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サブクエストと支援者イベントを見てまわる回「メタファー:リファンタジオ」プレイ日記11

お前…ここにいていいやつなんか?

現在10月半ば、お話も大詰めである。

期限つきミッションを前にして大量に発生したサブクエストをひととおりこなした。

これから本作戦に突入するところだが、その前に一度感想を残しておくことにしよう。話が進んだら絶対書きたいことが長くなって、サブクエストの感想どころではなくなりそうなので。

そんなわけで以下、サブクエストとか支援者イベントとかのネタバレ感想!

 

 

 

 

王となる者だけあってペルソナ主人公とは素質の表現水準が違う

 

竜の試練:コピペタワーの真実

年末に書いた記事で「五色の竜の一柱」と戦った際、「あと四色いるんですかね」と書いたのだが、早々にドラゴンと戦うことになった。各地でわいた「竜の試練」である。

これまでのサブクエストで、三つの塔を攻略してきた。これらの塔はマップが共通なものだから、わたしは内心「コピペタワー」と呼んでいたし、微妙な手抜きだなあと思っていた。が、コピペタワーにはコピペである必然性があったんだな! 同じ時代に同じ意図で建てられた、特定の機能を持った塔だから、同じフォーマットで建築する必要があったんだな! 納得。

以前のサブクエストで訪れた際、ボスが上から二番目の階にいて、最上階には何もないのもたしかに気になってたんだった。最上階にもいいアイテムが落ちていたりするから探索はしていたのだけど。そうか、あのアイテムはかつて試練に挑戦して敗れた人たちの遺したものだったんだな。

この試練、ルイと戦う本作戦よりも難易度◆が高い。めちゃくちゃキツかった。バジリオくんのジンテーゼがなかったら倒せた気がしない。もはやバジリオくんにバフをもりもりにしてジンテーゼでぶん殴る、バジリオゲーになっている。プリンスとは何だったのか。

この試練をクリアした今、ルイとかいう所詮人間にすぎぬ存在など、片手でひねり潰せそうな気がしている。

この話でいちばん気になったのは、一連の「竜の試練」こそが、史上初の「王の魔法」だったという点。

その「王の魔法」に、例の王笏が使われたらしい。

やはり「王の魔法」とはそれ自体が代々伝わっているわけではなく、歴代王各自のオリジナルのようだ。だからユトロダイウス5世の使った選挙魔法は、彼のオリジナルということは確定でいいのかな。

前回記事で少し触れた、旅人とそのおともの妖精の話は、初代ユークロニア王(ユトロダイウス1世?)とアグリカのことだったんだな。アグリカとガリカって名前が似ているというか、たぶんGとAが入れ替わっただけの名前だと思うのだけど、どういう関係なんだろう。妖精ってみんな名前が似てるものだったりする?

で、この初代ユークロニア王の時代って、旧世界の滅亡からどれくらいたった頃だったんだろう。種族が分かれた後だったのかな? それとも「滅びの戦」の「勝者」が初代ユークロニア王ってことかな? 

 

最後の試練の「ドラゴン」がアンジェロくんの姿をとったのは面白かった。

「人の熱狂こそが世界の脅威」はまさに現代社会、そして「民主主義」の抱える問題を端的に指摘する言葉だ。「英雄」とは、所詮は勝った側のリーダーを指しているにすぎない。負けた側の「英雄」は、「誤った熱狂を生んだ大罪人」とされる。それが我々の知る「歴史」である。

この「ドラゴン」を生んだ人は、自身も「英雄」と呼ばれながらそのことに自覚的だったようだ。というかここに封印されていた「ドラゴン」は、「かつて三大国の初代王となった英雄たちが従えていた、強大なドラゴン」だという話なので、初代王=滅亡戦争を起こした人ってこと? 少なくとも戦争にドラゴンを投入して世界を滅ぼした側の人ってこと? それを本当に「英雄」と呼んでいいのか?

……という諸々の疑問や矛盾をアンジェロくんに自覚させるための試練だったのかな。アンジェロくんを支持する熱狂が「ドラゴン」を生み、世界を滅ぼすことがないように?

いまいち釈然としないのだが、とにかくいい装備をもらえたのは間違いない。これを着てルイを片手でひねり潰してくれよう

釈然としないといえば、この「竜の試練」の竜ってあまり「五色」っぽくなかったんだよな。もっと緑の竜! とか黄色の竜! とかわかりやすいのを想像していたのだけど。

「文明を喰らいし者」「星の毒を喰らいし者」「灼熱を喰らいし者」「全ての人の魂を喰らう者」ってあんまり「氷谷のソグネ」の系列(系列??)っぽくないような。試練の竜とは別にあと四色出てくるとか、ある?? いや、さすがにないか……。「氷谷のソグネ」は現代人がつけた呼び名かもしれないし。

 

 

アロンゾてめえこの野郎

すでに支援者は全員ランクマックスになっており、どうやって時間を潰すかという状態なのだが、いちばん強烈な印象を残したのはアロンゾだった。

一大決心をして「世界を騙す」と言いだしたアロンゾについていったらこの展開。ちょっと!? ちょっとちょっと? と思っている間に、アロンゾくんは地主に処刑されてしまった。アンジェロくんは彼から世界を託され、民衆はこぞってアンジェロくんの支持にまわった。

ちょっと!! ストレートな死亡宣告!!!

マジで!? でも死体が出てこないうちは信じないけど!?

と思っていたら、最後の支援イベントは本人不在のまま遺書を渡されて進行した。

そんなパターンの話もあるのか……(ペルソナシリーズにもコミュ相手が亡くなるパターンもあったし……)とガチへこみだったわけだよこっちは。でも「詐欺師」の結末としてはこういうのもありなのかな、となんとか納得しようとしていた。

そうしたらこれ。

てめえこの野郎ぶっころしてやろうか!!!!!!!!

嘘です生きててよかった(大泣)!!!

この顔である

アンジェロくんのリアクションが面白かったから許してやるか。

はー……そうだよね、地主とグルだったんだもんね。そうなるよね。そうだったらいいと思っていたけど、支援ランク8の時点で出てこなかったから本当に死んだのかと思った。あとゲームテキストとはいえ地の文に完全な嘘があるのはアンフェアじゃないのか??? あの死亡宣告はシステムメッセージではなくアンジェロくんの主観だったとでもいうのか?

でも今スクショを眺めていると、処刑シーンのアロンゾは一貫して「ククルス」と呼ばれている。彼がククルスの名を使うのは、人を騙すときだけという話だった。なるほどね、そういうことかよ。

まあでもそれでこそ「詐欺師」だよな。とても好きな話だった。

フェイカーもトリックスターも重要なスキルを覚えるし、活用させてもらってるよ!

あとこの指摘もすごく重要で、はっとさせられた。

アンジェロくんも、決して清廉潔白で嘘がない人ではない。マルティラの人たちにすべてを伝えたわけではないし、勇者品評会でも本当のことをすべて語ったわけでもないし、王子を名乗ったときは嘘だったし(結果的に「嘘ではない」ことになったが)、ルイ相手には最初から嘘ばかり言ってたし。

ここまで名をあげるために、民衆に受け入れられるために、理想を現実のものにするために、嘘を織り交ぜてきた。そうだよな、そういうものかもな、と思わされてしまった。

 

 

バジリオとビンカ

アロンゾの死は回避できたが、ビンカの死は回避できなかったか……。

わたしは惺教の行った非道な魔道器実験というのは、聖杯を使って人の精神に影響を与えるものだとばかり思っていたのだが、ビンカの様子を見ているとどうも違うらしい。

強化人間でも作ろうとしていたんだろうか? それとも恐化ニンゲンでも作ろうとしていた? 恐化ニンゲンを作っていたのはルイのはずだが、惺教は何をしようとしてたんだろう。

 

 

キャゼリナの就職支援事業

これまでキャゼリナが恵まれないパリパスたちに金を渡すのを見ながら、だいぶもやもやしていた。それは持続可能な支援活動とは言えないぞ、と。キャゼリナが文字通り身を削って稼いだ賞金でパリパスたちを養っていたのは立派だったかもしれないけど、それは結局彼らの自立の助けにはならなかった。

彼女はそのことに気づき、彼らの自立こそが本当の支援活動なのだと考えを改めた。

自立した生活を営むためには職を得なければならず、職を得るためには社会で求められるだけの教養が必要だ。まずは読み書き算盤ができれば、この世界で就職するのには大きなアドバンテージになる。だからまずは「学校」を作り、そこで教育と就業支援を行うことにするようだ。

なんてまっとうな結論なんだ山賊、ゾンビ、ニンゲン、ドラゴンなどから巻き上げたお金を全部この事業に寄付してもいい

当然こういう意見も出るのだけど、キャゼリナは「今まで自分が言ってきたのは間違ったことだった」と、はっきり謝った。えらすぎる。誰にでも言えることじゃない。

「手っ取りばやく、金くれりゃいいじゃんか!」では持続可能な支援にならないのは明白なのだが、明白だと理解できるのはわたしがある程度の水準の教育を受けてきたからだ。

社会全体の教育水準を上げることが、社会を安定させ、治安を改善し、経済的悪循環から抜け出せる人を増やし、ひいては税収を増やし、より豊かな社会を作ることにつながっていく。そういう社会の仕組みに目を向けられなければ、「金くれりゃいいじゃんか」以外の意見は出せない。自分のことだけでなく、社会全体の豊かさを考えられるようになるためにも、教育は必要なのだ。

それぞれ将来やりたいことを口にし始めるパリパスの未来に希望を感じつつ、しかし一方で現実の社会の現状を考えて暗澹たる気持ちになってくる。そうなんだよな、「読み書き算盤」ができれば職に困らないような世界だったら、みんな希望を持って学びたがるかもしれない。

でも現代社会では「読み書き算盤」なんてできて当たり前で、それに加えて複数の外国語や科学、歴史や地理の知識、微分積分複素数などまで要求される。しかもそれらを普通にこなしたとしても職に困ることもある。

本来「学ぶ」「知識や教養を身につける」というのは自分で生き方を選ぶために、誰からも不当に支配されず自由に生きるために、自分を自分の君主たらしめるためにこそすることのはずなのに、現状では「自由を得るために巨大な不自由を押し付けられる」みたいなことになっていて、学ぶことに希望を見出せないまま学校という名の「監獄」に通う子が少なからずいるのも当然だよなあと思ったりする。

それはつまり世界の教育水準がどんどん上がり、人の暮らしがどんどん豊かになったからこそなのだけどね。

微分積分ができれば、世界の新しい見方を身につけられる。歴史を知れば現代社会がなぜ「現状の現代社会」なのかが理解できる。それはとても豊かで自由な生き方、自由な思考の翼を広げるために大切なことなのだけど、それを知らなくても「自分で生き方を選べる」程度には豊かな暮らしができるような世の中であってほしい、とも思うのだ。

難しいね。

キャゼリナのイベントがいちばん、現代社会の諸問題と毎回向き合わせてくれるものだったな。

しかしこんなキャラクターデザインでこんなカラーリングのキャラがプレイアブルではないまま終わるとは思わなんだ。最初は絶対加入するだろうと思ってたのに!

 

 

モアと王の魔法

!?

「王の魔法」に書かれていたのはプレイヤー名一覧だった……!?

どういうことだ。Sayu はいったい何者なんだ。旧世界から「幻想」の「未来」を思い描き、あるいは幻視して、そこに理想郷があることを願った「わたしたち」とか?

あと「幻想小説」を書いたのはモアくんではなく旧世界の人かと思っていたのだが、どうもやはり書いたのはモアくんらしい。

もはやまったくモア=ユトロダイウスだということを隠そうともしていない気がするんだけど、いったいいつ真相が明らかになるんだろう。

結局モアが「幻想小説」を書いて、エルダの古仙郷でアンジェロくんの母親に読んでもらって、それで理想を共有してなんだかんだあってアンジェロくんが生まれたってことね?

じゃあモアはどうやって旧世界のことを知ったんだろうな。普通に歴史を調べた結果だったんだろうか。

幻想小説」を書いたのがやはりモアだとなると、あそこに書かれていたことは実際の旧世界とも少し違うものだったりするのかも。現実世界とは微妙に違うし。旧世界をさらに美化して「叶えたい理想」として書いたのがあの本ってことか?

あの本自体が神器らしいけど、そんなものに直接書き込むとは度胸あるな、モアくん。誤字したときに修正とかきくんだろうか。もしかして「叶えたい理想」を神器に書き込むこと自体が何か魔法的な意味を持っているのかな。

あなたもその人(奥様?)ももう死んでると思うんだが……。

結局、このアカデメイアってどこなんだろうな。「恐らく、君らがとてもよく知っている所にある」とか言われたんだけど。精神世界ではなく物理的に存在する場所だったのか?

 

 

マリア:ヤングケアラーは聖母じゃない

友とメタファーの話をしながら「わたしマリアちゃんのことあんまり好きじゃないんだよね」と言ったら、人間性を疑われたような顔をされたので、慌てて「マリアちゃん自体が嫌いなのではなくて、マリアちゃんみたいな境遇の子を『かわいい』『尊い』『けなげだ』と思えという、製作側の設計思想が好きじゃない」と言い直した。そしたらちゃんと「それならよくわかる」と理解を得られたので安心した。

もうね、もう不幸な子供に聖母みを見いだしてオギャるような時代じゃないと思うんだよ。

いや、わたしが「ペルソナ4」をやったのはもう十数年前のことで、P4の菜々子ちゃんの時点でだいぶ無理だったんだけど。

マリアも菜々子も、どう考えても救われるべき境遇にある、大きな問題を抱えた子供だ。特に菜々子が生きているのは現代社会なのだから、福祉などの適切な支援を受けるべき問題を抱えていると言わざるを得ない。

ヤングケアラー問題は、大人が解決すべき社会問題だ。こんな、大人が原因の社会問題の体現者のような子供のキャラクターに、「かわいくてけなげ」な言動をさせて、「大人を救う」(メタファーもペルソナシリーズも主人公は子供だと思うが、ここでは彼女たちの視点から見てあえて彼らも「大人」に含めて語る)物語を描くのは、いくらなんでもひどくないか。

なんでこんな子供に「聖母」みを与えてるわけ? なんでここまで不幸を抱えた子が、「大人にとって都合のいい言動」だけをするキャラにされてるわけ? ヤングケアラーは聖母じゃないんだよ。ヤングケアラーを「大人を救う装置」扱いしないでくれ。救われるべきは大人じゃなくて子供だろ。

なんかこう……ここまで現代社会の様々な問題を「メタファー」の形で考えさせてくれるゲームなだけに、彼女の存在があまりにも歪に感じられて……。

菜々子ちゃんとこれだけ似た造形のキャラがまた出てきたってことは、アトラスによほどこういうのが好きな人がいるのだろうけど、わたしはマジでこれは受け入れられない。

バブみを感じてオギャる」という言葉が出てきたのが大体10年くらい前か。それはそれでひとつのトレンドで、そういう性的嗜好自体に文句をつける気はない。

でもせめてこんな社会の理不尽を押しつけられたような子供ではなく、もうちょっと別の造形のキャラクターに対してオギャってくれないかなというのがわたしの個人的な望みで、さらにいえばこんな現代社会の諸問題をもろに扱った作品に、あえてこんな歪なキャラクターを出す必要があったんだろうかというのがわたしの個人的な見解だ。

今までマリアについては極力ノータッチで感想を書いてきたが、結局最後までマリアに大人たちをケアさせる方針が変わらなかったので、あまりにもつらくてやはり触れることにした。

普段不謹慎なことしか書かないくせに何言ってんだ、な感じなんだけど、こういう意見もあるってことで、ひとつ。

※ヤングケアラーが担っている家事や家族の世話は、お手伝いとしてこどもが行うものとは異なり、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行うなど、その責任や負担が重いものです。それによってこども自身がやりたいことができないなど、学業や友人関係などに影響が出てしまうこともあります。

ヤングケアラーが行っている家事や家族の世話は多岐にわたりますが、一般に多いのは、食事の準備や掃除、洗濯といった家事、見守り、きょうだいの世話、目の離せない家族の励ましなどの感情面のサポートなどです。

「ヤングケアラー」を知っていますか? ヤングケアラーを支える取組と私たちができること(政府広報オンライン)より

 

 

メタファー、マリア以外は本当に楽しんでるんだけどね。

そんな感じで支援者イベントは全部終わらせたし、サブクエストもたぶんひととおり終わったので、いよいよ次はルイとの対決に行くか!

 

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