「刑事コロンボ」で立て続けに面白い回にあたった。
↑のDVDに入っている二作、「ロンドンの傘」と「偶像のレクイエム」である。
さすが「傑作選」に選ばれるだけのことはあって、どちらも印象的な事件だった。
ロンドンの傘
名探偵というものはロンドンに行きたがるものである。
おそらくサー・アーサー・コナン・ドイルの影響が最も大きいと思われるが、彼の著作以外でもたくさんの探偵がロンドンで活躍し、またたくさんの探偵がロンドンを訪れている。
ともかくこの回ではタイトルが示すとおり、コロンボがロンドンを訪れる。
そしてロンドンの名所を回ってはしゃぎまくる姿を見ることができる。
義弟に借りたというカメラを構えて写真を撮り、大喜びするコロンボを見てこちらもニヤニヤしてしまう。
わたしもロンドン旅行の際はあんな感じではしゃぎまくってタワーブリッジを渡り、ロンドン塔で記念撮影をしたものである(さすがにコロンボのようにタワーブリッジの車道を横断などはしていない)。
面白いのは、ミーハーなコロンボがベイカー街は訪れていない点。コロンボは推理小説には興味がないのか、それともあの世界にシャーロック・ホームズは存在しないのか。
それから当然のことなのだが、ロンドンアイもガーキンもない!!
現代のロンドンの風景に慣れたわたしにとって、70年代のロンドンは逆に新鮮である。
おそらく「SHERLOCK」なども、あと50年後もたてば「当時のロンドンの面影をしのばせる作品」ということになっているだろう。
またコロンボが訛りのあるイギリス英語を聞き取れず「あの方は何て言ってましたか?」と「通訳」を頼むシーンも面白かった。
わたしからすればアメリカ英語の方に「英語でおk」と言いたいわけで。
肝心の事件もシェイクスピアの『マクベス』をベースにしており、イングランドらしいものになっていたように思う。
特に前半は犯人たちがノックの音におびえる様子が『マクベス』を思わせ、シチュエーションの重なりぶりが秀逸であった。
『マクベス』に詳しい人であれば、細かい仕掛けをもっと見つけられるかもしれない。
スコットランドヤードのお偉いさんが無能なのは、残念ながらお約束。
しかし後半になるにしたがって「これはコロンボも手詰まりでは?」と感じられた。
犯人は明らかなのに決め手となる証拠がない状況である。
どうやってこれを打開するのかと思ったら、そんな反則を使うとは!
あんなのアリか!?
犯人たちがあっさり観念してペラペラ自白したから結果オーライなのか。
結末には若干首をひねるものがあったが、ロンドンで活躍するコロンボを見られるというだけでも価値ある作品であることには間違いない。
「偶像のレクイエム」についても書きたかったのだが、時間が遅くなってしまったのでまたの機会に。