漆黒5.3を無事クリア!
5.3がリリースした頃にはわたしはもうFF14を始めていて、当時の界隈のざわつきについてはなんとなく聞き知っていた。それだけにシナリオには期待していたわけだが、期待以上だった。
5.3のメインを走っていた数日の間、毎晩何度泣かされたことか。
これは「ファイナルファンタジー」に対するアンチテーゼにして、ファイナルなファンタジーだ。それくらいの絶賛に値する。
以下、さっさとゲームに戻りたいのでできるだけ省エネで感想をまとめるぞ!
わたしはエデンに向かいたいんですよエデンに。
ネタバレ全開なので、5.3をクリアしてからどうぞ。
5.3に至って、作中に散りばめられた様々な対比構造が浮き彫りになった。周知のとおり、ある種のオタクはこういう対比構造に大変弱いのだ。
今日はそのへんをまとめておきたい。
エメトセルクと水晶公
改めて言うまでもなく、エメトセルクと水晶公は対になる存在だ。
どちらも目的のために長い年月をかけ、自分だけではなく大勢の願いを背負ってククルカくんの前に立っている。その目的はどちらも同じ。「自分たちの世界と大切な人を救う」ため。違いはどちらの側に立っているか、だけ。
「正義の相対化」のために、このふたりは対になる形で作られている。
エリディブスと水晶公
エリディブスがオリジナルアシエンである以上、エメトセルクに近い立場で水晶公とは対になるのも必然ではあったのだが、エメトセルクとはまた違う部分でうまく対比されていた。
ふたりはどちらも「ある名前」をしるべにここまで長い道を歩いてきた。その根幹にあったのは「好き」という感情だった。
ただし水晶公はククルカくんという「他者」の名がしるべとなり、エリディブスは「自己」の名をしるべとしてきた。いや、「エリディブス」は彼の真名ではなく座の名前なのだから、役職名への誇りや責務みたいな部分も大きかったのかもしれない。
エメトセルクとエリディブス
何もかもを覚えていて、ククルカくんにも「覚えていろ」と言い残したエメトセルクと、覚えていないエリディブス。これは強烈な対比だった。
そんなエリディブスにエメトセルクが引導を渡す形になったのは、なんだろうな、慈悲とも言えるのかもしれない。
役目を終えられたら、もう一度大好きなみんなの笑顔が見られると思っていたエリディブス。そんな彼が「最後のオリジナルアシエン」となってしまった皮肉。
最初の動機すら見失った彼に、もはや最初の目的がかなう見込みのなくなった彼に、「もういいよ」と言ってあげるのは、「覚えている」エメトセルクの役目だと考えたというのか。あの時点で(たぶんイノセント戦後、アーモロートに帰ったとき?)すでに。智慧も、抱えた感情も人間より大きなアシエンだもんな。
石田彰のあんなにも疲れきって途方に暮れた声、あんな方向性での熱演、エリディブスが「史上最高の石田彰」と呼ばれているのを完全に理解した。
ついでに語ってしまうが、WoL戦でのあの演出は息が止まった。ついでに手も止まって死にかけた。汚いさすがアシエン汚い。
あの手を振る仕草ひとつで、セリフも何もなくこちらの情緒をめためたにしていくエメトセルクよ。
あのシーンの後でヒュトロダエウスとの会話のスクショを見直すと、もう一度悶え苦しむことができて大変おトクである。
このセリフを、エメトセルクはいったいいつ仕込んだの????
ヒュトロダエウスはアーモロートの中でも少しばかりイレギュラーな存在で、ある程度言動は自律的なものだろうとは思うけど、「エメトセルクの考えるヒュトロダエウス」が言いそうにないことは言わないはずだ。とすれば、遅くともエメトセルクが最後にアーモロートを去った段階で、ヒュトロダエウスはククルカくんにこんなことを言いそうだと思われていたということだ。
ヒュトロダエウスはククルカくんのこともアルバートのことも認識したうえで会話していたから、エメトセルクとこの世界がどうなったのかも正しく認識してこんなふうに言っているのだとは思うが、しかしそれはそれとしてエメトセルクがこのセリフの仕込みにどこまでかかわっているのかは妄想の余地がある。
十四の星座の仕込みは、イノセント戦後なのかなあ。それともエメトセルクがここにアーモロートを再現したそのときからかなあ。アーモロートを再現したその最初のときからここにあった方が好みかな。エメトセルクからアゼムに対する感情がそのときからずっと変わってなかったらいい。
「初めてアーモロートを訪れたときのククルカくんはそれを拾うことができなかった」のが結構ポイントな気がする。エメトセルクが自分の死後、石が出てくるように仕込んでおいた可能性もあるが、最初からあったけどククルカくんには認識できなかったという方がこのシナリオに合っているような。
つまりエメトセルクに共感し、彼の存在を、言葉を認め、「覚えている」からこそあの石を拾うことができたという物語の軌跡である。
過去の経験が今につながっているというのが漆黒全体のテーマであるならば、石を拾えたこと自体が、ハーデス戦を経たククルカくんの成長だと思える。
またアルバートの魂とひとつになったことで、より「アゼム」に近づいたからという理由もあるのかも。
前置きがめちゃくちゃ長くなってしまったが、「アゼム」が「アゼム」であるならば、ああいうふうになってしまったエリディブスを終わらせて「アゼム」に希望を託そうとしたのがエメトセルクの最後の決断だったわけだ。
「アゼム」が「アゼム」である、すなわち「世界の今を知り、解決すべき問題があれば拾い集める」「旅をして多くの人と出会う」「解決できる仲間を喚び寄せて自分で解決する」ような人である、ということ。
そんな「アゼム」は、WoL戦で「願いをこめてクリスタルを掲げた」。それが具体的にはどんな願いだったのかは語られない。でも結果を見れば、そしてアゼムのクリスタルの性能を文字通り受け取れば、あそこでククルカくんはエメトセルクのことを「解決できる仲間」として自ら喚んだのだ。それはエメトセルクの希望に応えることにもなった。
そしてエメトセルクは、「アゼム」が今も「アゼム」であることを受け入れてくれた。
もうあかん、あの手のヒラヒラひとつでどれだけ感情をかき乱されているんだわたしは。
ヨツユと暁
5.3クリアまできてやっと気づいたのだが、紅蓮後半でのヨツユのくだりは「肉体・魂・記憶」のテーマの導入になっていたんだな。
あそこで「その人の本質は肉体にあるのか? それとも記憶にあるのか?」という問題が提起された。これは5.3で暁が原初世界への帰還を果たすまでの長いサブストーリーのひとつである。
ガ・ブのテンパード化問題も肉体・魂問題の導入になってはいたが、そしてそのサブストーリーはいよいよ5.4以降で回収されるのかもしれないが、ヨツユの物語も漆黒へのイントロだったとは恐れ入った。しかもそのサブストーリーがアサヒをシナリオに呼び、そのサブストーリーがファダニエルへとつながるのだからよくできていて無駄がない。舌を巻くばかりである。
アシエンがああいう性質な以上、「キャラが死ぬ=そこで終わり」ではなく、「キャラが死ぬ=いい死体ができた」と考えるべきなんだな、承知した。大抵の作品では埋葬までいったら本当に死んでいると考えるところなのだが、FF14では埋葬までいっても全然油断できんなこれ。
ところでまだこの人のことよく知らないんだけど、まあ絶対わたしはこの人のこと好きだよね。知ってる。
別れと再会
やる前からわかりきっていたことではあるが、暁のみんなが第一世界の人たちと別れるシーンはどれもこれも泣かされた。
少年少女の成長に弱いものでアルフィノやリーンの成長ぶりに、目頭が熱くなるっていうか水分補給が必要になった。
特にこの「リーンでよかった」にどれほど泣かされたことか。名づけは定義づけであるとともに祈りであり、祝福である……。疑似親子にも弱いので(弱点多すぎない???)あの名づけシーンですでに泣いていたわたしは、見えている落とし穴にまっしぐらに落ちていった。
グ・ラハとの再会も、ひっぱらずにそのパッチにおさめたのが好印象。
5.0クリア後に「なんで水晶公のフェイスがないん??」とブツブツ言っていたわたしもこれで満足。
始皇帝ザンデ
シルクス・ツイニングをクリアした後ふと気になって、ラムブルースの「ノアレポート」を再確認した。今読むとどれも興味深い内容なのだが、特に気になったのがザンデ復活のくだりだ。
死体を掘り返して復活させるという話、めっちゃくちゃ聞き覚えがあるではないか。主にゼノスとかで。アラグ帝国の建国にアシエンが何らかの形で絡んでいたのはほぼ間違いないが、ザンデ復活にも絡んでいないだろうか。
最初は復活後のザンデがエメトセルクやラハブレア本人だったりしたのかと思った。結局ザンデのしたことが第四霊災を招いたわけだし。
ただ復活後のザンデは「無」に取りつかれてヴォイド研究へと走ったという。アシエンの目的が世界を救うことならば、「無」を目指すのはちょっと違う気もする。霊災を起こすためにそういう言動をとっていた可能性ならあるかな?
ザンデが「無」に惹かれるようになった原因はアシエンの囁きにあったのかもしれない。またザンデ復活に尽力したアモンにも、アシエンが入れ知恵した可能性が高い気がする。
いずれにしても、クリスタルタワーで冒険者たちが出会うザンデやアモンはアシエンとは直接の関係はなさそうな感じだった。
もし第三西暦時代の彼らがアシエン本人たちだったのなら、その後その肉体を捨てるときに「簡単な言動(決まったセリフをしゃべって侵入者を攻撃する程度)」ならできるようにしておくくらいはできるのかな。
うん、今日こそ省エネで感想をまとめようという心構えが一瞬で崩壊する記録が出来上がったな! 本日はここまで!
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