ここのところずっとわたしはこの記事を書こう書こうと思い続けてなかなか書けずにいたのだが、重い腰を上げて書いてみることにした。わたしには書くことがセラピーになるのだ。
S4で衝撃の髪型とともにピーキーデビューを果たしたエイダン・ギレンだったが、S5では大幅なイメチェンを図り、ファンの間ではアベラマ・ゴールド改めアベラマ・シルバーと呼ばれることとなった。
そんなアベラマさん、S5では大活躍でおいしい見せ場も多く、BBCの初回放送時は毎回Twitterで話題をさらっていた。S5序盤でとんでもないネタバレを踏み抜いたために、以後はわたしはもうネタバレを気にせずリアルタイムでピーキー情報を追っていた。
だからネトフリで字幕版を見る前に大体のことは知っていたわけだが、それでも(以下略)
というわけで、S5アベラマさんのここがかっこよかった! 的なことをだらだらと語って自分へのセラピーを試みよう。
ここまでで大概ネタバレな気がするが、この先はさらにネタバレ注意。
オープニングシークエンスからエイダン・ギレン推し
"Now you've heard of us." #PeakyBlinders pic.twitter.com/tJzHsYWapD
— Peaky Blinders (@ThePeakyBlinder) August 25, 2019
これエイダン・ギレンファンは PEAKY BLINDERS のタイトルが出る前に7回は死ぬでしょ。
「窓からエイダン・ギレン」
「洗濯物の向こうからエイダン・ギレン」
「壁からエイダン・ギレン」
という衝撃的な図が立て続けに流れ、しかもその合間合間に見せる「暗殺者の顔」がめちゃくちゃかっこいいの。
アベラマさんはこういう状況に慣れている。物心ついた頃からナイフを持って野山を駆け回り、そのナイフを人間に向けたのもきっとまだ若い頃だろう。全身に武器を仕込み、ナイフもピストルもライフルも使いこなせる。人を狙うことも狙われることも日常の範疇。50になるまでずっとそんな生き方をしてきた――このオープニングシークエンスからだけでも、彼のそんな人生が窺える。
エイダン・ギレンの演技力がすごいのはもう今さら言うまでもないことだが、このアベラマさんの視線の動かし方とか気配とか、そういうのが「ずっとこういう生き方をしてきた人」にしか見えない。素のギレンさんはあんなにシャイで、笑顔が素敵で、平和な世界で育ってきた人にしか見えないのに。
さらにこのシーンはアベラマさんの発砲でしめられる。直後に PEAKY BLINDERS のタイトルがバーンと出る。これはもう、S5はアベラマさん推しでいくって宣言でしょ。実際そのとおりだし。
突然のイメチェンについて
わたしはあのくたびれたねこみたいなS4スタイルも大好きだったのだが(たぶんGoT S7直後だったから、デザイナーさんがリトルフィンガーとの差別化を図ったのではないかと思っている)、作中でも「変な髪形」と言われるし、ファンからも terrible hair だの awful hair だのひどい言われようだった。
そんなアベラマさんが、S5ロケ中の姿を激写された。世界中のエイダン・ギレンファンに震撼が走る。
A look behind the scenes on tonight's #PeakyBlinders 9pm, @bbcone. pic.twitter.com/tC762rFfo4
— Peaky Blinders (@ThePeakyBlinder) September 15, 2019
こんなのさあ、ファンが増えるに決まってんだろ!(実際S5でアベラマさん人気は爆発的に高まったようだった)
このイメチェンについて、ギレンさんご本人もインタビューで語っている。
要するに「S5はS4の3年後。3年もたてば散髪もするし新しいスーツも買うでしょ」という話。ま、まあ、確かに……。
さらにギレンさん的には、「アベラマのようなプロのヒットマンなら、気づかれないということが大事。外見をしょっちゅう変えるのは悪い考えじゃない」とのこと。
これは確かに納得感がある。名前を呼ばれなければ、S4アベラマさんと同一人物だとは気づかない人もいるかもしれない。
ボニー退場
わたしが踏み抜いたネタバレはこれ。えらいものを見てしまったと思うと同時に、S5はアベラマさんにフォーカスしたシナリオが見られそうだという期待も高まった。
泥にまみれて踏みつけられるエイダン・ギレン、ありそうで(ありそうで?)なかったやつ。ギレンさんのあんな悲痛な表情、初めて見たかも。
開き直ってこういう記事も読みに行ったりした。
サンって普段はアレだけど、ピーキーは割とせっせと記事にしてくれていてありがたい。2話直後のファンの阿鼻叫喚っぷりがまとめられている。
こっちにはアベラマさんとポリーの美麗なツーショットも。
ちなみにギレンさんはS5公開前のインタビューで「台本を読んで、これは挑戦になると思った ‘wow, this is going to be a challenge.’」と語っている。
5-2を見てなるほどチャレンジというのはこのことかと思ったが、その後の全部の出番がチャレンジだった。何このエイダン・ギレン全部おいしい。
息子を目の前で失った父親であり、
復讐に燃える暗殺者(プロ)であり、
トミーとアーサーの信頼を得た「シェルビーファミリー」の一員であり、
ジプシーの女王に恋した男でもある。
喪失→失意→復讐→妥協→婚約という、あまりにもアップダウンの激しい役回り。
病院で弱っているシーンもよかったし、ポリーにバラを渡すシーンはあまりにも美しく悲しかったし、ポリーへのプロポーズやベッドシーンはあまりの美しさに朝から死んだ(時差のため、ピーキーのネタバレを見るのはいつも朝である)。
タール流しこみシーン(あれは「ゲームオブスローンズ」のカール=ドロゴによる黄金流しこみシーンを思い出させた)でかぶっていた帽子はボニーのものではないかと言われている。
ボニーの形見を身につけて仇をとるアベラマさんの心境を思うと……。あの片腕だけのナイフシーンはすごくかっこよかった!
There’s nobody quite like Arthur Shelby. #PeakyBlinders pic.twitter.com/SyQUu2VzCH
— BBC One (@BBCOne) September 15, 2019
アーサーとのシーンもよかったなあ。少しずつ友情や信頼関係を積み上げていって、いつのまにかアーサーがアベラマさんとポリーの仲人役に。幸せな結婚式、見たかったなあ。うっ……見たかった……なあ……(泣き崩れる)。
結婚式は死亡フラグだって、ゲームオブスローンズの頃からのお約束だったじゃない……。いやピーキーでも割とそうだったよね……。
ポリーとアベラマさん
ポリーのことを「ジプシーの女王」と呼び、自分を「庶民」として求婚したアベラマさん。
プロポーズのときは騎士風に、「女王」のために跪くアベラマさん。
アベラマさんの亡き妻が見えるポリー。
3年間アベラマさんを待たせたポリー。
ほかの男と遊んだりもするけど、アベラマさんのことをまんざらでもなく思っているポリー。
ボニーも含めて、いい家族になれたんじゃないかと思うんだ……。
むしろ3年前にキスして以来、なぜ一歩も進展していなかったのか。3年も手を出さずに女王のそばにいるなんて、紳士か! いや騎士なんだな、そうなんだな。
わたしは3年もたっているならS5開始前にふたりが結ばれていてもおかしくないと思っていたので、そこはちょっとびっくりしたところ。だってピーキー世界って割と性にゆるゆるな人が多いから。
あのバレエ鑑賞会の日のふたりは素敵だったな。幻想的で、ゴージャスで。あんなに美しくギレンさんを撮ってくれたBBCには感謝しかない。
ファシストとアベラマさん
ファシストの演説に唾を吐くアベラマさんに対して、ファンは大絶賛していた。
我々現代人は「ファシズム」に対してすでに固定的なイメージを持っていて、この後彼らがどうなっていくのかも知っているが、この時代の人々にあの演説が魅力的に見えるのはよく理解できる。そしてあの演説が、Brexit 問題で右往左往している現代のイギリスにどう響いたのかはとても気になる。
富裕層によって引き起こされた不況で庶民が苦しむ状況。一部の外国人を「敵」に仕立てて国内の一体化を図ろうというやり方。不況の時の庶民の精神状態なんて、どんな時代も変わらないのだ。
ともかくアベラマさん(ジプシー)やアルフィー(ユダヤ人)は、ファシズムから敵視される側の人。ボニーの件がなかったとしても、あの演説は面白くないだろう。
ファシズムの台頭を複数の視点から追っているのがS5の構成の妙のひとつだ。この先のイギリス史がどうなるのかを知っているのがとんでもなくネタバレだが、視聴者がこの先の歴史の流れを知っているということをBBC側も知っているので、知っていること前提の面白いシナリオを描いてくれると期待している。
まあ、わたしの傷心がS6までに癒えればだけど……。
はあ……なんであんなあっけなく……結局ボニーの仇もとれずに……アーサーの目の前で……ポリーはどうなるんだよ……。
ブラックキャットは誰か
ネット上では、シェルビーファミリーを裏切っているのは誰かというのが盛んに議論されている。
裏切者の条件は、
・シェルビーファミリーを破滅させる動機がある
・アベラマさんたちのキャンプの場所を知っている
・ビリーボーイズに連絡がとれる
うん、割と誰でも当てはまりそうで逆に予想がたてにくいな!
ジーナ/マイケル説
割とそのまんますぎて……。トミーとの敵対関係を隠さなくなった彼らだが、アメリカにいた彼らがビリーボーイズとのコネを持っているものだろうか。ジーナがアル・カポネとつながっている説は面白いと思う。
エスメ説
ジョンを失って、動機はあるような気がする。自身もジプシーだから、ジプシーのキャンプ場所を知っている可能性はある。この説を推す人は多いみたい。
過去には公式Twitterでこんなやりとりもあったようだ。
I think she has the chops to do it. And I think it would be a real curveball were Steve Knight to go in that direction. Certainly not obvious. -JC
— Peaky Blinders (@ThePeakyBlinder) November 24, 2017
リジー説
トミーの秘密主義やら物騒なお友達との付き合いやらにうんざりしていそうなリジー。でもシェルビーファミリーを破滅させたら自分も破滅だし、ファシストが嫌いな点ではトミーと一致しているようだしな。
リンダと共謀して何かしようとしている説もあるが、それならリンダがひとりでパーティに突撃する展開はないような気がする。
キャンベル警部説
これだったらびっくりだな! でもアルフィーが復活を果たしたんだからないとは言い切れないかもしれない。ついでにアベラマさんも復活しようぜ。
その他の見どころ
Kate Dickie joins the cast as Mother Superior in #PeakyBlinders Series 5. Starts this Sunday at 9pm on @bbcone. @dickie_kate pic.twitter.com/f2hQyt3MkI
— Peaky Blinders (@ThePeakyBlinder) August 22, 2019
ライサ!! ライサの人じゃないか!!
ギレンさんがゲースロキャストと再共演(同じ場面にはいないけど)していると興奮してしまう。しかもよりによってライサだし。
Arthur Shelby enjoying the ballet. #PeakyBlinders pic.twitter.com/JLsa63ZsgK
— Peaky Blinders (@ThePeakyBlinder) September 8, 2019
相変わらずアーサーお兄ちゃんは萌えキャラ。
アベラマさんとの逃避行シーンとか、もっと見たかった。
The #PeakyBlinders are back in one hour. Series 5, Episode 1, 9pm, @bbcone. pic.twitter.com/2vPHEsmk1F
— Peaky Blinders (@ThePeakyBlinder) August 25, 2019
やっぱこれだよね。この中にアベラマさんが入って行進するところが見てみたかった。
いつの間にか公式ファンブックやらピーキーカレンダーやらが日本のアマゾンさんに入荷されていたので貼っておく。ファンブックほしいなあ。