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Life Is Strange: Before the Storm エピソード3を振り返って寝込む

マジで寝込む5秒前

「Life Is Strange: Before the Storm」の感想記事も今回が最後。

「オクトパストラベラー0」の発売までにサクっとクリアできそうなゲームということで始めたわけだが、サクっと寝込むことになるとはね。しかし発売日までに感想を書き終えて、自分のセラピーにも決着をつけたい。

プレイ前は Before the Storm ってどれくらい before なんだろうと思っていたわけだが、意外とだいぶ before から始まったし意外とだいぶ before なところで終わった。せめてもの慈悲なのか、それともこれが最もプレイヤーにダメージを与えられる形だという計算だったのか。

というわけで、以下「Life Is Strange」「Before the Storm」両方のネタバレ感想。今日はエピソード3を中心に。

初回記事はこちらから。

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ゲームジャンルを誤解させそうなスクショ

 

エピソード3 空っぽの地獄 Hell Is Empty

今回のエピソードタイトルも『テンペスト』の台詞から。クロエの台詞の中にあったからよく覚えていた(エピソード2でエアリアル役の台詞を覚える必要がありそうだったので、ちゃんとひととおり音読して覚えた)。

例によってまずはリザルト画面から。

どこからいこうか。

とりあえず、植物はいずれにしても枯れる運命だということが今わかった。あの家には今後「潤い」というものが枯れたままだということの暗示だろうか。まあ先にLISをクリアしているので、それはわかりきったことなんだけど。

TRPGはここでもがっつりプレイ。めっちゃいろんなアナロジーがぶっこまれてんなーと思いつつ。

でもいきなりLISのエンディングに近い二択が出てきて無事撃沈した。つらい。こんなところに特大爆弾を置いておくんじゃない。

消防隊の基金には気づいたが、クロエはほんの数セントしか持っていない上に借金まであるのを知っていたので、ここでその数セントを手放すのはまずいだろうということで寄付せず。

このリザルトの書き方だと、たれこみをしたのはサンダーだったってこと? 誰を告発しても話が進んだってことか。シェルドンが無罪だったなら申し訳ないことをした(たぶん死んでるよね)。

 

セラ

前回記事でもセラについてはだいぶ語ったが、エピソード3の内容に限って改めて書いてみる。

まず、この見せ方はすごくよかった。過去の話を聞くのって、長々と話を聞かされるだけか、もしくは回想ムービーシーンに入ってプレイヤーは台詞を送るだけになりがちだけど、このシーンでは自分から能動的に話を進める必要があった。

検事のジェームズは、依存症の人間がどうなっていくかをよく知っていたに違いない。セラ以外のもっと悲惨なケースもたくさん見てきたに違いない。だから、レイチェルを守るためには「セラから遠ざける」一択だという彼の理屈はよくわかる。

これを聞くと、ますますかかわってはいけないレベルの人である。ていうか検事の家に犯罪者や売人を連れ込んでたって、ジェームズ自身もよく職を追われなかったよな。

でも、クロエには依存症の危険性がうまくイメージできない。依存症の危険性よりも、親が子に対して嘘をついていたことへの嫌悪感の方を強く感じている。15歳くらいならそんなふうに潔癖になるのもわかる。クロエがこれまでどれだけ守られて大切に育てられてきたかの証左にもなっている。

まあ、しかしレイチェルにとっては最悪のタイミングで最悪の友人が隣にいたもんだよな……。クロエはクロエでレイチェルの幸せを心から願っているからこその悲劇だ。

 

星座

ここは「うわあ」って声が出ちゃった。

レイチェル=星じゃん。今見えてるレイチェルは、もう死んでるんだよ!!! 彼女が死んだ後に、生前の姿が遅れてやってきた状態なんだよ!!!!

クロエもまた、父親という「死んだ星」を見続けていた。

その話を聞いて、レイチェルが謝ってくれたのはよかったな。「星が死んでたっていい。ちゃんと見えてる限り、私たちにとっては本物……でしょ?」と。

プレイヤーにとっても同じことだ。プレイヤーにとってはクロエもレイチェルも「死んだ星」だが、今見えている彼女たちはプレイヤーにとって「本物」なのだから。

 

デイビッド

エピソード3のデイビッドは本当にひどかったな。クロエの部屋が荒らされたのを見た後、洗面所にデイビッドのひげそりやらタオルやらがあるのを見つけたときの嫌悪感はすさまじかった。

謝り方も最悪である。しかもこの台詞の前にジョイスに責任を押しつけている。何が「これからはお前を無条件で信用することにした」だよ。言動に一貫性がなさすぎる。

クロエがこう考えるのもしゃーない。

この提案も最悪である。お前自分が何言ってるかわかってんのか。それとこれとは全然問題が違うだろうが。

デイビッドはその亡くなったお仲間と無関係な他人がいきなりやってきて「これからは自分を全面的に信頼し、友人として扱え。あと一緒に住む」とか言われたら受け入れられるんか??? 戦場で欠員補充としてやってきた新メンバーと一緒に働くのとは全然違うぞ?

デイビッドもクロエも理解者が必要なのは共通しているが、理解者って相手から押しつけられて無理やり受け入れさせられるもんじゃないだろ。まず信頼関係を構築するところから始めて、それから徐々に受け入れられるようになっていくもんだろ。信頼関係を構築する初手から勝手に部屋を荒らすやつがどこにいるんだよ。

クロエが断ったときの反応も最悪だ。結局、デイビッドは他者を支配したい欲求から動いているのがよくわかる。その欲求を正当化するために「子どもを守りたい」と理屈をつけているのが胸糞だ。成人男性に対しては威張り散らせないから、子どもや女性に威圧的になるのもありがち。

本当にエピソードごとに評価を落としていくやつだよ、お前は。

このくだりについてのクロエの日記はこんな感じ。

「あたしらにはそもそも『永遠』なんてない」という彼女の言葉が重い。この言葉自体はまったくそのとおりなのだけど、それを15歳の子どもが言うんだ、っていう。そして実際に、ここから数年後に彼女は亡くなってしまう。青い髪のままで。

 

ノース家の問題

このゲームに登場する主要キャラクターは、クロエもレイチェルもネイサンも「父親」の問題を抱えているが、マイキーとドリューも同じである。彼らの父親は無職で、ほぼホームレス状態なのかな。プレスコット家のせいで職を失ったとか。

ドリューは父親を助けるために、薬物の売人になったわけだ。クロエは彼に詳細は語らなかったが、「2人はお父さんを助けようとしてたんじゃないすかね」と話している。それに対してこの父親は「つらいときは支え合う 家族だからな」とコメントした。「支える」の方法が間違いすぎな点にはいったん目を瞑ろう。

この言葉もクロエにはきついだろうな……。クロエがつらいとき、ジョイスは支えてくれなかった(少なくともクロエ視点から見れば)。そして支えるどころかダメージを与えてくる男が「家族」になろうとしている。

クロエ自身も本来は、つらいときは家族を支えようとする子どもだったはず。そしてLISエピソード4でクロエが事故にあった世界線のプライス家を見れば、本来のあの家族はつらいときに支え合える関係だったことがわかる。

 

エリオット

エリオットもデイビッドと同様に「君のため」と言いながらエゴを押しつける。でもエリオットはちゃんと警察のお世話になるんだよな。

退学にまでなったのは若干気の毒ではあったけど。でも彼のしたこともだいぶ一線を越えていたし、妥当かな。もしかしたらエリオットも、ネイサンのように治療が必要な子だったのかもしれない。

あの後クロエが警察に対してどういう証言をしたのかが気になる。クロエも不法侵入してたわけだけど、「エリオットに脅されてアンバー家に入った」とか言ったんだろうか。

ちなみにエリオットのレイチェル評は、かなり的を射たものだ。プレイヤーはクロエの主観を通して物語を追っているから、レイチェルのことをクロエがつらいときにそばにいて支えてくれた友達であり、逆にレイチェルがつらいときにはそばにいたいと思わせる友達でもあると感じられる。

しかし客観的に見れば、クロエはレイチェルと付き合い始めてから学校をサボり、停学になり、薬物の売人とたびたび接触し(接触自体は以前からだが)、傷害沙汰に巻き込まれ、今度は不法侵入だ。付き合い方を考えた方がいい友達ではある。

「レイチェルは舞台から下りても女優であり、彼女にとってクロエは大事でもなんでもない」という主張も、1/4くらいは合っていそうな気がする。レイチェルはクロエのことを大事に思っている部分もあるが、それは本心の3/4程度というか。誰のことも本心から信じようとはしていないというか。

結局、プレイヤーにはレイチェルの本心はわからない。もしかしたら本当に、レイチェルはクロエを手玉にとって遊んでいただけだったのかもしれない。常に衝動的に行動する彼女にとって、「今」隣にいる人だけが大事で、その相手は誰でもよかったのかもしれない。本当のところはもうわからない。

 

 

ジェームズのしたこと

アンバー家に不法侵入するクロエには驚かされたが、ジェームズのしていたことにも驚かされた。一線を越えるどころの話ではない。誘拐・監禁・脅迫に加えて証拠隠滅や共謀もしてたってこと? あと殺人教唆? 

エンディングでジェームズが家にいる様子が映っていたが、彼は普通に逮捕されるべきじゃないのか。エンディング後にちゃんと捜査されてくれ。あの感じだと証拠が出なくて無理かなー。クロエもセラも証言しそうにないし。

 

 

デイモン vs フランク

クロエがデイモンに殴られて意識を失った後に何があったのかよくわからなかったが、結局デイモンはフランクに殺されたってことでいいのか。死体も片づけられちゃったってことかな。

エンディングを見直すと、フランクが座っている背景の土が一部盛られているように見える。あそこに埋めたってことか?? フランクはデイモンと一緒に写った写真(デイモンの顔の上に血痕=死の示唆あり)を眺め、ビールを土に注いでいる。あれは死者への手向けの描写だよなあ。

フランク……過去には不退去罪しかなかったのに……。セラとクロエを守るためとはいえ、旧友を殺っちゃうなんて。警察も動かなかったんだろうなあ。

 

 

エンディングの選択

わたしはレイチェルに真実を伝えなかった。クロエなら真実を伝えようとするかなとも思ったから、これは「わたし」の選択だ。

わたしはこの後レイチェルがどんな未来に至るか知っている。だからせめてそのときまでは、レイチェルが家族と幸せに過ごしてほしいと思った(しかしジェームズはジェームズで逮捕されるべきだ)。

だがエンディングでレイチェルがどれだけ幸せに見えても、この後彼女は麻薬の売人と付き合い、ドラッグを常用するようになり、ボルテックスクラブに行って死んでしまう。母親よりも悲惨な未来をたどってしまうことになるのはもう確定だ。

だからエンディングで笑顔のレイチェルを見ても空しかった。わたしにも寝込む未来しか用意されていない。

ただ、たぶんレイチェルはクロエが真実を伝えていないことを察していたのではないかと思う。あれだけ察しがよくて嘘をつかれることに慣れているレイチェルだから。「だから」、彼女はフランクと付き合っていることをクロエに言わなかった。レイチェルは、「クロエが真実を言わないなら私も真実を伝えない」という関係の対象性を選ぶことになるんじゃないかな。

フランクに近づくのも、セラの情報を得るためにレイチェル自身が動いたのがきっかけだったのでは。もうクロエは信用できなかっただろうから。

レイチェルに真実を伝える方のエンディングも見てみたが、こちらは家族が完全に壊れてしまった様子である。この場合、より自然な流れでフランクと付き合うことになりそうだし、より自然な流れでドラッグにはまりそうだ。

しかしこの場合は、レイチェルがクロエにフランクと付き合っているのを伝えなかった理由がいまいちしっくりこない。「彼女はもともとそういう人だった」のだと納得してもいいのだけど、わたしとしてはクロエが真実を伝えない歴史の方が、LISのタイムラインに自然につながる気がしている。

セラの心変わりは不思議だった。レイチェルに会うためにアルカディア・ベイに戻ってきて、『テンペスト』の観劇までして、ジェームズの危険性も知っただろうに、結局会わないことにしたのか。しかもクロエの選択次第で、会うことにもなるらしい。

どうしてこの一件で心変わりしたんだろう。単に身の危険を感じたからというわけでもなさそうで、レイチェルのために自分が身を引こうという主張だ。自分がレイチェルに近づいたら、遅かれ早かれまたデイモンみたいな連中が自分のまわりに現れてレイチェルを危険に晒すことになるとわかったってことかな。

今回はジェームズがデイモンを送り込んだわけだけど、この先も完全にこういう連中と縁を切って生きていけるとは思えなくなったとかか。

なんかこう、アルカディア・ベイでは誰も幸せになれないのがつらい。警官も検事も汚職まみれだし、学校は根元から腐ってるし、真面目に働こうとしても給料は安いし、急に解雇されるし、危険人物が多すぎるし。やはり町そのものが「汚物は消毒だー!!!」したくなって竜巻を起こすのもわかる。

噂によると、Life Is Strange 2でも1作目の登場人物たちがちょっとだけ登場したり、言及されたりするらしい。彼らのその後はとても気になる。でも1作目よりさらに重い話だとも聞いた。そんなものをプレイして、わたしの精神は耐えられるだろうか。やるとしてもちょっとインターバルが必要だ。

そういうわけで、やはりあまりセラピーにはならない結果となったが、これにて Before the Storm の感想はおしまい。ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!

わたしは次なる地獄を求めて旅立とう……。

 

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