しばらく前に「The Wire」の感想記事を書いた(「The Wire」記事目次はこちら)後、最近はのんびり「刑事コロンボ」を見ていた。
一話完結のドラマは気楽に見られるため、ここのところ平和な生活を送っていた(主に睡眠時間的な意味で)。
ところがあるときブログのアクセス解析を覗いてみると、それまで大して読まれていなかった「The Wire」の記事がやけに閲覧されている。ひょっとして何か動きがあったのか、と思って調べたところ、huluにS4が来ているではないか!
ブログを書いているとこういう形で恩恵があるのはありがたい。間接的に教えてくれた皆さまにはお礼を言いたい。
というわけで今回はS4感想。ネタバレあり。
イエス! カルケティ
S4はざっくり前半と後半に分けられる。
前半は主に市長選の行方を追っていった。
S3ラストで市長選への出馬を決めた我らがリトルフィンガートミー・カルケティだが、最初は苦戦を強いられる。
「ゲームオブスローンズ」ファンとしては、あの顔が「苦戦を強いられる」ところなんて初めて見るわけで、非常に新鮮である。
リトルフィンガー風に「現職市長の不倫情報を教会にばらまいて失墜させろ」とか言い出したらどうしようと思いながら見ていたのだが、そんなことはなかったぜ! トミーはきれいなエイダン・ギレン。
一方の現職市長(すでに「元市長」と言うべきか)の腐敗ぶりは、こちらこそまさに悪徳政治家というべきもので、この交代劇以後ボルティモア全体が良い方向に変わっていくようだ。
しかしハークの「見ちゃった」シーンは笑ったし(ここにあのシーンのスクショを上げたらブログごと消し飛びそうだ)、そこからスタートするハークの一連の不運(自業自得なところもあるが)も笑えて悲しい。
しかしいざ本当に市長になってみると、次々「クソを食べさせられる」ことになるトミー。
後半の彼はかなりフラストレーションがたまっているようだった。
この先も予算のやりくりに苦しみそうだが、教育問題はなんとかなるのだろうか?
S4のトミーの見どころ
もともとエイダン・ギレン目当てでこのドラマを見始めたのだからこれは語っておくべきだろう。
トミーはなんというか、このドラマにあるまじき誠実さで王道を行っている。
S4で好きなシーンといえば、
- 仕事に行かず娘とゲームするシーン
「選挙はどうせ負けるけどこの勝負はまだ僕が勝つ可能性が残っている。だからあと5分だけ」という理屈で参謀を納得(?)させ、娘と遊ぶトミー。
なんてかわいいパパだろうか。
選挙戦前半の不利な状況のトミーはいろいろ荒れていて面白い。
- 候補者テレビ討論会で現職市長を追い詰めるシーン
ここはさすがのエイダン・ギレン、切れ者を演じさせたら最高である。
各方面に配慮した良いスピーチだった。
実際にはあの被害者は事故で死んでいたというオチも含めて面白い。
- 当選を決めた夜、選挙参謀(S3では浮気相手だった)からの誘いを(散々迷った末にではあるが)断ったシーン
トミーのことは本当にボルティモアを裏から牛耳る悪徳政治家だと思っていたから、S3以後ずっと好感度がうなぎのぼりである。特にこのシーンは大いに彼の株を上げた。
その前の、奥様と二人で港に散歩に行くシーンも好きだ。
- サンドイッチを食べるシーン
ぶつぶつ言いながら車の中でサンドイッチを食べる彼はなんだか面白い。
もっといいものを食べさせてあげてほしい。毎食あんな状態では精神もすさむというものである。
トミーはあまりいいものを食べているシーンがない気がする。
- 「角を曲がるまで待て!」
あのシーンは笑った。
このあたり。
トミーの話だけであれこれ語りすぎてしまった感があるが、S4は警察サイド、麻薬関係者サイド、学校サイドのどのパートも見どころたっぷりだった。ボディの死はショック。エイボンとストリンガーのいないストリートはやはりどうしようもない。また折を見てほかのパートについても語りたい。