2周目の1章をクリアした!
初回プレイ時の、あのゾクゾクと歓喜に満ちた興奮がよみがえり、ニヤニヤが止まらない。裁判に入ってしまうとプレイの手も止まらない。
わたしの大好きだった作品が死んでなかった! という悦びを、希望と呼ばずして何と呼ぼうか。1章をクリアした夜、アドレナリンの奔流と脳内でガンガン流れる An die Freude の大合唱のせいで眠れなかったのをよく覚えている。
そういった興奮とは別腹で、2周目のわたしは冷静に「1章に仕掛けられたトリック」を眺めている。いろいろな意味で巧妙で、考えれば考えるほどよくできたシナリオに舌を巻くほかない。今日はそんな2周目で気づいたことのメモを残してみる。
もちろん6章までのネタバレあり。
1周目のときの感想はこちら。
赤松さんの「……」
たとえばモノクマに「今回のクロは初回特典で外に出られるよ。誰がやったの?」と聞かれたとき、赤松さんは何度か「……」と沈黙していた。この三点リーダは青色で表示される。つまり赤松さんは物理的にも沈黙した上で、さらにその内面もプレイヤーに対して(あるいは自分自身に対して)沈黙を保っていた。
あの「……」が青色であることも、叙述トリックの一種だった。なぜ白字の「……」ではいけなかったのか、1周目プレイ時のわたしはよく考えるべきだった。ゲームならではの表現である。
そして2周目プレイ時のわたしは、彼女が青字で沈黙するたびに、その心中をおしはかることしかできないことに悲しくなる。
最原くんはいつ気づいたか
これについては割と露骨に表現されていたため初回も「ん?」と思ったのだが、改めて「あー…」と頭を抱えることになったのでメモしておく。
「凶器はどこから持ってきたものか?」という話題のときだ。「あの倉庫から持ち出して……」という流れになったときの最原くんのはっとした顔、あのときに気づいたようだ。
(非)日常編において、入間さんにカメラの改造を頼む前に倉庫へ機材を取りにいく際、最原くんが奥へと探しにいき、赤松さん(とプレイヤー)は入口に残される。1周目では倉庫にあるあれこれを調べていると最原くんが戻ってきた。
しかし2周目では倉庫に入るなり「ここで赤松さんは砲丸に目をつけたのか……」と思い出し、真っ先に砲丸を調べた。すると即座に最原くんが戻ってきて、わたしは大変驚いた。あのシーン、砲丸を調べることが先へ進むフラグになっていたのか! というか、砲丸を調べないと先へ進めなかったのか! 赤松さんの目を砲丸に誘導したの、わたし(プレイヤー)じゃん……。なんという残酷な話。なんという知りたくなかった事実。
1章に霧切さんがいたら
最原終一と神殺しの物語「ニューダンガンロンパV3」キャラ語り03 - なぜ面白いのか
こちらの記事に、霧切さんがいればV3は1章で終わっていたかもしれないというコメントをいただいた(ありがとうございます!)。
探偵としての経験だけでいえば圧倒的に最原くんの上をいく霧切さんが1章にいれば、「意外な犯人」に動揺することもなく、あんな運頼みの犯行が本当に一発で成功したのか、ほかの可能性は本当にないのか、冷静に見極められたかもしれない。
とはいえ赤松さん自身にクロとしての自覚があったこと、裁判を司るモノクマが真のクロをごまかす気満々で、赤松さんがクロの流れになった時点で判決に移行するつもりであったことを考えると、霧切さんでもあの判決を変えるのは難しかったかもしれない。最原くんほど動揺していたわけではない王馬くん(推理力は最原くんと同等あるいは上をいく可能性もある)も赤松さん=クロの判決自体には異論を唱えなかったわけで。
しかしそれとは別の意味で、もし霧切さんが才囚学園にいたら、V3は1章で終わっていたかもしれない。
つまり霧切さんなら1章の時点で、というか事件が起こる前に、女子トイレの隠し通路に気づいていた可能性があるのだ。あの女子トイレ、赤松さん視点では入口に立つことしかできない。掃除用具入れのドアの前に立つことはできないのだ。そして最原くんは女子トイレには入らない。またかくれんぼが得意な王馬くんも、女子トイレには入った形跡がない。しかし霧切さんなら気づいたかもしれない。遅くとも事件後には、白銀さんのアリバイを確認するためにもトイレを調べたのではないだろうか。
とはいえ「探偵役」に女子を設定した場合、女子トイレに隠し通路の入口を作っておくなどということはしないだろう。「探偵役」が男死、いや男子だったからこそ、彼らが入ってくることのない女子トイレが入口になったのだ。やはり黒幕にとって、今回の「探偵役」は最原くん(と王馬くん)が想定されていたものと思われる。
そういえば白銀さんの「赤いブツブツ」の件についてだが、赤松さんを女子トイレに呼ぶことで「あの場所はもう調べた」気にさせるためという意図があったのでは? という考察を目にした。なるほど! 本当に、あの女子トイレまわりはよくできたシナリオである。
トイレを連呼していて気づいたのだが、トイレが重要なキーワードになるという点では3-1は2-1とも対応している。もしV3に弐大くんが参加していたら、1章(と6章)の裁判で何度「クソじゃあ!」という台詞を聞くことになっただろうか。
王馬小吉の言動
2周目プレイの目的の一つに「王馬くんはどの時点で首謀者のっとりを計画したか」を確かめるというものがある。
1章の王馬くんの言動は、ウザいのは確かだが、首謀者のふりをする気配はまったくない。わたしには、首謀者の意図を正確に測ろうとしているように見える。
その上で、裁判後に赤松さんに「首謀者を殺そうと思ってしまった時点で首謀者の思惑に乗ってしまっていたんだよ」と言葉をかけている。これから処刑されようという彼女に対してあんまりな台詞ではあるが、のちのちの王馬くんの言動を考えるとこれは彼の本心だろう。
また彼女に対して流した涙も、「つまらなくなかったよ」という言葉も、嘘ではなかったのかもしれないと今は思える。最原くんにあっさり「それも嘘なんだろ」と言われて「そうだよ」と言ってしまうあたり、嘘つきキャラが染みついてしまっているのか、あれはあれで何かの意図があったのか。そしてこの時点ですでに最原くんに全然信用されてないのが泣ける。
裁判における白銀さんの配置
白銀さんのすぐ後ろにモノクマがいたんだなあ。白銀さんの発言のたびにモノクマが視界に入るのは意図的な演出なのだろう。