「ゲームオブスローンズ」S8まであとわずか。楽しみでもあり不安でもある。
ちゃんと面白いのか。話はたためるのか。
誰が死んで誰が生き残るのか。
いずれにしても我々はその終わりを見届けて言うのだ。
And now our watch has ended.
と。
今日はそんな期待と不安をつらつらと語ってみたい。
途中までネタバレなし(ネタバレ前に予告するよ!)。
公式トレイラーはこちら。
「ゲームオブスローンズ」S8を見るべき理由
わたしはこのドラマを他人に薦めることはあまりしない。眉をひそめるようなシーンも多いし、トラウマになりそうなシーンも多いし、抜けない棘になって残り続けるシーンもたくさんある。
「わたしはおすすめはしない」が、「あなたが自らの意思で視聴を決めたならきっと楽しめる」だろうし、「現代社会を象徴するものに飛び込んでいくことの意義」は強調したい。
このドラマはもはや国境を越え、社会的地位の高低を問わず、文字通り世界中で視聴されている。大統領から文字を読めない人々までがこのドラマに夢中になっている。歴史をそれほど紐解かなくても、こんな現象を世界が体験するのはほとんど初めてといっていいだろう。
ある国の人々がひとつのテーマについて議論することは何度もあった。また国境を越えて議論されるテーマもいくつもあったが、それらは大抵の場合、各国における特定の社会的階層に属する人のみが関心を寄せるものだった。ここまで「上から下まで」の状態になった例はほとんど知らない。
ゲームオブスローンズは異世界ファンタジーを描いているものの、扱っているテーマは非常に「現代性」が高い。特に「生き方を自分で決める女性」というテーマについてはさまざまなパターンを描いている。
サンサやアリア、デナーリス、サーセイ、ブライエニーたちの生き方に勇気づけられた女性がどれほどの数になるだろうか。そして今の10代の人々の価値観にどれほどの影響を与えるだろうか。
サムやブラン、リトルフィンガーなど腕っぷしが強くない男性が生きる道を見つけ、強くなっていくのも多くの人々に勇気を与えるだろう。
「強さとは何か」
「人を守るとはどういうことか」
「家族とは何か」
「人の上に立つ者にとって必要な能力とは」
このあたりのテーマはここ2000年くらいの間さまざまな作品で扱われてきたが、「現代」において議論される意義ももちろん大きい。こういったテーマについて文字通りの意味で世界的な規模で同時に考えることなんて、きっとどんなに歴史を紐解いてもなかったことだ。
現代社会というものに関心がある人なら、この世界的同時性を体感する機会を永遠に失うのがどれだけもったいないことなのかは理解できると思う。「今」であることがとても重要なのだ。5年後、いや3年後に見てももう意味は変わってしまうだろう。たとえばアメリカ大統領が次の人になったら、Brexit に決着がついたら、きっと意味は変わってしまう。もちろん後の時代から「現代」を振り返るために視聴する意義はあるが、それでも「今」を体感する機会は今だけなのだ。
まだ見てないという人がこんな記事を読む可能性は果てしなくゼロに近いと思うが、このドラマが作り上げた社会現象は、きっとみんなが思っている以上に大きい。
(ここからネタバレ)
(引き返すなら今だぞ!)
トレイラーで気になった点
まずは公式トレイラーを見て個人的に気になった部分について。すでにマニアによる解説が散々出回っているとは思うが、せっかくなのでわたしもやっておく。
1 トアマンドとベリック・ドンダリオンが生きてた!
いや本当に死んでたとは思ってなかったけど! ちゃんと生きている姿が映っていてよかった!!
トアマンドの中の人、クリストファー・ヒヴュが長い沈黙を破ってインタビューに答えた先日の記事がこちら。
「エピソード1で死ぬかもしれないけどね」ってやめてくれ!
トアマンドが死んだら野人を代表する人物がいなくなってしまうから、彼は安泰だと読んでいるのだが。
2 サーセイは本当に妊娠してる?
巧妙にバストアップしか出してこないんだよな~。
でも1:08のワインを飲むサーセイは病院着みたいなものを着ているのが気になった。本当に産むのだろうか。あのサーセイは泣いているようにも見えるのだが……。
3 S1オマージュ?
デナーリスとジョン・スノウのウィンターフェルへの行軍は、S1のロバートとサーセイの行軍のオマージュだろうか。高いところからそれを見ている少年(かな?)は幼いブランを思い出させる。
そうなるとネッドのポジションにいるのがサンサか。ふたりに協力を要請されてホイホイ乗ってしまうのは死亡フラグである。が、サンサはここまで多くを学んできた。父親と同じ轍は踏まないはず。
4 アリアは誰にナイフを向けてる?
「私はこの死を見るのを楽しみにしてた」と言ってヴァリリアンナイフを誰かに向けるアリア。いったい誰に向かって言ったのか。もちろん筆頭候補はサーセイ。そうだとしたら、大方の視聴者が「私も楽しみにしてた」と言うことだろう。そういう文脈のシーンではない可能性もあるが……。
-----(190401追記)-----
……と思ったが、サーセイは「弟に殺される」という予言があったのを思い出した。
だとしたらやっぱり直接手を下すことになるのはジェイミーなのかな? そう思わせておいてやっぱりティリオン?(疑心暗鬼)でもティリオンが直接サーセイに危害を加えるところはあまり想像できなかったりする。
それはそれとして、アリアがサーセイの前に現れるところは見てみたい。
-----(追記ここまで)-----
ただ少し気になるのは、ジョン・スノウにもらったニードルではなくリトルフィンガーのヴァリリアンナイフなんだ? という点。リトルフィンガーに死をもたらすのに彼自身のナイフを使うのは適切だったと思うが、彼以外に対して復讐目的で振るうならニードルの方がいいような気もする。単に攻撃力の問題? それとも相手がゾンビだったりする?
なおアリア&サンサの中の人、メイジー&ソフィが雑誌で特集されたようだが、これが最高である。わたしもメイジーみたいな髪色にしたい。
#GameOfThrones' Maisie Williams and Sophie Turner appear on our latest cover. In the feature, they talk to us about their unbreakable sisterhood, their surreal teenage years and the most anticipated finale ever https://t.co/weawUGvpTF pic.twitter.com/qMCxX8UX6o
— Rolling Stone (@RollingStone) March 26, 2019
この記事にのってる写真と動画も最高……。美しい……。
こんなS8が見たい!
ここからは視聴前だからできる、適当に希望と妄想を述べるコーナー。あとで読んでニヤニヤする用。
いやわたしはS7前に「アイアンバンクからお金返して! されるサーセイ」「サムの一家がドラカリス」と予言していたこともあるので中には本当に見られるものもあるかもしれない。
前の記事では誰が玉座につくか考察してみたのであわせてどうぞ。
「ゲームオブスローンズ」S8トレイラーが公開されたのでチームベイリッシュ的視点で考察する - なぜ面白いのか
1 ドラゴンに騎乗するジョン・スノウ
Reings GoT ではサンサとティリオンがドラゴンに乗るシーンが描かれたが、ドラマで実際にありそうなのはやっぱりジョンかな。ゾンビ化したのがヴィセ―リオンで、デナーリスがドロゴンに乗って、ジョンがレイゴルに乗る展開。レイゴルの名前はレイガー・ターガリエンに由来していて、レイガーはジョンの父親だから順当なところかと。
個人的にはサンサの騎乗が見たいけどね!
2 戦うシオン
彼がここまで生き残ると誰が予想しただろうか。
一時はすっかりリークだった彼だが、サンサを救ったところから次第に強さを取り戻し始めた。ここまで来たらユーロンおじさんをぶっとばすシオンも見てみたい。あの無情なる百合キャンセル、死をもってあがなえ(そこ?)。
でもリトルフィンガーファンとして彼に一言囁きたいのは、暴力だけが強さの証ではないんだよということ。シオンは以前とは違う強さを見せ始めていると思うから、ユーロンやヤーラと同じ土俵で戦う必要は必ずしもないのではないかと思う。
3 「ゲームオブスローンズ」を執筆するサム
サムとブランが手を組んだら、最終的にできあがるのは「ゲームオブスローンズ」ではないだろうか。ブランはここまで視聴者と同じだけの情報を持っている。それをサムに語り、サムが書きとめることで物語が完成する。ありがちだが見たいエンドではある。サムには生き残ってほしいし!
4 炎に還るメリサンドル
彼女は死ぬと思うが、その前に何か新しい世界への礎を残してほしい。スタニスの戦勝を祈願してシリーンを捧げさせたように(わたしにとって作中でいちばんきつかったのがあのシーンだ)、冬の王との決戦に向けて自分を捧げてみてはどうか。光の王にやれと言われたらやるんじゃないかな、彼女は。まあダヴォスの手にかかるところも見てみたいんだけどね!
ちなみに Reigns GoT ではプレイヤー=メリサンドル視点という重要な役回りだった。
5 ドラゴングラス武器を鋳造するジェンドリー
ジェンドリーの武器屋設定、ここで活かさずいつ活かす? 健脚なだけではないところを見せてくれ!
6 Knowledge Is Power を体現するサンサ
知は力なり。もちろんフランシス・ベーコンピーター・ベイリッシュの言葉である。Scientia est potentia.
彼の教えを受け継いだ彼女が、策謀をめぐらせて自分の身を、ウィンターフェルを、そしてひいては世界を守る展開が見たい。あまり「スタークを」とは言いたくない。スタークの人たちは、スタークの教えは彼女を守らないから。
彼女を守ったのは、入念な下準備の末にジョフリーを暗殺し、あらかじめ脱出のための船を用意し、コートまで作らせていたリトルフィンガーの智謀だった。だからこそサンサはジョンの「(暴力的な力によって)きみを守る」という言葉を拒絶した。
今度はぜひ彼女自身の智謀で世界を手玉にとってほしい。
リトルフィンガー生存説について
このリトルフィンガー推しのブログで、これまで一度もその話題に触れていない時点でいろいろとお察しください。
いや察しろと言われても無理だと思うので、沈黙を破ってちゃんと書こう。
そりゃもう、あの説が出てきた当初からめちゃくちゃチェックしたしそうだったらいいなとは思った。ある程度の説得力はあるとも思った。
でもS7のつくりを見た限り、あの制作陣に、リトルフィンガーを再登場させて上手に話に収集をつけるだけの力量があるか? と言われると疑問である。光の王=リトルフィンガー説でも採用しないとまとめきれないのでは。
もちろん再登場したうえで上手にまとめてくれたら最高だ。それは間違いない。でもあまり現実的ではないかなというのが正直なところ。
トレイラーを見ると、S8はやはり妖怪大戦争がメインになる雰囲気だ。
「玉座をめぐるゲーム」の話なのだから、最後は人間同士のドラマでまとめてほしいと思っていたのだが、そうはならないかもしれない(トレイラー以外の部分でがっつり人間ドラマメインにする可能性はあるが)。そして妖怪大戦争がメインになったら、もうリトルフィンガーの出番は期待できないのかな、と。
いやごめん、期待を上げすぎるのが怖いというのが正直な話かもしれない。もうS7のときのような長引く傷は負いたくないだけなのかも。2%くらいは再登場の可能性もあると思っている。
ただし一応、ギレンさんご本人はその説を否定している。そりゃ質問されたら否定するしかないとは思うが。「リトルフィンガーの言葉を信じるのか?」と言われたら、まあ、そうですね。
ギレンさんはS8撮影時期はほかの仕事で忙しかったよなあと思ったり、S8撮影現場に現れたという噂があったり、S8プレミアに参加するという話があったり、そういう噂に一喜一憂させられる二年間だった。
でもそれももうすぐ終わり。
The End Is Coming なのである。
きっと笑顔で終われるストーリーにはならないだろうが、納得のいくエンドになりますように。