ここ数日またあちこち観光し、楽しいことがたくさんあって全部振り返って書き残したいのだが、それを全部すっとばしてでも今書いておきたいことがあるので筆をとった。
新生タイタン編のネタバレあり。
タイタン討伐
思えばここまで結構な回り道をしてきた。
本当にこんなことしてていいのか? と思いながらエオルゼア三大珍味を集め、それがそろったと思ったら今度は最高のワインを取ってくるよう言われるククルカくん。
ワイン職人に「泥水でも飲んでろ」とあしらわれたときは思わずチャットでFワードが出そうになったものである(思いとどまった)。
しかしこの一連の話自体が海雄旅団の課した試練であったこともわかり、一応は納得してタイタン戦に挑むことになった。
タイタン戦では骨がバラバラになるのではないかと思うほどの攻撃を受けつつも、どうにか死ぬこともなく勝利できた。
先日オレンジのペンキをかぶったせいで、ただでさえ小さいククルカくんの視認性がさらに下がり、無駄に難易度を上げてしまったが。
ともかくここまではよかった。しかし。
砂の家の惨劇
砂の家に報告に来てみたらこれである。
え、何? 宴会で羽目をはずしすぎて大騒ぎした上に人間の姿になったノラクシアが下半身丸出しでうろうろしてたとかそういうノリ? そうであってくれ。
待って、これみんな二日酔いで寝てるとか?
緊張感ただよう音楽が「そうではない」と告げている。
いやもう、こんなことになる覚悟はできていなかった。
このシナリオライターは誰を消せば最もプレイヤーにダメージを与えられるか計算してやってますわ。
砂の家に来て以来、人間と仲よくしようと頑張っていたノラクシア。人間を驚かさないために幻想薬(たぶん)を使ってみたが、ズボンをはくという習慣がないせいで大変なことになっていたノラクシア。
ちょうど前回の日記でそのことに言及したばかりだった。ごめんよ、餅巾着野郎とか言って……。
しばらく茫然とその場に佇んだ後、おもむろにフリーカンパニーに事態を報告する。砂の家が襲撃されたこと。ノラクシアが殺されたこと。
そうしたらどんな言葉が返ってきたと思う?
「ククルカどのは無事にござるか?」
って。
いや本当、そう来るとは思わなかった。
しばらくキーボードに手を置いたまま固まってしまうくらい予想外だった。
そうか、ここはロールプレイ推奨FCだから、非常事態の報を受けた場合の反応はこうなるんだ。すごい、徹底してる、すごい。
これが「プレイヤーとしてのわたし」の反応。
それから数秒かけて「ククルカくん」の反応がわたしの中に入ってきた。たぶん「わたし」ではなく「ククルカくん」への言葉をもらったから。
ノラクシアともっとお話してみたかったとか、ノラクシアが砂の家の外にあの格好で出かけて通報されたりするのを見てみたかったとか、そんなドタバタがありつつも人間たちに溶け込んで仲良くなっていく様子が見たかったとか、シルフの長ちゃまに合わせる顔がないとか。
自分のことを心配してくれる人がいるんだとか、そもそも狙われたのは自分だったみたいなのに自分だけ無事だった罪悪感とか。
そうしたらなんだか自分でもびっくりするくらい泣けてきた。
そして地図で次の目的地は確認したものの、部屋から出ることができなくなってしまった。ククルカくんはここでさっさと惨劇の現場をあとにできるような人じゃない。
ククルカくんはノラクシアのそばにじっと座りこみ、プレイヤーのわたし本体は泣きながら台所にこもってシンクを磨いた。怠惰なわたしがむやみに台所掃除をするとかよっぽどのことだぞ。
そんなわけで、ゲームとしての演出+この世界に生きる人からの生の言葉によって、わたしとククルカくんがかつてないレベルでシンクロするという、稀有な体験をした。
これまでにもゲームに感情移入して涙するという経験はたくさんしてきたし、ここ数年はそういうことがあるたびにこのブログに書き記してきた。ただわたしはどちらかというと主人公の設定がきっちりあって、その人物が過去から現在にいたるまで積み上げてきた物語に感情移入するタイプだ。主人公=自分タイプのゲームだとなかなかそこまでのめりこめなかった。
そのわたしがこんなふうにキャラクターにシンクロしてしまうなんて。
これ、もしわたしがひとりでプレイしていたらあのまま砂の家をすっと出ていったかもしれないんだよな。やっぱりあそこで自分を心配してくれる言葉をもらったからあんなにも心を揺さぶられたのだと思う。
シナリオライターもそこまでは計算していまい。いや、こういう状況を可能にする世界を構築することこそが彼らの計算なのか……。
ここにきてMMOの真髄を見たかもしれない。同時にロールプレイの面白さの片鱗を知ったかもしれない。
たぶんククルカくんの冒険はまだ序盤も序盤で、これから先にさらに長い物語が待っているのだろう。もしかしたらまた泣きながら台所にこもる日もあるかもしれない。でもその物語をこの世界に生きる人たちと共有しながらたどっていくことができるとしたら、それはきっとほかでは得難い経験になる。
うまく言語化できているかわからない。でもこの感情の揺れが収まってしまう前になんとか書き残しておきたかった。
そして改めて、この世界での素敵な出会いに感謝である。本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
もしもいずれこのFCで後続プレイヤーさんとお話するようになったら、わたしもこんなふうにこの世界の一員として声をかけられるようになりたい……けどできるかなあ! 練習だな!