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孤独でないご当地グルメ「P5S」プレイ日記2

昨日、「劇映画 孤独のグルメ」を見て、なんて腹の減る映画だと思いながらラーメンを食べて帰宅した。

その後P5Sの続きをやり、なんて腹の減るゲームだと思いながら、しかし深夜にずんだ餅や牛タンが食べられる店は近所に存在せず、泣き寝入りするしかなかった。

ずんだ餅と牛タンが食べられる店を検索し、近々行ってやるぞと思っているが、次は札幌が待ち構えている。この先もこの調子で全国のご当地グルメを食べつくすゲームだとしたら、わたしはどうすればいいんだ。毎晩泣き寝入りか? それとも次の目的地が決まった時点でご当地グルメを用意してから攻略するべきなのか? いったい何を攻略しているんだ?

だいぶヤバいゲームを買ってしまったことがわかり慄いているわけだが、ゲームとしてはとても楽しんでいる。単なる「その後」の物語ではなく、彼らがP5を通してどんな成長を遂げたのかを丁寧に描いてくれているのがとても良い。

難易度的にも、今のところ詰まるほど難しいところはなく、楽しめる範囲である。なんといっても、時間経過なくジェイルを出入りできるのがありがたい。

今日は2つ目のジェイルをクリアしたところまでのネタバレ感想。

初回記事はこちらから。

 

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どうかな……

 

 

夏芽安吾:わかりやすい虚飾

いいシーンだったな

どうやら今作のジェイルの王は、P5におけるパレスの主と対になるように設定されているようだ。

P5における最初のパレスは、忘れもしない色欲の鴨志田。鞘くんと竜司は退学の危機に追い込まれ、杏は露骨にセクハラ被害にあい、友達を失いかけた。対するP5Sにおける最初のジェイルは、色欲の柊アリス。鞘くんと竜司が最初にジェイルに迷い込み、杏とは互いに憧れる存在であった。

で、P5における二番目のパレスは、虚飾の班目。祐介を育てながら、その作品を盗み、若い芽を潰そうとしていたやつ。対するP5Sにおける二番目のジェイルは、夏芽安吾。コピペ小説野郎。祐介は彼に対して同じ「藝術を志す者」として対峙し、そして寄り添おうとする。

P5での三番目のパレスは、暴食の金城だった。マコちゃんが無茶して仲間に加入した回。となると、次はそれに対応するジェイルの王が出てくるってことかな。札幌で暴食か……やばそうだな……(暴食のsayu)。

 

夏芽に関しては、そこまでコピペで適当な小説を書いておいて、藝術についての「生みの苦しみ」もクソもねーだろと思わなくもない。才能がないとかいう以前の話。

わたしは『プリンスオブナイトメア』を読んでいないから何とも言えないが、チラ見しただけの双葉が元ネタにすぐ気づくレベルなら、出版と同時に出版社ごと大炎上してんだろ。夏芽はただのコピペ野郎で、事件自体は出版社の自爆である。仙台以外ではすでに大炎上していたのかもしれない。

P5Rにおける祐介くんのコープイベントを見ていたから、彼の言うことはよくわかる。その孤独に鞘くんが寄り添ってくれたことが祐介くんにとってどれだけ救いになっていたかもよくわかる。だからこそ祐介くんも夏芽に寄り添おうとしたのだとわかる。祐介くんの成長物語の帰結としては、よくできていたと思う。

夏芽が班目のように多くの被害者を出す前に止められたのは、祐介くんにとっても救いになったのではないか。金銭的被害はかなり大きそうだが、死者はまだ出ていないだろうし。筆を折ってしまったというホンムシちゃんが、復帰できるといいのだが。でも復帰したところで、夏芽の作品の断片を見る限り、元ネタ作家も大したことなさそうだとか言ったらアカンやつかな。

 

夏芽のジェイルについては、いろいろな古典ゲームのお約束のパロディで楽しませてもらった。

ここ好き。お前が言うんかい!

三つ目の核になっていた万年筆だけ、話の中でほぼ説明がなかったのがちょっと気になった。まだ何かあるのか、それともただの数合わせだったのか。

 

 

渋谷との瞬間移動

柊アリスの渋谷ジェイルにまた来ることになるという示唆(初回訪問時に開かない宝箱などで)を見て、札幌から渋谷までどうやってテレポするんだ? と思っていた(ファストトラベルのことをすべてテレポと言ってしまうFFプレイヤー)。

なるほど、物理的に渋谷にテレポするわけではなく、ジェイルならEMMAさえあればどこからでもアクセスできるってことね?

でも夏芽に「改心」されて熱狂的なファンになった人は仙台にのみ集中していたという話だったから、ジェイルの効果は実際のその土地と紐づいているはず。

王がいなくなったあとのジェイルは、土地とは完全に切り離された認知的存在になるってことなのかな。まだジェイルが認知的なものだと決まったわけじゃないけど。パレスとはだいぶ性質が違うもののようだから、認知とは違うものでできている可能性もある。

リクエストは適度に面倒で、適度にレベリングや装備更新もできて、今のところいい感じ。クリアしたジェイルに再訪できるのはいいな。しかも時間が進まないし。中継ポイントもまあまああるから、目的地へのショートカットもしやすいし。

今作にはメメントスがない(たぶん)から、無限レベリング会場としてジェイルへの再訪が用意されてるんだな。

 

 

長谷川善吉はここからどっちに振れるのか

ここまでわたしが見たP3, P4, P5の中で、初めて異世界に連れてこられた「大人」ではないかと思われる長谷川さん(敵側は除く)。

上司の鏑木さんからは「奴らを逮捕するときはいずれやってくる」と言われていたが、そうなっちゃうのかなあ。「俺は事件を解決できればそれでいい」とも言っていたが、「真相はともかく事件を解決したことにできればそれでいい」タイプではない印象だったのだけど。

単なる悪い大人なら、こういうシーンは入れてこないと思うんだよな。

この「二枚目半」な感じを見ていると、ナッシュ・ラトキエをひしひしと思いだしてしまってダメなんだ、わたしは。マジで薄目で見るしかない。

 

 

双葉ちゃんとおイナリがかわいい

↑にも貼った、キャンピングカーで出発する前に八百屋を見ているシーンといい、カレーのシーンといい、仙台出発前の写真撮影といい、なんか双葉ちゃんが祐介くんに懐いてる感じがとてもかわいい。

怪盗フタバ

P5R後だと、もとの場所にとどまっているのは祐介と双葉だけだし、きっとときどきルブランで会って思い出話をしたりしてるんだろうな、とか想像した。

今のところふたりの関係は微笑ましい感じなのだが、これ以上仲良くなると、P5で双葉ちゃんとお付き合いしていたジョーカーは気が気じゃないのではという懸念もある。鞘くんはマコちゃんとお付き合いしていたから、もし双葉とおイナリがお付き合いすることになっても問題ないのだが。公式描写の加減って難しいな。

たぶん祐介の独特の世界観が、同じく独特の世界観に生きている双葉には心地いいんだろうな。ほどよく隙を見せてくれて、ほどよくつっこませてくれて、なおかつ確固とした世界観を持つ祐介くんは、きっとわたしにとってもP5キャラでいちばん付き合いやすいタイプだ。

まあ最終的に、祐介くんと夫婦になったのは鞘くんであるというオチなのだが。

 

 

一ノ瀬久音:新協力者

牛タン食べたい、今すぐ

牛タン屋で声をかけてきたこちらの方。東鳳大学でAI研究をされているらしい。

EMMAのベースを作ったのはこの人で、マディス社はそれを改変して運営しているらしい。彼女はそのへんのことを割とサバサバ語るのだが、EMMAに未練はないのだろうか。自分が開発したのにマディス社が利益をかっさらいやがって、みたいな気持ちもないのだろうか。

なんかちょっとさっぱりしすぎていて不気味である。

ジェイルの話を聞いて「行ってみたい!」と言いださないのも不思議だ。研究者なら絶対に、中に入って自分の目で観察して論文を書きたいと思うだろうに。

そのへんの描写について「実際はそういう世界があるのをもう知っていたから」みたいな理由があるのか、単に自分の研究テーマへの執着が薄い研究者というキャラなのか、まだ判断がつかない。

それにしても、相変わらず怪盗団は危機管理がなっていない。周囲に人がいるところで迂闊な話をしすぎである。高校生ならもう、人前でしていい話かどうかくらいの判断はできる発達段階だと思うのだが。

 

マディス社の近衛明は、わかりやすく敵対しそうな雰囲気。

P5でいう奥村ポジにあたるのか、それとも獅童ポジの人なのか、まだわからない。

P5のヤルダバオト戦後のプレイ日記に、わたしはこう書いている。

P5無印が出てから現在までの間に、人間はさらに「選ばなくてよい」環境を整えつつある。見るもの、触れるものはより「あなた好み」になった。SNSにも動画サイトにも通販サイトにも「あなたへのおすすめ」が溢れる。もちろん検索結果にも「あなたの好み」は反映されている。

今後、AI技術が進歩すればさらに「選ばなくてよい」「考えなくてよい」社会が訪れるだろう。人類は間違いなくそっちの方向へ進んでいる。選ぶことも考えることもしたくない人が多いというのが、資本主義の結論だ。「選びたくない」「考えたくない」、あるいは「選べない」「考えられない」人向けのビジネスがどんどん誕生し、成功しているのを見てつくづくそう思う。

技術がどんどん進歩した結果、人から選択肢が奪われるなんて、皮肉のきいたSF作品みたいだ。でも現実が既にそうなっている。

長いクリスマスイブが終わり年が明けた「ペルソナ5 ザ・ロイヤル」プレイ日記8 - なぜ面白いのか

 

P5S冒頭でEMMAが出てきたときにここで書いたことを思い出したのだが、近衛が「選択」「最適解」というキーワードを出してきたので、もしかして本当にそっちの方向に話が進むのかという気がしている。

 

 

本日の腹減ったコーナー

たたみかけてくるじゃん……

 

 

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