今日は午後いっぱい、昼間に書いたリトルフィンガーの目的についてああでもないこうでもないと考えていた。
もちろん、どうやって反論するかについてである。
きれいなリトルフィンガーもいいけれど、彼にはヴィランでいてほしいわたしもいる(というか自分内で多数決をとるとそっちが多数派だ)。というわけで、自分で自分に「それは違うぞ!」をやるべく、一人議論スクラム開始。前の記事をまだ読んでない方は、先に1からどうぞ。
リトルフィンガーの目的は??「ゲームオブスローンズ」S7E4感想 - なぜ面白いのか
全面的にネタバレあり。
リトルフィンガーはプレイヤーはプレイヤーでもシングルプレイヤー
まず第一にこれ。
確かにピーター・ベイリッシュは「ゲームオブスローンズ」のプレイヤーキャラクターではあるが、誰かのお告げでプレイヤーとして名乗り出るタイプではない。まして「光の王」の神託に従って動くような人ではない。
物語上の立ち位置(キャラクターの再配置を促して、物語が大きく動くときに必要な人員を必要な場所に置く役)としてはメリサンドルに非常に近いように思うのだが、性質が違いすぎる。
ピーターはあくまでも自分の意思で、自分を裏切った人と世界に復讐する人だと思うのだ。そしてブランとは違い、強い自我を抱えた人だとも思う。
というわけで、「光の王」からの神託で動いている説も「ないわ~」だし、三つ目の鴉的な存在に能力を与えられている説も「うーん?」という感じだ。
ただしハウンドのようなキャラでさえ、炎の中に「光の王」的なものを見たときの反応はあんな感じだったし、ブランのように完全に三つ目の鴉を継いだ状態ではない、ジョジェンのような状態だとしたら自我は残る可能性もある。
あと、ここが厄介なのだが、ピーターは「そういうキャラを演じてきた」だけの可能性もある。もう何も信用できない。
ちなみに「リトルフィンガーは『ゲームオブスローンズ』のプレイヤー」とは、原作者の発言から。
そう、原作者も言うように、ピーターはとてもチャーミングだ。
だからこそ罪深い。
ジョン・スノウへの挑発的な態度
もう一つはこれ。
ピーターはスタークの子供たちには概ねおもねる態度をとるが、ジョンへの態度は割と挑発的。地下墓地で首をしめられたのも記憶に新しい。
もしピーターがホワイトウォーカーに本気で対抗するつもりなら、ジョンも含めた兄弟の結束は重要なファクターのはず。しかしどうにも、ピーターはジョンとサンサの対立を煽りたがっているように見える。
サンサに言った "Command suits you" (命令が板についていますね)などのせりふからも、彼がジョンではなくサンサを北の王にしたがっているのがうかがえる。
単純に考えると、ジョンを追い出してサンサを北の王にして、自分がサンサと結婚し北部の実権を握りたい、みたいな話に見える。もしそれが彼の目的なら、ホワイトウォーカーとの戦いなんて想定していないことになる。そして「北で戦うのでも南で戦うのでもない」という言葉との整合性もつく。
ドラゴンストーンから帰って「ターガリエンに従属することになった」と言い出すジョンに、いきなり出生の秘密を叩きつけて「だってあなたはターガリエンの人ですものね」「北部の民よりドラゴンの方が肌に合うのでしょうね」的な感じで煽ったりしない?(というかそもそもどうしてピーターがジョンの出生の秘密を知ってるのか教えてほしいんだけど)
もしそうなったら対ホワイトウォーカー戦はさらにぐだぐだになること必至であり、やっぱりリトルフィンガーに世界の行く末は見えていなかったという結論になる。
ただ、ピーターの目的は "everything" であるとしか語られていなくて、それはたとえば「王になる」とか「世界中の富を手に入れる」とかいう世俗的な望みとはまた違うものなのでは、という気もしている。
「愛も国家も幻想だ」と言い切った彼が、愛や国家を最終目標にするだろうか? という疑問もある。
じゃあそれ以外の望みとは何かというと、いわゆる「神殺し」くらいしか思いつかない。やっぱりホワイトウォーカーや夏冬システムの終結を目指す的な方向に考えがちなのだが、ほかに何かあるだろうか。
ブラン=視聴者
ところで7-4を見た友人が面白いことを言いだした。
ブランは物語に絡みはするが、現在の立ち位置は視聴者に近いというのである。現在ブランは、あのドラマをS1から見直している状態なのだと。プロローグを終えたS1がどうやって始まったかを思い出すと、ブランがメタ視点を備えた視聴者ポジションだというのも上手くできた話だと思える。S1から現在まで、視聴者はブランの目で物語を追ってきたのかも。
ただし、ブランはS1以前の歴史も自由に参照することができるし、未放送分まで見ることができる。ブランくん、しゃべってくれよ~。
ブラン「すぽいらーあらーと」
盤上の駒を動かすプレイヤーがリトルフィンガーだとすれば、さしずめブランは盤外でプレイログを読んでいる人、というところだろうか。
借金は回収できないがフラグは即回収するアイアンバンク
アイアンバンクのマイクロフトことティコ・ネストリス氏、ひそかに好きだったので最近出番が増えて嬉しい。彼を主人公にして、ウェスタロスを冒険して借金を回収するゲームがしたいと常々言っているのだが、まあ出ませんね。
あまりにお金を回収できない彼が不憫で、ひょっとしてこの人使えないキャラなのでは……という疑惑も沸きつつも、いやいや世情がこれだけ不安定なのだから仕方ないよと画面ごしに慰めたりしている。スタニスへの出資はもう回収できる見込みがないよね……。
で、ようやくハイガーデンの黄金という文字通りの金脈を手に入れて、借金を返す見込みのついたラニスター。サーセイもやるじゃない! タイウィンにもできなかったことをやってのけたんだな! と、少しだけ思った。
ティコさんが「黄金が王都に届いたらすぐに次の出資にかかります」とかいうフラグ満載のせりふを吐くまでは。あーこれはだめですわ、間違いなくフラグね。黄金は王都に着きません。
そう思ってから数分後には鮮やかなフラグ回収。
あとちょっとだったのに、余計なこと言うから……。
手のひらを返してデナーリスにつく可能性すら出てきたと思える。しかしデナーリスと銀行マンってものすごく相性が悪そうで、うまく交渉できる未来が見えない。
もうほんと、誰でもいいからアイアンバンクにお金返してあげて!!!
(170819訂正)
と思ったら、デナーリス軍が来る前にサムのパパが「金はすべて王都に着きました」と言ってる! はやっ!! それなら次の出資も見込める+傭兵を調達してホワイトウォーカーと戦う戦力増強につながる?