一区切りつけられたかもしれない。これからは彼女とのコープも進めていけるのかな。
モルガナ
今作のマスコット枠。
いったい何者なんだ。本当に人間なのか。もはや人間なわけがないという謎の信頼感があるが、正体はシャドウでしたって話だと二番煎じだしな。やっぱりいったい何者なんだ。
なぜそんなにパレスについて詳しいのか、何をしたら「人間に戻れる」と思っているのか、そのへんはこの先明らかになっていくのだろう。
鴨志田の欲望の象徴に、マタタビを前にした猫みたいになっちゃったのがヒントなんだろうな。
普通の猫の姿でしゃべるたびに「ニャ~」と文字が出てくるのがツボ。
マイパレスとか
何なのこの子????
ていうかマイパレス??? 鞘くんのパレスってことなの??? 鞘くんの欲望、どうなってるの?? ベルベットルームは監獄だったのにパレスは高級ゲーセンやないか!
ていうかベルベットルームが「心のありよう」を反映するということは、鞘くんの心は監獄なんだよな。友達が増えてもベルベットルームの様子は変わらないから、よほどの深層が監獄なのだろう。でも過去作でベルベットルームがリムジンだった子は、心がリムジンだったってこと??
ペルソナ合体がペルソナ処刑になっているのもなかなかに衝撃だし、イゴールの声優さんが変わったのも衝撃だった。でも今の静かな話し方も好き。
今のところ全体的にダークな世界観になったなという印象のペルソナ5。まずは「現在」においつくべく、先を見ていくぞ!
でもこの先鴨志田を超えるクソ野郎が登場したら、プレイを続けられるかどうか不安である。