7月にやっと原作の新刊が出るようだ。amazonでも予約が始まっている。
日本で翻訳が出るのはいつになるだろうか。
今回はS3死亡キャラを振り返りつつキャラ語り。いつものようにワシントンポストのサイトを参考に、「ヴァラー・モルグリス」と唱えて始めよう。
ネタバレはS5まで。
【ゲームオブスローンズ記事目次はこちら】
ネタバレの存在しない歴史ドラマ「ゲームオブスローンズ」(S3前半まで)感想 - なぜ面白いのか
上記リンク先のS3死亡キャラ一覧を見ていると、キャラ語りというよりはレッドウェディング語りになりそうだ。
S3でも、壁ではクラスターやモーモント総帥らが、キングスランディングでは娼婦のロスらが、ナロウシーの向こう側では奴隷商人やユンカイの戦士らが亡くなったわけだが、やはりそれらをすべて吹っ飛ばすインパクトがレッドウェディングにはあった。
ロブ・スターク
若かったんだよ、と言うのは彼に対して失礼だろうか。
だがしかし、やはり彼は若かったのだろう。
老獪にも狡猾にもなれなかった。あの世界で生き抜いていけるほどには。
なにしろ原作では19歳なのだし。
前にシオンがリーク化しないためにはどうすればよかったかというif妄想記事を書いたが、この中のいくつかの項目はレッドウェディングを防ぐための方法とも言い換えることができる。
すなわち、
- ネッドが王の手にならない
- ロブが挙兵しない
- シオンを一人で鉄諸島に送らない
- 北部で外交能力の高い人材を育てておく
このあたりである。
これに「約束通りフレイ家の娘と結婚する」を加えれば、レッドウェディングは起こらなかったのではなかろうか。
そもそもロブが挙兵しなければタリサとも会わなかったし、フレイ家の娘との結婚話も持ち上がらなかったわけだが。
原作ではタイウィン対ロブの心理戦についてドラマより詳しく書かれていた。
タイウィンは「待ち」の姿勢で勝利したのである。
つまり、北部連合軍は時間がたてば自滅すると読んでいたのだ。
このあたりはタイウィンの方が何倍も経験を積んでいたということだろう。
しかしタイウィンはこれだけ「敵」の心理を読めるのに、なぜ自分の子供に対しては……(ぶつぶつ)
タリサ・スターク
作中視聴者に最も衝撃を与えた死の上位三位くらいに入りそうな彼女。
好感度の高い人物だっただけに死んでしまったのは本当に悲しかった。
タリサとシェイは同じ時期にスターク陣とラニスター陣に現れ、それぞれの陣の重要人物と引かれ合い、そしてその恋愛がもとで死んでいった。わたしはなんとなく彼女たちを対にして見ていた。二人は対照的なようで、結局は似た運命をたどった。
二人とも自分から身を引こうとはしなかった。違ったのは相手の態度である。ロブはタリサを拒絶することなく結婚し、二人とも死んだ。ティリオンはシェイを救おうとして拒絶し、結局は裏切りにあって自分の手で彼女を殺すことになった。
二人とも愛の犠牲者であり、戦争の犠牲者でもある。
そういえばこの作品、恋愛に関して女性が強い。自分から身を引こうとした女性キャラをあまり見ない気がする。
デナーリス(好きだからこそ夫を自分の手で殺した)、ライサ(好きな男が浮気しそうなら相手の女性を殺そうとする)、イグリッド(立場が違っても好きな男を自分の手で殺そうとする)、ミランダ(好きな男が結婚したら相手の女性に粘着)、ミアセラ(暗殺されかかったのに暗殺犯の家の王子に執着)と、身を引かない女性はすぐに思いつく。
セリースはスタニスとメリサンドルとの関係に寛大だったが、あれは宗教的に洗脳されていたのも大きかっただろう。
サーセイのジェイミーとの浮気は、ジェイミーへの恋心への執着だけとは必ずしも言えないように思えるのでここでは別枠にしておこう。
抑制された恋心を持つ女性キャラといえばブライエニーくらいしか思いつかない。
タリサの中の人がチャップリンのお孫さんというのは有名な話だと思うのだが、彼女とサー・ロラスの中の人が仲良しなのは日本ではあまり知られていないかもしれない。
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キャトリン・スターク
スターク家がこんなことになってしまった原因の何割かは間違いなくこの人。
ひょっとするとラニスター家の誰よりもスターク家没落に貢献してしまったかもしれない。
とはいえ、その場その場ではそう判断するしかないと思わせるものもあり、いろいろとめぐり合わせも悪かったのだろう。
ブランが目覚める直前にウィンターフェルを発ってしまうとか、旅先でティリオンと偶然出会うとか、レンリー死亡に居合わせるとか、ジェイミーを逃がしてロブと反目するとか、とにかく何をするのでもタイミングが最悪。
そんな彼女にとって最も悪いめぐりあわせは、幼い頃の彼女とピーター・ベイリッシュとの出会いだろう。
もちろんそれがなければ「ゲームオブスローンズ」という物語は存在しないのだが。
ところでリトルフィンガーにとって、キャトリンはそんなに魅力的な女性だったのだろうか。
たとえば彼女が傾国の美女だったり、並外れた慈愛の持ち主だったりするのなら、リトルフィンガーの執着もわかる。
だがドラマからも原作からもそういうキャラづけは読み取れない。彼女はもちろん美しいが傾国の美女というほどではないし、性格に関して言えば自身でも自覚しているとおりジョンに対して冷たかったり、冷静になれないこともあったり、いろいろと「普通」の女性なのだ。
いつかリトルフィンガーが彼女への思いを語ることがあるだろうか?
ぜひキャトリンのどこにひかれたのか語ってもらいたいところだ。
幼い頃、身の回りにいた同年代の女性がキャトリンとライサだけだったなら、消去法でキャトリンになるのもわからなくはないが。